誘惑調教ひとりじめ
義母の秘密メニュー
小説:草飼晃
挿絵:旅人和弘
リアルドリーム文庫
登場人物
本上 修介
高校生の少年。数年前に交通事故で父を失い、現在は父の再婚相手の和香と二人暮らし。美しい義母が気になっている。
本上 和香
修介の義母。翻訳の仕事をする理知的な三十二歳。仕事柄人づき合いが少ないため、やや内気だが、心優しいおっとりとした性格。
澄川 千夏
和香の妹。明るく社交的な性格のキャリアウーマン。姉の家によく出入りし、しばしば甥の修介をからかう。
第一章 秘めた想い
義母は友達が少ない。
翻訳業という仕事のせいもあるのだろう。どうしても家にこもりがちだった。
そんな義母をテニスに誘ったのは、義母の妹の千夏さんだ。
「たまには身体動かさないと! 今度、修介くんも連れていって、三人でテニスしましょうよ」
「え、ええ……千夏ちゃんがどうしてもって言うんなら……」
「じゃあ言うわ! どうしてもったらどうしてもよっ」
こういうわけで。
義母は三十二歳の肉体をウィンドブレーカーの上下──ウォーマージャケットとパンツに包むことになった。
(ああ……お義母さんのそんな格好、ぼく、初めて見たかも……)
その日は、本格的な春の到来を思わせる日差しがテニスコートに照りつけていた。
ちょっと身体を動かしただけで汗ばむくらいの、三月になったばかりだとは思えない陽気。吸いこむ空気には湿った土の匂いがたっぷりと混ざっていた。
春の芽吹きの匂いだ。
でも修介はそれどころではなかった。
(ああ。お義母さんを見てると、ぼく、ドキドキして、たまらなくなるよ……)
艶のあるブラウンに染められたやわらかそうな髪が肩口まで垂れかかっている。横に切り揃えられた前髪のせいでおかっぱ頭みたいにも見えるけれど、やさしい瞳や落ち着いた口元と相まって大人っぽさが醸し出されている。
もちろん、高校二年生の若者を魅了しているのは顔や髪だけではない。
(ああっ。おっぱいのかたちが、あんなに)
優にFカップかGカップはありそうなたっぷりとした乳房が、ウォーマージャケットに優美な曲面をつくり上げている。
義母がちょっと身動きするだけでふくらみは揺れ動き、まるで熟した女の色香をあたりに振り撒くかのよう。
ウエストがきれいにくびれているのも見て取れる。安定感と丸みを備えたお尻からむっちりとした太ももへとつづくカーブが、小柄ながら均整の取れたプロポーションを引き立てている。
更衣室から出てこちらに歩いてくる十五歳年上の義理の母親の姿に完全に見蕩れ、修介はその場に立ち尽くしていた。
「あらあっ? 何よう、修介くん?」
修介の横でクイクイと柔軟体操をしていた千夏さんが、すかさず声をかけてくる。
「さっきからボーッと、姉さんの身体ばっかり見ちゃって」
「ち、違うよっ」
違わないでしょう、と返して二十七歳の叔母はにやにやと笑った。きみの胸のうちはお見通しなんだからね、とでも言うかのように。
叔母はすらりとした肢体を本格的なテニスウァアに包んで、やる気満々だ。義母ほどではないものの充分に豊かな凹凸を備えたボディ。純白の生地を内側からぷるんと押し上げているお椀形の乳房や、スコートから伸びる剥き出しの生足は、高校生の少年にはやっぱり刺激が強い。
「そうよねえー。姉さん、あたしより背は低いのに、胸やお尻はまん丸いメロンみたいだもんねえー。あんなウィンドブレーカーなんかじゃなくって、あたしみたいにテニスファッションにすればいいのに。修介くんを一気に悩殺できちゃうわよん」
「いやだわ、千夏ちゃん……修介さんだって困ってるじゃないの。悩殺だとか、あんまり変なこと言わないの」
修介たちのところまでやってきた和香はほんのりと顔を赤らめた。そもそもわたしたちは親子なんですからね、とつけ足す。
義母の言う通りではあった。
血の繋がりこそないものの、和香と修介は一つ屋根の下に暮らす、れっきとした親子の関係だ。
「そうだよ、千夏さん。ぼく、別にお義母さんの方とか、見てたわけじゃないし」
いいえーと言って叔母は首を左右にぶんぶんと振る。
「修介くんのそのあわて方がそもそもあやしいったらないわ。んふっ。ちょっとからかってみただけなのに。まさか、きみ、ほんとに姉さんに気があるのかしら?」
「ないったら! やめてよ、千夏さん!」
修介はなんとかごまかそうとしてみた。
けれど叔母は追及をやめようとはしない。
「あたしはちゃーんと見てたわ。さっきのあれは牡が獲物を見る目だったわよ」
「そ、そんなこと、ないって!」
「ほんとかなあ? ねえねえ、あのさ修介くん」
テニスウェア姿の叔母は甥の肩に手をかけて顔を近づけ、瞳を覗きこんできた。
修介はびっくりして、思わず唾を飲みこんでしまう。
(わ……千夏さん)
姉妹だけあって顔の輪郭がシャープなところなど二人ともよく似ている。加えて、千夏さんの切れ長の目やしっとりと濡れたようなくちびるは姉以上に蠱惑的だった。艶やかなストレートの黒髪は背中の中ほどまでかかっている。
「姉さんやあたしより、クラスに気になる女子とかはいないのかな? 今どきの女子高生ならいい身体してるでしょう?」