なまめく美人三姉妹 レオタードの誘惑

「部員たちはよそよそしいし、男が僕だけというのはやっぱりつらいです。どうか辞めさせてください!」

今の気持ちを正直に告げたとたん、杏奈は困惑顔で答えた。

「こ、困るわ。今、辞められたら」

「どうしてですか?」

「それは……昨日も話したでしょ? 新体操男子部を作りたい、だから協力してほしいって。他の男子生徒も、これから勧誘していくつもりよ。だから、たった一日で辞めるなんて言わないでほしいわ」

凜とした女教師は、明らかにうろたえている。

次の瞬間、卓郎の頭の中にある疑念が浮かんだ。

(ひょっとして先生、口封じのために俺を新体操部に入れたんじゃ?)

他言しないという確信が得られるまで、自分のそばに置き、監視するつもりなのかもしれない。

卓郎は息を吸いこみ、はっきりとした口調で言いきった。

「ロッジの件は、誰にもしゃべりませんから。どうか安心してください」

「そ、そんなこと……」

杏奈はバツが悪そうに視線を逸らし、蚊の泣くような声で答える。

やはり女教師は、別荘の件を第三者に知られるのが怖かったのだ。

卓郎は、肩をがっくりと落とした。

彼女の立場は十分わかるが、誘いをかけてきた理由がはっきりした以上、新体操部にとどまる必要性は何もない。

(澪ちゃんと仲よくなれるなら、話は別だけど……)

卓郎は椅子から立ちあがると、頭をペコリと下げた。

「それじゃ、これで失礼します」

講師室の出口に歩を進めた瞬間、背後から杏奈に呼びとめられる。

「清瀬君、待って」

「何ですか?」

「澪とのこと、どうするつもり?」

「は?」

「好きなんでしょ、あの子のこと」

「どうするも何も、ほとんど無視されていたんですから、どうにもならないですよ」

自嘲気味に答えた直後、杏奈は一転してほくそ笑んだ。

「昨日ね、あなたが緑泉に入学していたことを教えたの。そしたらあの子、すごく喜んでたわよ」

「え?」

「もちろん表情には出さなかったけど、姉の私にはわかるわ。頬が緩んで、目がきらめいていたもの」

「ホ、ホントですか?」

今度は、卓郎がうろたえる番だった。

自分でも単純だとはわかっていたが、喜悦が身体の内から込みあげてくる。

「恥ずかしがってるのよ。だって、そうでしょ? あの子は私や友梨香と違って純情だし、どんな顔をして会えばいいのか、わからなかったんだと思うわ。今日だって、朝からそわそわして、全然落ち着きがなかったんだから」

卓郎も、まったく同じだった。

朝まで眠れず、寝床で何度も寝返りを打った。

授業中もうわの空で、どう話しかけたらいいのか、ずいぶんと頭を悩ませたものだ。

「気まずい雰囲気なんて、日が経てば、そのうちなくなるわよ」

「そ、そうでしょうか? てっきり嫌われてるんじゃないかと思ったんですけど」

「嫌いになるはずないでしょ。だって私と友梨香が悪いんだから、清瀬君には何の罪もないじゃない。まあ、多少のショックは受けただろうけど」

「……ですよね」

大股開きで勃起を見せつけ、派手に大量射精した事実を消し去ることはできない。

今さらながら、恥ずかしさで顔が熱くなってくる。

「あなたが肩身の狭い思いをしないように、私もフォローしていくつもりよ。新体操部で、がんばってくれるわね?」

澪のそばにいたいという気持ちはあったが、男子が一人だけという環境で本当にやっていけるのだろうか。

友梨香や他の女子部員たちのシラッとした対応を思いだすと、やはり迂闊にイエスとは言えない。

「少し考えさせてもらってもいいですか?」

正直に答えると、杏奈は突然口元に妖しげな笑みを浮かべた。

「そんなことを言って、このまま部活には出てこないつもりなのね」

「い、いえ……決してそういうわけじゃ」

「残念だわ。新体操部に入部してくれたら、すごく楽しいことが待っていたのに」

「え?」

豊満な女教師は目をスッと細め、ゆっくりと近づいてくる。

別荘で出会ったときの、セクシー美女の顔つきにそっくりだった。

微かなコロンの香りが鼻腔をくすぐり、室内が一瞬にして淫靡な雰囲気に包まれる。

卓郎がたじろいだ瞬間、しなやかな手が股間の膨らみにあてがわれた。

「あうっ!」

快感電流が脊髄を駆け抜け、思わず爪先立ちになってしまう。

「どんな楽しいことなのかは、わかるわよね?」

「はううぅぅっ」

手のひらがズボンの中心部を撫であげるたびに、凄まじい速度で血液が海綿体に集中していく。

ペニスはあっという間に硬直し、すぐさま三角の頂を描いていった。

「相変わらず、精力旺盛なのね」

しっとりと潤んだ瞳、濡れた唇がなんとも悩ましい。

脳内がバラ色の霧に包まれ、早くも思考回路がショートした。

(ま、まさか……杏奈先生とエッチできるんじゃ?)

十代の少年の頭の中は、異性の身体、性への興味でいっぱいだ。

まだ見ぬ女の裸体を、この目で拝みたい。

あそこはいったいどうなっているのか、じっくりと観察したい。

そして手や口、舌で女体を触感し、一日でも早く童貞を捨てたかった。

相手が年上の美人教師なら、文句などあろうはずがない。

今の卓郎は、身も心も完全に性欲一色に染まっていた。

杏奈が最後の手段とばかり、ハレンチな懐柔策に走ったことにも気づかず……。

「ジャージの下を見たい?」

耳元で甘く囁かれ、卓郎は背筋をゾクゾクさせた。