性器と性器が擦れあう部分を見る。裕のペニスには淫蜜に混じって鮮血も付着していたが、紬の淫声を聞く限りでは、少しずつ痛みが癒えてきたようにも思えた。
「ふわっ、ふわあぁ。あん、ご主人様。わ、わたし……あっあっ、ああぁ……」
下から突き上げるたびに、重力に負けて艶めかしくつぶれた乳房が円を描いて派手に揺れた。乳首は完全に勃起し、ピンク色の乳輪の中央に屹立している。
クリトリスもすごかった。肉莢からずる剥けになった牝豆が、完熟ぶどうのように膨張している。
「あぁ、紬さんのクリトリスいやらしい」
裕は少しずつ射精衝動が募りだしたのを感じつつ、片手を紬の股間に伸ばし、剥き身の淫核を親指で擦りあげた。
「ひいぃぃ。あっあっ。あん、いやん。ご主人様。それだめです。それだめぇ」
牝豆を責めながらの肉棒抽送に、悩乱の声はさらにけたたましさを帯びた。
溢れ出す愛液と鮮血にまみれたクリトリスはぬるぬるとぬめり、執拗に弾くと愛液と鮮血が指に付着して糸を引く。
「あん、感じちゃう。ご主人様、クリトリスはだめなの。弱いんです。ああぁ」
「ううっ、紬さん。もうだめ。射精しちゃう」
淫らに喘ぐ紬の反応に、一気に射精感を煽られた。いつまでも性器を擦りあわせて肉の快楽に溺れていたいのに、射精盛りの身体はそれを許してくれない。
クライマックスに向けて腰の動きを加速させる。
クリトリスから手を離し、再び両手で内股を押さえてがに股のポーズを取らせた。
グチャグチャ。ぬちょぬちょ、ピチャ、グチョ。ぬちょぬちょ。
「んふわぁ。ご主人様。あっあっ、すごい。あん、ふわはあぁ」
右へ左へと顔を振り、栗色の艶髪を乱れさせてエロチックな声を上げた。
「なかに出していい、紬さん? あぁ、もう出そうだよ。気持ちいい」
陰嚢のなかで精液が沸騰を始めた。輸精管が疼きだし、尿道が甘酸っぱく痺れて亀頭がひくつく。先走り汁が紬の膣に漏れた。
「だ、出してください。かまいません。ご主人様の精液、わたしにください。あぁ、ご主人様、わたしも……やだ、恥ずかしい、わ、わたしも……!?」
紬は中出しを許してくれた。しかもどうやら、紬にも最後の瞬間らしきものが迫っているらしい。感激した裕の我慢はとうとう限界を迎えた。
(き、気持ちいい。気持ちいい。もうだめだ)
「紬さん、射精する。射精するよ! ああぁ!」
「あぁん! あぁん、ゆ、裕ちゃん! んふぅわああぁ!」
膣の最奥部まで肉棒を突き刺した。柔らかな子宮らしき肉に亀頭が埋まるのが分かる。そのとたん、鈴口の先から濃厚な汁が噴き出した。
子宮に押しつけていた分だけ、派手に膣内を精液が逆流する。
「はうっ!? あっ、あぁ、ご……ご主人様。温かい。は、入ってきます。ご主人様の温かくて、ドロドロした精液が……」
肉感的な女体を小刻みに痙攣させ、とろけきった声で紬が言った。汗ばんだ身体から、甘ったるい汗の香りと牝の発情臭が湯気のように立ちのぼる。
「ううっ、紬、さん」
射精はなかなか終わらなかった。裕は乱れた息を整えながら、吐精の悦びに酔い痴れる。決して遥香には言えなかったが──間違いなく生涯最高の射精だった。
(……うん? そう言えば……)
とぷとぷと射精を続けながら、裕はふと思う。
(さっき紬さん、僕のこと、「ご主人様」じゃなくて別の呼び方で呼ばなかった?)
射精間際で興奮しきっていたため、聞き間違いかも知れなかった。
(まあ、いいや。それにしても、あぁ、癒される……)
裕はありったけの子種を紬の膣内に注ぎ込み、うっとりと身も心も弛緩させた。
紬はむちむちした身体を薄桃色に火照らせたまま、大きく胸を上下させ続けた。
第五章 恋人の肛門に酔い痴れる夜
「遅くまで勉強してたの? 何だかすごく疲れてる気がする」
翌日の夕方。食事をしたり、ショッピングをしたりとデートを楽しんだ末、裕と遥香は夕闇迫る市民公園を散策していた。
鬱蒼とした森が広がる都会のオアシス的スポット。今日も暑い一日で、いまだに湿度が高かった。だが真っ青だった空は、ようやく茜色に変わり始めている。
「まあ、勉強はしてましたけど、別にそんなに疲れてないですよ。大丈夫」
動揺を、決して顔に出してはならないと固く自分を戒めながら笑顔で答えた。
実を言えば、ほとんどまんじりともできないまま朝を迎えていた。
紬とのセックスの余韻もあったが、紬、遥香とのこれからの関係をどうしていったらいいのかと思うと、悩みは尽きなかった。
たった一回だけの契り──紬とは、そう約束を交わしていた。
紬のことはもう何度も裏切っていたが、さすがにこれ以上、彼女との約束を反故にするのはためらわれた。
昨夜は激情にかられて「紬さんを他の誰にも渡したくない」などと口走ってしまったが、自分には遥香というれっきとした恋人がいる。
紬にしたところで、「そこまで言うのなら」と情に流されて身体を許しただけで、裕のために婚約を解消するまでの気持ちはないのではあるまいか。
(でも、でも……あぁ、何が「でも」なんだか……)
裕は心を千々に乱して悶々としながら、遥香と公園を歩き続けた。
「ねえ、もう敬語やめて」
すると、突然遥香の口調が変わった。媚びを含んだ、愛らしい声。周囲に素早く視線を走らせると裕の手を取り、遊歩道から逸れて森の木立に足を踏み入れる。