それなのに、目の前で母親が中年男に抱かれている。今も醜い肥満体に両手両足を巻きつけて、腰をヒクヒクと震わせていた。
2
沙緒里はフローリングの床にぺたりと座りこんだまま、ドアの隙間から自分の部屋を覗いていた。
双眸からは静かに涙が流れつづけている。母親の浮気セックスを目にして激しいショックを受けながらも、妖しい胸の高鳴りを覚えていた。
『今度は奥さんが上になるんだ』
牛島がベッドの上で仰向けになっている。その股間からは、禍々しい肉柱がそそり勃っていた。
(あれが……男の人の……)
沙緒里は思わず生唾を飲みこんだ。
それは初めて目にするペニスだった。いや、正確には幼い頃、父親とお風呂に入ったときに見たことがある。しかし、それは小さくて可愛らしいモノで、牛島のような迫力ある男根とはまったく違っていた。
そのペニスはどす黒くて驚くほど巨大だった。太さは女性の手首ほどもあり、長さもかなりある。牛島の太鼓腹よりも、はるかに高くまで伸びていた。
『本当に……しなくちゃいけませんか?』
由香里は牛島の隣で横座りしている。剥きだしの乳房を右手で、股間の翳りを左手で覆い隠していた。
『早くするんだ。旦那の粗チンじゃ物足りないんだろう? 今のうちにイキまくっといたほうがいいぞ』
『いやです……あの人のことは言わないでください』
由香里は弱々しく抗議しながら、男の股間をまたいでいく。足の裏をしっかりとシーツに着けて、がに股の中腰というはしたない格好になっていた。
『ああ……やっぱり無理です。娘の部屋でこんなこと……』
由香里が泣き顔になって訴える。だが牛島は聞く耳を持たず、むっちりした太腿をぴしゃっと軽く平手打ちした。
『今さら恥ずかしがるなよ。欲しいんだろう、でっかいチンポが』
『ひどい人……』
由香里のほっそりとした指が男根に絡みつく。がに股でゆっくりと腰を落としはじめると、ペニスの先端が女の中心部に沈みこんだ。
『あうっ……か、硬い……はああンっ』
艶めかしい声を放ちながら、徐々に膝を折っていく。太幹が少しずつ母親の股間に消えていくのが見えていた。
(やめて、パパじゃないのに……もうやめてぇっ)
沙緒里は心のなかで叫んだ。母親が父親を裏切る瞬間を見るのは、娘としてあまりにもつらすぎる。しかし、目の前で展開されている光景は、そんな憂いも吹き飛ばすほど衝撃的だった。
(ウソ……あんなに大きかったのに……)
ドアの隙間に顔を寄せて、母親の股間を凝視する。
あの醜悪な肉棒は影も形もなくなっていた。すでに二人の股間はぴったりと密着している。陰毛同士が絡み合っているのが遠目にもわかった。
『あくううっ……お、奥まで来てる』
由香里の唇から絞りだすような声が漏れる。あの巨大な肉柱が、女壺のなかにずっぽりと埋めこまれたのだ。
(いやらしい……ママ、いやらしすぎるよ)
沙緒里は巨大な肉柱で貫かれる感覚を想像して、思わずお臍の下あたりを両手で押さえた。
「ン……」
下腹部にジーンとした痺れが走り抜ける。痛みとは異なる妖しい刺激だ。初めての体験に驚くが、なぜか手を離そうとは思わなかった。
『俺のチンポはどんな感じだ? 騎乗位だと奥まで届くだろう』
『は、はい……すごく、太くて長くて……ああっ、深いです』
由香里は和式トイレで用を足すときのような格好で、牛島の股間に腰をおろしている。両手を男の贅肉だらけの腹に置き、眉を八の字に歪めながらも、どこかうっとりした表情になっていた。
(気持ち……いいの?)
母親の様子に反感を覚えながらも、妙に惹きつけられてしまう。沙緒里は下腹部に両手をあてがったまま、自分の部屋を覗いていた。
『動いてみろ。もっと気持ちよくなりたかったら自分で腰を振るんだ』
『そんなこと……あっ……あっ……』
母親が女の表情になっている。ゆったりと腰を前後に振りはじめて、たまらなそうな溜め息を漏らしていた。日常から離れたその姿が生々しくて、見ている沙緒里まで昂ってしまう。
(やっぱり、気持ちいいんだ)
あの大きなペニスは、お臍の裏側あたりまで届いているのだろうか。沙緒里は下腹部を押さえながら、いつしか目もとをぽっと染めあげていた。
長大な肉柱が入ってきたら、きっとすごい衝撃があるに違いない。無意識のうちに力をこめて、お臍の下をグッと圧迫していた。
「はンン……」
声が漏れそうになり、慌てて下唇を噛み締める。先ほど感じた痺れが強くなり、なにやら股間がムズムズしてきた。
『いいぞ、その調子だ。感じる部分にカリを擦りつけてみろ』
『あふンっ、自分でなんて、いやらしいです……』
由香里が切なげな表情で腰を振る。前後にゆっくりと揺らすのだが、そのたびにクチュックチュッと微かな音が響いていた。
『あンっ、擦れてる、硬いところがゴリゴリって……ああっ』
膣のなかで男根が擦れているらしい。少しずつ腰の動きが速くなっていくのが、興奮度合を示しているようだ。ボリュームのある乳房がゆっさりと揺れるのもいやらしかった。
(ま、ママ……わたし……)
沙緒里は顔を赤らめて、熱い吐息を漏らしていた。
もう我慢できない。床に座りこんだまま制服のスカートを捲りあげると、右手を股間に伸ばしていく。そして飾り気のない純白のパンティが張りついた恥丘に、震える中指をそっと押し当てた。