「上手いぞ。できるじゃないか。その調子だ」
褒められても嬉しくないが、とにかく怒らせるわけにはいかない。もういいと言われるまで、太幹に唇を這わせつづけた。
「今度は袋を舐めてもらおうか」
牛島は脚を大きく開いて、腰を少し落とし気味にする。がに股のような格好になり、皺袋をわざと揺らして見せつけてきた。
「えっ……こ、これを?」
そそり勃った男根の下部に、いなり寿司のような陰嚢がぶらさがっている。その醜い袋に舌を這わせろと言っているのだ。
「早くやれ。さっきみたいにペロペロするんだ」
やるしかなかった。
由香里は逡巡しながらも、男の股間に潜りこむようにして陰嚢に唇を近づける。そして小刻みに震える舌を伸ばし、皺だらけの袋にそっと触れさせた。
「ううっ……」
思わず嫌悪の呻きが溢れだす。肉胴とは正反対に柔らかく、グニグニとした感触が気持ち悪い。なかで睾丸が動くのがわかり、それが余計に不快だった。
「このなかに、栄養満点のザーメンが詰まってるんだぞ」
「や……ンっ……ンふぅっ」
「しっかり唾液を塗りこむように舐めるんだ。ここで気持ちよくしておけば、あとで勢いよくたっぷりと出るぞ。たくさん飲みたいだろう?」
恐ろしい言葉を聞かされながら陰嚢を舐めまわす。唾液を乗せた舌で、ヌルリヌルリと睾丸を転がすのだ。
「おおっ、早く外に出たいってザーメンが暴れだしたぞ。そろそろ本格的にはじめてもらおうか」
牛島に言われて愕然とする。これだけやったのに、まだ本題に入っていなかったらしい。フェラチオ未経験の由香里は、なにもわかっていなかったのだ。
「もう、許してください……」
「なにを言ってるんだ。フェラはここからが本番だろうが」
「疲れてしまって……少し休ませてください」
とにかく疲労が蓄積していた。昨夜はレイプされた後、解放されてもほとんど眠ることができなかった。目を閉じると牛島が戻ってきそうで恐ろしかったのだ。少しうとうとしただけで、あっという間に朝になっていた。
「本当にくたくたなんです。お願いですから……」
「俺が仕込んでやるから、言われたとおりにするんだ」
どんなに懇願しても、牛島はまったく聞く耳を持たなかった。冷徹に告げると、勃起の先端を唇に押しつけてきた。
「ンンっ、い、いやっ、ンンンっ」
カウパー汁が唇にベチャッと付着し、嫌悪感に眉根を寄せる。慌てて男の腰を押し返そうとするが、女の腕力で敵うはずがなかった。
「つべこべ言わずに唇を開け。ほら、咥えるんだよ」
頭を両手でがっしりと掴まれて、強引に唇を割られてしまう。巨大な亀頭が口内に入りこんだと思ったら、なかばまでズブズブと押しこまれた。
「ンぐううッ!」
魚が腐ったような強烈な生臭さがひろがり、吐き気がこみあげてくる。思わず身体に力が入るが、後頭部を押さえつけられて逃げられない。唇を無様なほど大きくひろげられて、醜悪な男根を咥えさせられているのだ。
(すごく臭いわ……ううっ、いや)
心のなかでつぶやいた直後、男根が前後にゆっくりと動きだす。牛島が腰を振りはじめたのだ。
「これがフェラチオだ。わかるか? 口マ○コで男を悦ばせるんだ」
女を蔑んだ言葉をかけられるが、今は怒る余裕などない。ピストン運動をはじめた男根が、徐々に振り幅を大きくして、喉の奥まで入りこんでくる。巨大な亀頭で突かれるたび、強烈な嘔吐感がこみあげてきた。
「うぐッ……むごッ……ぐほぉッ」
「歯を当てたら承知しないぞ。そんときは歯を全部ブチ折って、もう一度しゃぶらせてやるからな」
興奮しているのか、口調が乱暴になっている。腰の動きも大きくなり、剛根をズボズボと出し入れされた。
(ううっ、苦しい……息ができない)
嘔吐感だけではなく、窒息しそうな息苦しさにも襲われている。無意識のうちに舌を使い、口内を傍若無人に暴れまわる亀頭を押し返そうとした。
「おおうっ、気持ちよくなってきたぞ。たっぷり出してやるからな」
牛島が獣じみた唸り声をあげて、さらにピストンを加速させる。女の口を性器に見立てているのか、まったく容赦せずに腰を叩きつけてくるのだ。
「おごッ……うげッ……おごおおッ」
由香里はむせ返りそうになりながらも、一瞬たりとも歯を当てないよう懸命に唇を窄めていた。牛島のことが恐ろしくてならない。もし怒らせたら、本当に歯を折られてしまいそうだった。
唇の端から涎が溢れ、顎の先端から滴っている。フローリングの床に点々と透明な雫が落ちているのだ。家族団欒をするはずのリビングが、少しずつ穢されていくのがつらかった。
(もう死んじゃう……お願い、早く終わって……)
由香里は強く閉じた双眸から涙を流し、鼻を真っ赤にして暴虐に耐えていた。非力な人妻にできることはなにもない。ただ、この陵辱の嵐が、一刻も早く過ぎ去るのを祈るだけだった。
「もうすぐだ。くううっ、もうすぐ飲ませてやるぞっ」
口内のペニスはさらに硬度を増して、大量にカウパー汁を溢れさせている。唇から出入りする肉胴は、唾液に濡れて妖しく黒光りしていた。
「いくぞ……いくぞっ……ぬおおおおッ!」
ついに牛島が雄叫びをあげて、腰をビクビクと震わせる。剛根が口内で激しく跳ねまわり、先端から煮えたぎった樹液を吐きだした。