なまめく美人三姉妹
レオタードの誘惑
小説:早瀬真人
挿絵:猫丸
リアルドリーム文庫
登場人物
清瀬 卓郎
緑泉高校の一年生。高校進学前の春休みに、一人旅の旅先で澪たち三姉妹と出会う。優柔不断な面がありつつも、困った人を助けようとする正義感も持ち合わせる少年。
川村 澪
黒髪ロングヘアの純情可憐な美少女。緑泉高校で卓郎と同学年。優しくて大人しい性格だが、性には興味津々なお嬢様。体操競技を長くやっていたためスレンダーな体型。
川村 友梨香
美人三姉妹の次女。緑泉高校三年で新体操部所属。セミショートの黒髪、スリムな体型、やや吊りあがった目尻が気の強そうな印象を与える。元彼に振られて失恋中。
川村 杏奈
美人三姉妹の長女。姉御肌タイプの豊満女教師で、新体操部顧問の二十六歳。全身からセクシーな雰囲気を醸しだしている、いかにも成熟した大人の女性。
第一章 美人姉妹のダブル手コキ
1
(かわいい子だな)
N県の高原地にて、清瀬卓郎は寂れた商店のベンチに座り、缶コーヒーを飲みながら一人の少女に熱い視線を送っていた。
ジャンパーにジーンズというラフな格好ながらも、クリッとした目、小さな鼻、さくらんぼのような唇は、類い希なる可憐さを誇っている。
背中まで伸びたロングヘアは、さらさらとしていて、溜め息が出てしまうほどの黒艶を放っていた。
(このあたりの別荘に遊びにきている子かな。初めての一人旅で、こんなにかわいい子に出くわすなんて、ついてるぞ)
中学三年の卓郎は、高校受験を終え、学校の創立記念日が金曜日であることを利用し、二泊三日の小旅行に出た。
長らく会っていなかった祖母の家に一泊し、土曜の今日は近場の民宿で一泊したあと、明日帰宅の途につく予定だった。
生まれて初めての一人旅は、自分が大人になったような錯覚を起こす。
高校に進学したら、バイトでお金を貯め、もっと長い旅に出てみたい。
見知らぬ土地、美しい風景、そこで出逢う人々たちとのふれあい。
少年の胸は希望に満ちあふれていたが、今は美少女の一挙手一投足だけに全神経が注がれていた。
歳は同じぐらいだろうか。
ジーンズの布地がヒップにぴたっと張りつき、ふっくらとした膨らみを際立たせている。
(お尻は、けっこう大きいかも。足が長いから、ジーンズがよく似合ってるな)
丸みを帯びた柔らかそうな丘陵に下腹部がもやついた瞬間、卓郎はすぐさま怪訝な顔つきに変わった。
少女が購入した商品はお酒ばかりで、ビール缶はもちろん、ワインや日本酒もある。
(まさかこの子が呑むわけないし、何で親が買いにこないんだろ?)
商店をあとにした彼女は、ビニールの手提げ袋をふたつ抱えており、足下がふらついている。やがて五十メートルほど進んだところで立ち止まり、袋を地面に下ろした。
卓郎はスケベ心を封印し、ベンチから立ちあがると、少女のもとに小走りで駆け寄っていった。
「大丈夫?」
振り向いた彼女の顔は、二重瞼の奥で黒目がちの瞳が揺れ、透きとおるように白い頬は剥きたてのゆで卵のようにツルツルとしていた。
近くで見ると、圧倒されてしまうほどの美少女っぷりだ。
「ぼ、僕が持ってあげようか?」
「すみません。昼間、高原地を散歩したとき、足に豆が出来ちゃったみたいで」
「え? その状態で、これだけの買い出しを一人でしに来たの?」
ビニール袋を両手で持つと、ずっしりとした重みが腕に伝わる。
か弱い乙女が、とても一人で持てるような荷物ではなかった。
「別荘に泊まっている人?」
「ええ。姉二人と来てるんです。買い置きしておいたお酒がなくなったので、買ってこいって言われて」
少女の返答に、卓郎はなるほどと思った。
二人の姉は、末っ子をお手伝いさん代わりに使ったのだ。
(それにしても、まだ午後五時なのにお酒がなくなったって、いったいいつから呑んでるんだ?)
「じゃ、別荘まで運んであげるよ」
「すみません。そこの山道を入った場所にあるんで」
「うん、わかった。あ、俺、卓郎、清瀬卓郎」
「川村澪です」
(澪ちゃんか……。この子にぴったりのきれいな名前だな)
卓郎は心臓をドキドキさせながら、澪と肩を並べ、緩やかな山道を登っていった。
「今年は雪が少なくて、スキー客があまり来なかったようだけど、澪ちゃんは何で今の時期に来たの?」
「あの、次女の友梨香お姉ちゃんが……その、失恋して、元気づけるための旅行です」
「失恋? あ、そ、そう」
友梨香が何歳なのかは知らないが、間違いなくやけ酒をあおったのだろう。
澪が恥ずかしそうに目を伏せると、卓郎はそれ以上、あえて何も聞かなかった。
「卓郎君は、どうして?」
「ああ。俺は、この高原の近くに住んでいるおばあちゃんの家に行ってたんだ。この山の反対側に民宿があったから、今日はそこに泊まろうかと思って」
「予約は……していないんですか?」
「シーズンオフに入ったし、素泊まりできるんじゃないかな」
「すごい。私じゃ、一人で泊まることなんて、とてもできないです」
澪はそう言いつつ、羨望の眼差しを向けてくる。
気分をよくしながら山道を曲がると、砂利道が現れ、百メートルほど先にロッジ風