とうてい現実とは信じがたかった。だが夢だとしたら、このリアルすぎる気持ちよさはいったい何だ。遥香は根元まで怒張を飲み込むと、上下に顔を振り始めた。
「んっ、んっんっ。裕君、やっぱりおちんちんおっきい。んっんっ」
「うわっ、遥香先輩。き、気持ちいい。気持ちよすぎちゃいます……」
ぢゅぽぢゅぽ。ぢゅるぱ、んぢゅ。ぴちゃ、ぢゅるぷ。んぷぢゅ。
「あぁ、先輩」
遥香が顔を振るたびに漆黒の艶髪がリズミカルに波打ち、甘い香りが立ちのぼる。
鼻腔粘膜に染み渡る匂いが媚薬のようになり、射精衝動をいっそう煽った。
(これがフェラチオ? 亀頭を舐められるって、こんなに気持ちいいものなのか)
裕はうっとりと、遥香の猥褻な口奉仕に身を任せた。
ぬるぬるして温かな口腔粘膜がペニスを甘締めし、前へ後ろへと締めつけの位置を変える。遥香の温かな鼻息が股間を撫でる感触にもゾクゾクさせられた。
(ううっ、たまらない……)
ゴンドラは観覧車の頂点を通過し、ゆっくりと下降に転じた。
一台前のゴンドラのなかが見える。裕たちと同じように並んで座った若いカップルが仲睦まじげに寄り添い、楽しそうに笑いあっていた。
(ううっ、後ろを見ないでくれよ。一発でばれちゃう)
今さらのように遥香の大胆さに気圧された裕は、背後のゴンドラからも自分たちの姿が見えているはずだと気づいた。
(絶対見えてるよな。僕の股間に、遥香先輩が屈みこんで首を振ってる姿……)
後ろを振り返る勇気はさすがになかった。だが「エッチな行為を見られている」と思うと、淫らな昂揚感が増す。強烈な酸味を伴った快感が、全身を痺れさせた。遥香は裕を絶頂に押し上げようとさらに唇を窄め、狂おしい勢いで肉棹をしごきあげる。
「うあぁ、先輩。気持ちいい。あぁ、とろけちゃう」
「んっんっ、裕君、可愛い。んっんっ」
唇の責めに、今度は舌が加わった。
一刻も早く飴を舐め溶かそうとするような性急さで、ザラザラした舌が亀頭を舐めしゃぶる。遥香の舌は、たっぷりの唾液をまとわりつかせていた。
レロレロ、レロン。ぴちゃ、ぢゅるぷ、レロン。ぴちゃぴちゃ。にちゃ。
「あぁ、か、感じちゃう」
舌で鈴口を舐められるたび、ムズムズするような痛痒感が爆ぜ、背筋を悪寒が駆け上がる。尻上がりにカリ首の感度が高まり、陰嚢で精液が煮立ちだした。
勉強したの、と冗談交じりに言っていた。淫戯は拙いながらも、それが嘘ではないことがよく分かる必死なフェラチオに、裕の射精感は一気に高まる。
「先輩、僕、射精しちゃいます!」
ゆっくりと、ゴンドラが地上に近づいた。
「んっんっ。いいのよ、口のなかに出させてあげる。いっぱい出して」
裕の言葉を聞いた遥香はさらに勢いをつけて顔を前後に振り、肉棒をしゃぶった。
「うわっ。ああぁ」
みずみずしい女体から、甘ったるい汗の香りが立ちのぼる。形のいい額や首筋に汗の雫が滲み出し、奉仕行為の激しさを伝えた。
紅唇がキュッと棹を包み込んで往復する。今まで以上に強い締めつけ感に恍惚となり、ドロッとカウパーが漏れた。亀頭を這い回る舌の動きも激しさを増す。舌が鈴口を擦過するたびに、ペニスはおろかアナルまでもがキュンと疼く。
「あぁ、出る、先輩、出ちゃう」
抗いがたい射精衝動が股間から込みあげてきた。
「出して。口のなかに精液ちょうだい!」
「ううっ、先輩。ああああぁ!」
焼き栗が爆ぜるような衝撃が身体を貫いた。ゴンドラの座席でひくんと腰を浮かせた裕は陰茎を脈動させる。どぴゅ。どぴゅどぴゅ! 亀頭が膨張と収縮を繰り返し、陰嚢が煮込んだ生殖汁を、美少女の喉奥深く飛び散らせる。
「んぐっ。むんう、あん、す、すごい。むぐうぅ」
遥香は動きを止め、乱れた鼻息を鎮めながら裕の精液を受け止めた。ロングの黒髪が乱れ、汗ばんだ額や首筋にベッタリと張りつく。
「あぁ、先輩。ごめんなさい」
逞しい脈動を五回、六回、七回と繰り返し、ようやくペニスが子種の放出を終えた。
「全部……出た?」
ペニスを口に含んだまま、くぐもった声で聞かれた。
「え? あ、はい」
「……そう? んっ。こくん。こくっこくっ」
「あっ、遥香先輩」
(嘘だろう? 僕の吐き出した精子を、先輩が飲んでくれてる)
遥香はなおも怒張を咥え込んだまま喉を鳴らし、口のなかいっぱいに溜まったザーメンを嚥下した。精液を飲み下すたびに、白い首筋の皮膚が引きつる。
裕の肉棒は、遥香の口のなかでゆっくりと萎れ始めた。ちゅぽん──淫靡な音を立て、遥香の唇から陰茎が解放される。
「先輩」
「えへ、全部飲んじゃった。ほら、急いでジーンズ上げて」
遥香は顎を伝う白濁粘液を手の甲で拭いつつ、裕を急かした。
「あっ」
言われなければ、このままゴンドラから出てしまうところだった。裕は慌ててトランクスとジーンズを元通りにし、ベルトを締める。ゴンドラが地上に到着し、係員が「お疲れ様でした」と扉を開ける数秒前のことだった。
裕は遥香の手を取り、逃げるように観覧車をあとにした。
「裕君、一緒にシャワー浴びない?」
遥香が可愛く恥じらいながら裕を誘ったのは、それから一時間ほど後のことだった。
遊園地を出た二人は、都会の豪奢な景観を一望のもとに見下ろせるシティホテルの高層階の一室にいた。てっきりラブホテルにでも行くものだと思っていたが、遥香に連れられて入ったのは、分不相応もいいところの高級そうなホテルだった。