とろ蜜美女めぐりの桃色バスツアー

とろ蜜美女めぐりの桃色バスツアー

小説:庵乃音人

挿絵:貂

リアルドリーム文庫

とろ蜜美女めぐりの桃色バスツアー

登場人物

ふるはし けい

名門私立大学に通う十八歳。仏像サークルに所属しており、一年先輩の真帆に思いを寄せている。勇気を出して秘仏鑑賞バスツアーに真帆を誘う。

弓野ゆみ 

啓太と同じ大学、同じサークルに通う十九歳の女子大生。地方都市にある有名古寺の一人娘。長い黒髪を靡かせる清楚な雰囲気ながら、Gカップの巨乳が目を引く美少女。

ぐろ おり

舌っ足らずな喋り方が愛嬌のある二十二、三歳のバスガイド。どこかあどけなさを残した顔立ちとは裏腹に、好色で積極的な情熱家。

やまうら 

生真面目で堅物な雰囲気のOL。啓太たちと同じツアーに参加する二十九歳。黒縁眼鏡でキツい印象を与えるものの優しい一面もある。スラリとしつつもFカップのモデル体形。

すぎもと 

ほんわかした癒やし系の若妻。啓太たちと同じツアーに参加する二十五歳。亜紀の職場の元後輩。むちむちした色白ボディ丸い小顔も愛くるしい美人。

日向ひなた きょう

母性愛が溢れつつもどこか儚げな陰のある未亡人。啓太たちと同じツアーに参加する三十四歳。Hカップの爆乳にむちむちと完熟の女体を持つ。

第一章 美人バスガイドの誘惑

「みなさま、お待たせしました。三泊四日の『隠れ里秘仏御開帳ツアー』、いよいよ最初のお寺が近づいてまいりました!」

熱気を漂わせる賑やかな車中に、マイクを握ったバスガイドの声が響く。二十人近くいるバスツアーの参加者たちは歓喜の声を上げ、拍手で応えた。

いささか舌っ足らずながら、めっぽうキュートなバスガイドは年齢二十二、三歳。

可愛い笑顔を見せるたび、歯並びのいい真っ白な歯列が口元に覗いた。

淡い桜色のブレザーにベスト、白いブラウスに黒い膝丈スカートという制服姿がよく似合っている。

髪をアップにまとめた頭に桜色の丸い帽子をちょこんと乗せ、黒のパンプスを履いていた。胸元を彩る軽やかリボンのふわふわ感も艶めかしい。

マイクを握った細い指には白い手袋が嵌められて、愛らしいやらかっこいいやら、何とも男心をくすぐられる。

開放的な窓越しに差し込むのは、ぽかぽかと暖かな十一月の陽光だ。

海辺の道を走り続けてきたバスは、いつしかのどかな里山に入り、いくつものカーブを右へ左へと蛇行しながら坂を上っていた。

「と、とうとう来ましたね、先輩」

胸の奥で心臓が、とくとくと激しく乱れ打っていた。ふるはしけいは懸命に何でもないふりをしながら、窓側に座った可憐な女子大生に声をかける。

これから見られる仏像の数々に期待して、という理由も、もちろんなくはない。

しかし、さっきから心臓がこんなにもせわしなく仕事をしているのは、憧れのマドンナであるこの人と、当たり前のように肩を並べているからだ。

「うん。ワクワクするね」

そんな啓太の胸躍る興奮に、愛しいその人は気づいていない。

坂の先に見え始めたさつの眺めに目を奪われ、清楚な美貌に感動の微笑を浮かべて、鈴の鳴るような声で答えた。

ゆみ真帆。

啓太が通う名門私立大学の一年先輩で、某地方都市にある有名古寺の一人娘である。

知りあったのは、大学の仏像サークルだった。

ひとめで、恋に落ちた。

来年、成人式を迎えるれっきとした大人の女性ではあるものの、ひと言で言うならその容姿は、みずみずしさ溢れるため息がでるほどの美少女。

学内ではちょっとしたアイドル的存在で、男子学生からのデートの誘いは、ひきもきらなかった。

ウブで奥手で小心者で、恥ずかしながらいまだに童貞の啓太には、はっきり言ってハードルが高すぎる相手。高嶺の花以外の、何ものでもない。

(それなのに)

なおも窓外を見つめる美しい娘に鼻の下を伸ばし、啓太はぐびっと生唾を飲む。

(こんな風に、真帆先輩と二人きりで見仏旅行に。しかも、今日から四日間も、ずっと一緒にいられるなんて)

そう思うと、溢れる喜びで胸の中がいっぱいになり、自分で自分を抱きしめて身悶えすらしたくなる。

平凡さを絵に描いたような小市民の啓太には、一生におそらく二度とはないはずの、できすぎもいいところのビッグチャンス。

今回の、この僥倖の場を利用して、彼は真帆に、こう言おうと決めていた。

──真帆先輩。好きです。俺と……つきあってください!

《××寺のヤブユムが、十一月の連休に六十年ぶりに御開帳になるそうなんです。い、一緒に、見に行ってみませんか?》

勇気を出して真帆を誘ったのは、今からひとつきほど前。二人しかいない、仏像サークルの部室でのことだった。

《え。××寺のヤブユムって……あのヤブユム!?》

透き通るように雪白の頬を、曇りガラス越しの西日が茜色に染めていた。

どことなし、愁いを滲ませる儚げな面差し。それが見る見る一変し、大きな瞳をさらに大きく見開いて、真帆は啓太を見つめ返した。

お寺の娘である彼女は、仏像に詳しかった。

へたなおたく顔負けの博識さで、全国の秘仏、名仏、マニアック仏に通じていたし、サークルに所属する女友達とも、よく連れ立って見仏旅行に出かけていた。