家政婦は蜜尻女子大生 初恋の君と恋人の甘いご奉仕

家政婦は蜜尻女子大生
初恋の君と恋人の甘いご奉仕

小説:庵乃音人

挿絵:阿川椋

リアルドリーム文庫

家政婦は蜜尻女子大生 初恋の君と恋人の甘いご奉仕

登場人物

やまうら ゆう

今冬に受験を控えた高校三年生。女性の大きなお尻に心惹かれる性癖の持ち主。

あいはら つむぎ

親が不在の山浦家にやってきた住み込みの家政婦。豊満なボディと母性的な人柄を備えた大人の女性。

ひいらぎ はる

裕の二つ年上の恋人。裕の高校時代の部活の先輩で、現在は都内の名門お嬢様大学に通う女子大生。

第一章 暗闇のなかでいじくる恋人のおっぱい

ゆう君……」

──えっ。

やまうら裕は、今にも心臓を破裂させそうになった。

(あぁ。はる先輩が僕の手を)

ここは映画館。つまり──真っ暗闇のなか。

二つ年上の大学二年生、ひいらぎ遥香と入った映画館の最後列で今話題の恋愛映画を観ていたところ、いきなり手を握られたのである。

ドキドキしながら、ちらっと隣を見た。

「……そんなに驚かないの」

そんな裕に、遥香は色っぽく微笑み、小声で囁く。カーッと体温が上がった。

時は盛夏──夏休みの季節。今日は遥香と付き合い始めて三か月ほどになる映画デートだった。巨大スクリーンでは、美男美女の若い金髪カップルがムードたっぷりのBGMのなか、濃厚な接吻に耽っていた。

「こういうの、困るね。フフ」

遥香は囁いて肩をすくめる。たしかに恋人同士で観るときに、一番目のやり場に困るタイプのシーンだ。だがそこは何ごとにも積極的な遥香のこと。逆にこういうシーンが来るのを待ちかね、チャンスだと判断して行動に出てきた可能性もあった。

交際三か月目にして、初めて肌と肌が触れた。感激するなという方が無理だ。

(は、遥香先輩の手、すべすべして柔らかい)

遥香は、自分から手を握ってきた事実などいっさい存在しないというような涼しい顔をして、再びスクリーンに目を戻した。すらりと鼻筋の通った凛々しい美貌。アーモンドみたいな瞳が、銀幕から放たれる光できらきらと輝いている。背中まで伸びたストレートの黒髪が闇のなかで艶光りしていた。

今日の遥香は、スカーフ柄のプリントチュニックにベージュのショートパンツというお洒落な組み合わせだ。

裕の視線は、高貴な猫を思わせる端正な横顔から、つい遥香の胸元に移ってしまう。

推定バストサイズ九十五センチの見事な巨乳。

遥香が高校で吹奏楽部の先輩だったころから、この罪作りな巨乳が男子生徒の間でどれだけ話題になり、幾多の少年がその桁外れの大きさや形の良さ、柔らかそうな感触などについて熱っぽく語ったか、当然ながら本人はこれっぽっちも知らない。

遥香先輩のあの見事な巨乳を最初に揉める幸せな男はいったい誰か。それが自分だったらどんなに幸せか──誰もがそんな風に遥香に憧れ、話題にし、我こそはと思うつわものたちが、部員もそうでないものも玉砕覚悟で遥香に告白をした。

そして、片っ端から見事に玉砕した。

なかには「あいつだったら」「あの先輩だったら」と思えるような自他ともに認めるイケメンたちもいたが、誰一人、遥香のハートを射止めることはかなわなかった。

(そんな遥香先輩と、まさか僕がこんな風になれたなんて)

今さらのように、裕は感無量な気持ちになった。

遥香が高校を卒業して二年目の春。今は都内の名門お嬢さま大学に通う遥香自らに告白されるという青天のへきれき以外の何ものでもない「事件」を経由して、裕はいきなりその「あり得ない」玉座に就いていた。

遥香には、彼女が女子高生だったころから可愛がられていた。

あくまでも結果論ではあるけれど、「もしかして遥香先輩、僕のことを……」と思わなかったことが一度もなかったと言えば嘘になる。

だが遥香は学園のアイドル的美少女。

一方の裕は、背だってそんなに高くはなく、女の子に間違われることさえある中性的な少年で、男らしさとかかっこよさとは無縁なタイプだ。可愛い、と慕ってくれる女子が一人もいなかったわけではないものの、ある種の「女王様」である遥香にまで特別な感情を持ってもらえているなどとうぬれられるほど自信家ではなかった。

だから遥香の態度や言葉、自分を見つめる視線などが気になりはしたものの、都合のいい思い違いにすぎないのではという気がどうしてもしてしまった。

結局、高校時代は何もないまま終わった。遥香が女子大生になってからもメールや電話で連絡は取り合っていたが、あるとき一緒にご飯を食べようということになり、

「もー、ほんとに裕君ってれったい」

と、なかばプンスカ怒られながら告白され、気がつけば今、裕はしらうおにも似た長い指の美しさと温もり、すべらかな手触りに胸をときめかせているという次第だった。

付き合い始めた当初は、夢のなかの出来事にしか思えなかった。何しろ相手は天下の柊遥香である。決して謙遜ではなく、不釣り合いなカップルに感じられて気後れした。しかしこれほどまでの美少女と恋愛関係になれて幸せに思わないわけがない。

(僕、遥香先輩のこと好きになってもいいんだ!)

この世でたった一人の男にのみ与えられる特権的な栄誉。それを手に入れられた裕は、恋人同士として付き合えば付き合うほど遥香に対する恐れ多さ的な感情が次第に薄まり、彼女に対して甘酸っぱい恋心を抱き始めていたのである。