母娘喰い
奪われた媚肉
小説:北都凛
挿絵:asagiri
リアルドリーム文庫
登場人物
西島 由香里
高校卒業後、クラスメートの浩志と同じ会社に就職して付き合うようになり、結婚退社した。夫と娘を心から愛している。男性経験は夫だけながら、性生活に不満はない。
西島 沙緒里
由香里の娘の女子高生。気丈な美少女だが、由香里の前では甘えん坊な一面を見せることもある。父親のことも大人として尊敬している。
西島 浩志
由香里の夫。真面目を絵に描いたような性格。性に関しては淡白。
牛島 倫太郎
人事異動で年下の浩志が上司となり、不満を持つ。由香里と沙緒里の陵辱を画策する粘着質で狡賢い性格。
第一章 夫の隣で犯されて
1
四月のとある日曜日。
郊外にある閑静な住宅街で、引っ越し作業が行われていた。たった今、荷下ろしが終わり、業者のトラックが帰ったところだ。
西島由香里は新築の一軒家を見あげて、満面の笑みを浮かべた。
白い壁に赤い屋根が可愛らしいこぢんまりとした3LDK。念願のマイホームを前にして心は浮きたっていた。
空は気持ちよく晴れ渡っている。絶好の引っ越し日和だ。由香里は春の心地よい風を受けて、幸せを噛み締めながら瞳を閉じた。
目尻がやさしげにさがっているので、三十六歳にしては幼く見える。いかにもおっとりした感じの人妻だ。背中のなかほどまである髪はふんわりとしており、明るい日射しを受けてマロンブラウンに輝いていた。
今日は引っ越しなので珍しくジーンズ姿だ。体型は高校生のときからほとんど変わっていない。久しぶりのジーンズはヒップまわりが少しきつくなって、パンパンに張っているのが恥ずかしかった。
白いシャツの胸もとはこんもりと膨らみ、腰まわりはキュッと締まっている。むっちりしたヒップは本人が思っている以上に悩ましかった。
「おっ、いい天気だね」
浩志が玄関から出てきて、にこやかに話しかけてくる。やはり新築の一戸建てを手に入れてご機嫌だった。
「浩志さん、こっちに来ていっしょに見て」
由香里は夫に手招きすると、寄り添って夢のマイホームを見あげた。
「どれどれ。おお、やっぱりいいね。これが僕たちの家か」
狭い賃貸マンション暮らしから、晴れて一国一城の主になったのだ。夫の顔がいつになく精悍に見えた。
浩志との出会いは高校時代にまでさかのぼる。高校一年で同じクラスになり、その後も二年、三年といっしょになった。自然と話すようになったが、二人とも奥手で交際には発展せず、友だちのまま三年が経過した。
だが、高校を卒業して同じ会社に就職したことで、一気に距離が縮まった。
OA機器の販売とレンタルを行っている〝フューチャー事務機〟で、由香里は経理を担当していた。浩志は営業なので直接顔を合わせる機会は少ないが、慣れない職場で彼の存在は大きかった。
仕事が終わってから何度か食事に誘われ、ある日突然交際を申しこまれた。友だちの期間が長かったので戸惑いがなかったと言えば嘘になる。それでも、彼の実直さを信じて受け入れた。
初めて彼と結ばれたのは、交際をはじめて半年後だった。
由香里も浩志も初めてだったので苦労した。なんとか初体験を果たしたときは、感激で涙が溢れたことを今でもよく覚えている。交際は順調につづき、二十歳で結婚退職して娘の沙緒里を出産した。
「これからはローンが大変だぞ。ばりばり働かないとな」
浩志が嬉しそうにしているので、由香里もますます幸せな気分になった。
夫は温厚な性格で少々頼りないところもあるが、家族のために一所懸命がんばってくれている。去年は課長に昇進して、仕事の上でも責任感が出てきたようだ。とにかく彼には感謝の気持ちでいっぱいだった。
(浩志さんの奥さんになれて本当によかった……)
由香里は思わず「フフッ」と微笑み、夫の腕にそっと腕を巻きつけた。
「ん? 急にどうしたんだよ」
そう言いながら、浩志も満更でない様子だ。真面目で家族思いの理想的な夫だった。由香里は甘えるように身を寄せて、頬をぽっと染めあげた。
「パパ、ママ。なにイチャイチャしてるの」
そのとき、からかうような声が頭上から降り注いだ。
二階の窓が大きく開いて、娘の沙緒里が顔を覗かせている。黒髪のポニーテイルを揺らしながら、リスを思わせる黒目がちの瞳をクルクルさせていた。
沙緒里はこの春から菫ヶ丘女学園に通っている高校一年生だ。先日十六歳になったばかりで、まだまだ子供っぽいところもあるが、まっすぐに成長してくれた。どこに出しても恥ずかしくない、夫婦自慢のひとり娘だった。
ピンク色のTシャツの胸もとは微かな膨らみを見せている。発展途上の身体はスレンダーだが、それでも最近は少しずつ女らしい丸みを帯びてきた。育ち盛りなので、これから一気に女の身体つきになるだろう。
「ようし、じゃあパッと片づけを終わらせるか」
「その前にお昼にしない?」
近くにコンビニがあるので、そこの弁当で簡単に昼食を済ませてしまおうと話していた。
「そうだな。腹が減っては戦ができぬ、だ」