母娘喰い 奪われた媚肉

(でも、やらないと……)

由香里はカーディガンを脱ぐと、鏡台の前に置かれている椅子にそっとかけた。

牛島の視線を強く感じて羞恥心が煽られ、緊張が極度まで高まった。自分の心臓の鼓動が耳の奥に響いていた。

逡巡しながらも、シャツのボタンを上から順に外していく。襟もとがはらりと開き、胸の谷間と薄いピンク色のブラジャーが見えてしまう。顔がカッと熱くなり、思わず両手でシャツを掻きあわせた。

「おいおい、ストリッパーが隠してどうするんだ」

牛島がからかいの言葉をかけてくる。由香里は意を決してシャツを滑らせると、丸みのある肩を剥きだしにした。

ハーフカップのブラジャーに包まれた乳房は深い谷間を形成し、くびれた腰が艶めかしいラインを描いている。花柄のスカートに包まれた臀部は、完熟度合を示すようにむっちりと張りだしていた。

「ああ……」

羞恥の溜め息が漏れるが、身体は隠さずに気を付けの姿勢を保ちつづける。肌を手で覆ったりすれば、牛島に責める口実を与えるだけだった。

「休まずに脱いでくれよ。それとも焦らしてるのか?」

含み笑いとともに煽りたてられる。今は笑っているが、あまり時間をかけると怒りだすのは目に見えていた。

(沙緒里ちゃんのためだもの……浩志さんだって、きっと……)

きっと夫も許してくれる。そう信じるしかなかった。

スカートのホックを外してファスナーをおろす。そろそろとスカートを脱いでいくと、薄いベージュのストッキングに包まれた下肢が露わになる。さらに薄皮を剥ぐように、ストッキングをくるくると丸めながら脱いでいった。

パンティはブラジャーとセットの薄いピンク色だ。布地の面積が小さく、精緻なレースが施されている。由香里が持っている下着のなかでは一番セクシーなデザインで、密かなお気に入りだった。

「ほう、なかなか色っぽいじゃないか。俺を挑発するためにそんなパンティを穿いて待ってたんだろう?」

牛島の下劣な言葉が胸に突き刺さる。同時に舐めるような視線を感じて、内腿をもじもじと擦り合わせた。

下着姿を夫以外の男に見られているのだ。そのことをあらためて自覚し、思わず涙腺がゆるみそうになってしまう。

(どうして、こんな下着を……)

口惜しくなり下唇をキュッと噛み締めた。

こんな男に見られるのなら、色気のない下着にしておくべきだった。こういう事態は予測できたのに、なぜこの下着を選んでしまったのだろう。もしかしたら、見られるかもしれないことを、心のどこかで意識していたのかもしれない。

そんな自分のあさましさに気づいて自己嫌悪に陥ってしまう。女というのは一度でも抱かれれば、たとえ相手の男を嫌っていても、その目を意識せざるを得ない生き物なのかもしれない。

(わたしが愛しているのは、浩志さんだけなのに……)

いくら心のなかでつぶやいても、セクシーな下着を選んだことは事実だった。

「奥さん、つぎはどっちを脱ぐんだい? 上か、それとも下かな?」

牛島が焦れたように声をかけてくる。これ以上待たせるのは危険だった。

由香里は瞳を潤ませながら、両手を背中にまわしていく。ホックを外した途端、乳房の弾力でブラジャーが跳ねあがった。

「あンっ……」

反射的に胸を手のひらで隠してしまう。やはり裸を見られるのは恥ずかしい。右腕で乳房を覆いながら、左手でブラジャーを外して椅子の上にそっと置いた。

「腕をどけるんだ。肝心なところが見えないだろうが」

牛島の声が苛ついてくるのがわかった。

股を開いて夫婦のベッドにどっかりと腰掛けている。逸物はだらりと垂れさがったままで、まだピクリとも反応していなかった。

(早く……勃たせないと……)

由香里は焦りを感じていた。言われたとおりにできなければ、娘がまた襲われてしまうのだ。それだけは避けなければならなかった。

悲壮な覚悟で、胸を隠していた腕をどかしていく。たわわに実った乳房が、夫以外の男の視線に晒される。先端で揺れるピンク色の乳首も露わになった。

「いいぞ。何度見ても美味そうなおっぱいだ。下も見せてくれ」

牛島の言葉に従い、震える指先をパンティのウエストにかける。そして、一気におろしてしまおうと思ったとき、またしても声をかけられた。

「後ろを向いてみろ。ケツを色っぽく振りながらパンティをおろすんだ」

あくまでもストリップの真似事をさせるつもりらしい。女に屈辱を与えることで楽しんでいるのだ。

由香里は涙目になりながら回れ右をすると、大きなヒップを左右に揺すりつつ、パンティを少しずつずりさげていく。男の卑猥な視線が、尻の谷間に張りついているのがわかる。激烈な羞恥に襲われるが、中断するわけにはいかなかった。

「うっ……ううぅっ……こんなことさせるなんて……」

こらえきれない嗚咽が溢れだす。それでも由香里はヒップを背後に突きだし、できる限り悩ましく揺すりたてた。

左右のつま先からパンティを抜き取ると、再び前を向くように命じられる。生い茂った陰毛が恥ずかしくてならない。隠したくなるのを懸命にこらえるが、涙までは我慢することができなかった。

「俺に見られるのが嬉しくて泣いてるのか?」

牛島がくだらないことを言ってひとりで笑う。そして、禿げあがった頭頂部を光らせながら手招きをした。