なまめく美人三姉妹 レオタードの誘惑

「ああっ」

小刻みな振動が股間に心地いい感触を与え、男根は条件反射とばかりに鎌首をもたげていった。

「ふふっ、勃ってきた」

「あららら、相変わらず元気なのね。さあ、早く行きなさい。私たちは、邪魔はしないから」

こうなれば、嫌でもやるしかない。

杏奈と友梨香に背中を押され、卓郎は決死の覚悟で澪のいる浴室に向かった。

浴室のドアを静かに開け、磨りガラスの向こうに視線を送る。

「お姉ちゃん、遅いよ。何やってたの?」

澪の声が聞こえてくると、卓郎はホッと安堵の胸を撫で下ろした。

(よかった、何事もなくて。かなり酔いが醒めたんだな。でも……シラフなら、逆に厄介かもしれないぞ)

まずは、引き戸のこちらから声をかけるべきか。

それとも突然飛びこみ、彼女がびっくりしているあいだに、なし崩し的に謝罪を済ませてしまおうか。

卓郎はさんざん迷ったあげく、やはり正攻法でいくことを選んだ。

「お姉ちゃん?」

なかなか入室してこないので、澪は不審感を抱いているようだ。

卓郎は大きな深呼吸をしたあと、緊張に身を強ばらせながら声をかけた。

「み、澪ちゃん……お、俺、卓郎」

よほど驚いているのか、澪は何も答えず、浴室内はしーんと静まり返っている。

「あ、開けてもいいかな?」

「だ、だ、だめよっ! 何で、卓郎君がここにいるの!?」

「杏奈先生に呼ばれたんだ。仲直りしなさいって」

再び沈黙が流れるあいだ、卓郎は次第に鳥肌を立たせていった。

五月を迎えたとはいえ、高原地の温度はまだまだ低い。

いやが上にも、全身がガタガタと震えだす。

「み、澪ちゃん、さ、寒いよ。お願い、中に入れて」

「入って来たら、嫌いになるから!」

「え? それじゃ、今の今までは好きだったの?」

「嫌い! 大嫌い!!」

どんなに非難を浴びようと、澪と会話を交わしているだけで、気持ちがほっこりとしてくる。

「マジで入れて。裸なんだからさ」

「な、何で裸なの!?」

「あの、その……杏奈先生と友梨香先輩に脱がされちゃったんだ。裸の付き合いをしてこいって」

「信じられない! もう、最低!!」

「入るよ」

「きゃっ」

引き戸を開け、股間を両手で隠しながら足を踏み入れると、澪は小さな悲鳴をあげ、くるりと背中を向けた。

髪をアップにしているため、白いうなじを露わにさせている。

ほっそりとした首筋に絡みつく後れ毛が、なんとも色っぽい。

「寒い、寒いよ。このままじゃ、風邪を引いちゃうかも」

木桶で湯を掬い、肩からかけ流した卓郎は、ホッとひと息つくと、湯船に片足からゆっくりと浸かっていった。

「ああっ、あったかい。生き返ったような気分かも」

初対面の日以来、愛しの彼女と二度目の混浴をしている。

澪とはもう終わりだと思っていただけに、卓郎は至福の喜びを感じていた。

(浮かれている場合じゃないぞ。まだ許してくれたわけじゃないんだから。ここからが勝負なんだ!)

澪はまだ後ろを向いたまま、鼻をスンと鳴らしている。

裏切り行為を思いだし、悲しみに暮れているのだろうか。

卓郎は小さな咳払いをしたあと、澪の背中越しから謝罪の言葉を述べた。

「澪ちゃん、本当にごめん。俺……この一週間、ものすごくつらかったんだ。何度もこれはだめだって思ったんだけど、どうしても君のことが忘れられなくて。澪ちゃんが許してくれるんなら、何だってするよ」

麗しの彼女は何も答えず、黙りこんだままだ。

返答を待つ時間が、一時間にも二時間にも感じる。

やがて澪は、消え入りそうな声でぽつりと告げた。

「私だって……つらかったんだから」

「そ、そうだよね。俺なんかより、澪ちゃんのほうがショックが大きいのは当たり前だよね。なんて言っても、実のお姉さんと……」

「違うの」

「へ?」

「私が怒っているのは、卓郎君がそのことをずっと内緒にしていたからなの」

「あ、う、うん。そうだね」

卓郎は答えながらも、怪訝な表情を浮かべた。

実姉と浮気をした事実より、秘密にしていたことを許せないとは、若い女の子の心理とは不可思議なものだ。

(友梨香先輩は、異常なほど姉妹の仲がいいって言ってたけど、これもそういうことなのか?)

首を捻った直後、澪はさらに言葉を重ねた。

「……卓郎君」

「え?」

「正直に答えてくれる?」

「う、うん。嘘は絶対につかないよ」

「杏奈お姉ちゃんとも……したの?」

「はい?」

予想外の質問をぶつけられた卓郎は、頬の筋肉を引き攣らせた。

「嘘はつかないって言ったよね?」

澪はようやく振り返り、キッとした眼差しを向けてくる。

怒った顔も、狂おしいほど愛らしい。

プリッとした赤い唇を見ているだけで、思わず吸い寄せられそうになった。

(変なことを考えているときじゃないぞ!)

気を引き締めた卓郎は、真顔で問いかけた。

「どうして、そう思ったの?」

「だって、杏奈お姉ちゃんも友梨香お姉ちゃんも……エッチだから」

そう答えながら、少女は頬をポッと染める。

(そ、そうだ。ここで、あの二人から手コキをされたんだっけ!)

澪にとっては、強烈な印象として頭の中に残っているに違いない。

卓郎は作り笑いを浮かべ、上目遣いに媚びへつらった。

「正直に答えたら……許してくれる?」

「それは、私が決めるから」

澪は、さらに突き刺すような視線を注いでくる。