「ブラジャー、取って」
「えっ!?」
「お願い! 紬さんのおっぱいがさっきから気になって。できれば、直接背中に擦りつけて、おっぱいで背中を洗いながら亀頭をしごいてほしいんだ。あ、命令!」
紬が動揺したことがはっきりと分かったため、裕は「命令」という言葉をもう一度持ち出して哀訴した。ペニスをしごいていた指が止まり、紬が小さく呻く。
「つ、紬さん。命令!」
「ううっ、か……かしこまりました」
紬は観念したようにまたも大きく息を漏らした。肉棒から手を離す。両手を背中に回した。ブラジャーのホックがはずれる音がする。
ハラリ──肩から二つのストラップが二の腕に落ち、ブラカップがずり落ちた。
(うおっ。おっ、おおぉ)
鏡のなかに、とうとう生乳房を露わにした紬の姿が現れた。窮屈な下着から解放された乳房がブラブラといやらしく揺れ、豊満な肉実同士を打ちつけあう。
(紬さん。乳首、すごい綺麗なピンク色。あぁ、乳輪も……)
色白の豊乳に、淡い桃色の乳輪と乳首がよく似合っていた。乳首は半勃ち状態で、乳輪のなかから中途半端に飛び出している。
(め、命令という形でお願いすれば、エッチなお願いでも聞いてくれるかな)
舞い上がった裕は、魔法の呪文を手に入れたような心地になった。
「ご主人様、で、では改めて、失礼します」
緊張した声で言うと、紬は再び裕の背中に女体を押しつけ、手を回して勃起ペニスを握った。ツルツルしたマシュマロのような巨乳が背中を圧迫して、柔らかくつぶれた。やはり下着越しなどとは全然感触が違う。
(あ、温かくて、柔らかい。乳首が、ちょっとだけ背中に食いこんで。あっ……)
紬はたぷたぷと揺れ踊る乳房を裕に押しつけたまま、再び手コキの奉仕を始めた。
最初はさっきと同じように棹の部分をしごいていたが、ほどなく指が移動し、カリ首をシュッシュと擦りだす。
「あっ、ああぁ」
「平気ですか、ご主人様?」
裕が呻くと、紬は慌てて手を止めた。
「やめないで。そのまましごいて。気持ちいいんだ。め、命令……」
「は、はい。んっ……」
すべすべした指が、たっぷりの泡を潤滑油にして亀頭を擦り立てる。
「も、もう少し、丸めた指の輪を小さくして」
「こうですか?」
「あっ、そ、それ。それそれ。ううっ、気持ちいい」
鈴口を包み込むにはかなり窮屈な指の筒ができた。紬の手が亀頭を行ったり来たりするたびに甘酸っぱい煮沸感が湧き、恍惚の悪寒が背筋を駆け上がる。
「気持ちいいよ、紬さん。ごめんね、変なことやらせて。でもすごく嬉しい。あぁ」
感謝しながら、つい少女のように喘いでしまう。
「ご主人様。き、気持ちいいのでしたら、わたしも……嬉しいです。んんっ……」
恥ずかしそうに紬が言い、ペニスをしごきながらいやらしい挙措で双子の乳房を背中に擦りつけた。柔らかな肉のマシュマロと、小さな二つの突起が背中を撫でる感触に、裕はまたも快感の溜息を零す。
手コキにしても、乳房を背中に擦りつける動きにしても、巧みというにはほど遠い。
しかし紬は意外にも、懸命に卑猥な奉仕を捧げてくれた。紬にしてもらっているというだけでも大興奮ものだったが、その一生懸命な姿も裕の歓喜を倍増させる。
「あっ、はうっ。い、いかがですか、ご主人様。んっ、んっ……」
(えっ? 紬さん。あっ、乳首、どんどん硬くなってきた)
紬の朱唇から漏れ出す声に、どこか妖しいものが混じりだしてきた。背中に感じる乳首も、明らかに勃起を始めている。
(紬さんも、エッチなことをやらされて少し感じて来たのかな。あぁ、興奮する)
必死に押し殺す秘めやかな喘ぎ声が媚薬になり、裕の射精感は一気に募った。
「気持ちいいよ、紬さん。あぁ、そろそろ、射精したくなって来ちゃった」
ジンジンと亀頭を疼かせ、繰り返し全身に鳥肌を立てながらうわずった声で言った。
「どうすればいいですか? このまましごいていいですか?」
「しごいて。できれば、もっと強く。もっと激しく」
「こうですか? ご主人様、こうですか?」
「おっぱいも、もっといっぱい背中に擦りつけて。め、命令……あぁ、気持ちいい」
裕に最後の瞬間が近づいてきたことが分かった紬は息を乱し、拙いながらも必死な動きで肉棒をしごき、乳房と乳首を背中に擦りつけてくる。
目の前で白い光が明滅した。耳の奥で潮騒のようなノイズが高まる。紬の指でグチャグチャに揉まれる亀頭が一際大きく膨らんだ。
「あぁ、気持ちいい。射精するよ、紬さん。ううっ、もう出る」
「出してください。全部出してください。あぁ。ああぁ」
「ううっ、イク……んああぁ!」
ビクンと身体が跳ねた。亀頭から、糸を引いて濃密な白濁粘液が飛び散る。
「あぁ、す、すごい……」
おそらく、生まれて初めて目にするのだろう。逞しく吐精を始めた裕のペニスに、紬は嘆声を上げた。
上へ下へとせわしなく動いて鈴口を擦っていた指が亀頭を包み込んだまま止まる。
そんな紬の指のなかで膨張と収縮を繰り返す鈴口が、そのたびにどぴゅどぴゅと、大量の精液を勢いよく撃ち出した。生臭い、栗の花のような匂いが浴室いっぱいに立ちこめる。噴き出した精液が目の前の鏡や壁をビチャビチャと叩いて四散した。
「くうぅ、紬さん……」
陰茎の肉ポンプを痙攣させ、心ゆくまで子種を吐き終えた裕は、ぜいぜいと乱れた息を整えながら、背後の紬に言った。