「感動的なご対面だな。奥さん、あんたがよがり狂ってるところ、娘に全部見られてたんだぞ。俺のチンポに夢中で気づかなかったろう?」
牛島が残酷な言葉を由香里にかける。そして、引きずるようにして、沙緒里をベッドの前まで連れていった。
「ひどいわ、牛島さん……。ああ、こんなママを見ないで」
由香里の涙声が、沙緒里の鼓膜を振動させる。胸を締めつけられるような悲痛な響きだった。
父親以外の男に抱かれて感じていたのは間違いない。だが、こうして縛られている姿を見れば、不倫や浮気でないことは想像がついた。
「もしかして、おじさんに無理やり……」
「ごめんね……沙緒里ちゃん、ごめんね」
「ママ……謝らないで……」
沙緒里のなかで、母親を責めたい気持ちと擁護したい気持ちがせめぎ合う。父親を裏切ったことは許せない。だが、男に肉体を支配された女の心情は、なんとなくわかるような気がした。
(がんばったんだよね? 感じないように耐えてたんだよね?)
背徳感を覚えながらもオナニーでいっしょに達したせいか、母親の悲しみを共有した気持ちになってた。
「クククッ、おじさんは気づいてたよ」
牛島の薄気味悪い声にドキリとする。沙緒里は思わず肩を竦めて、中年男の顔を見あげていった。
「してたよね。マンズリ」
初めて聞く言葉だったが、それがオナニーを指していることは想像がついた。牛島は沙緒里が自慰行為に耽っていることも見抜いていたのだ。
「ち、違う……そ、そんなのウソだもん」
図星を指され、むきになって否定する。母親が犯されている姿をおかずにオナニーしていたなんて、絶対に人には知られたくない秘密だった。
しかも、あのとき沙緒里は人生初のアクメを体験したのだ。まさかそこまでは牛島もわからないと思うが、事実をなかったことにはできなかった。
「沙緒里ちゃん……」
由香里が悲しげな瞳を向けてくる。非難するわけではなく、憐れむように見られるのがつらかった。
「違うの、ママ……そうじゃなくて……」
苦しい言い訳を繰り返していると、横から牛島が口を挟んできた。
「ほう、それなら確かめさせてもらうか」
背中を小突かれて、つんのめるようにしてベッドに両手を着く。つい先ほどまで母親が喘ぎ狂っていたベッドだ。
シーツは大量の汗を吸って、じっとりと湿っていた。その不快な手触りが、自分の股間に張りついているパンティを連想させる。沙緒里は思わず赤面して内腿を擦り合わせた。
「ンっ……」
股間の奥で微かにクチュッと音が鳴る。オナニーの名残りで、まだ膣道が濡れているのだ。と、その直後、牛島がいきなりスカートを捲りあげた。
「まずは道具を拝ませてもらおうか」
「きゃっ!」
反射的に悲鳴が漏れてしまう。ちょうどお尻を背後に突きだすような格好になっていた。純白のパンティに覆われた小さなヒップが露出して、沙緒里は逃げるようにベッドにあがった。
「な、なにするの?」
四つん這いから体勢を変えようとするが、牛島も追いかけるようにベッドにあがり、背後から腰をがっしりと掴まれた。
「触らないでっ!」
「娘には手を出さない約束よ!」
沙緒里の拒絶する声と、由香里の抗議する声が重なった。
「マンズリしてたかどうか確かめるだけだよ」
牛島はベッドの脇を見やり、薄笑いを浮かべてつぶやいた。だが、ペニスは激しく屹立したままだった。
「娘だけは……お願いです……沙緒里ちゃんだけは……」
由香里はなにかを感じ取っているのか、涙を流しながら首をゆるゆると左右に振りたくる。そんな母親の絶望感を滲ませた仕草が、沙緒里の不安感を余計に煽りたてていた。
「さてと、ウソをつくような悪い娘はお仕置きだぞぉ」
牛島は幼子に言い聞かせるような声音で語りかけてくると、制服のスカートを再び大きく捲りあげる。そしてパンティの上から尻たぶを鷲掴みにして、脂肪だらけの顔を臀裂に近づけてきた。
「ああ、いや……」
「おや? パンティの底に染みができてるじゃないか」
まるで宝物でも発見したように、牛島が嬉しそうな声をあげる。沙緒里は慌てて腰を捩るが、尻たぶに十本の指を食いこまされて動けない。それどころか、パンティ越しの股間に中年男の息遣いを感じて、おぞましさに頬を引き攣らせた。
「ちょ、ちょっと、なにしてるの?」
四つん這いのまま振り返って抗議する。尻を掴まれて逃げられないので、言葉で抗うしかなかった。
「匂いを嗅いで、なんの染みか確かめてるんだ。オシッコか、それともマン汁か」
牛島が鼻をクンクン鳴らすたび、生温かい風が股間にあたる。そんな場所の匂いを嗅がれていると思うだけで、気を失いそうな羞恥に襲われた。
「やだよ、あぅっ、いやぁっ、うっぅぅっ」
泣きたくなかったけれど、溢れだす嗚咽を抑えられない。沙緒里は両手でシーツを握り締めると、悪夢のような時間が一刻も早く過ぎ去ることを祈りつづけた。
「ん? 匂うぞ。いやらしい牝の匂いだ」
ようやく牛島の顔がヒップから離れていく。しかし、ほっとしたのも束の間、今度はパンティをペロリと剥きおろされた。
「あっ、ダメっ、脱がさないでっ」
「これだけマン汁の匂いがするってことは、やっぱりマンズリをしてたんだな。ウソをついた罰だ。お仕置きをはじめるよ」