かび臭い匂いも、シミの浮き出た壁も、時代遅れもいいところの丸い回転ベッドも、決して千尋を連れ込むのにふさわしいホテルではないことを物語っている。
だが燃え上がるような熱情に憑かれた裕に、もう一刻も猶予はなかった。
千尋も、そんな裕の想いを分かってくれた。いや、もしかしたら千尋自身も、裕と同じ昂揚感に身を疼かせてくれているのかも知れない。
ベッドにいざなおうと、キスをしながら移動を始めた。千尋はくぐもった呻き声を漏らし、足元をふらつかせて裕に従う。
「きゃっ」
二人して、円形のベッドにもつれあうように倒れ込んだ。かび臭いベッドのスプリングがギシギシと軋む。
「お姉ちゃん、僕もう我慢できない」
なおもちゅぱちゅぱと、ぽってりした朱唇を貪り吸いながら言った。
「いいのよ。我慢しないで。裕ちゃんの好きにしていいの」
淑やかな美貌を色っぽく紅潮させ、瞳を潤ませて千尋が言う。二人の口にはネバネバした唾液の橋が伸びていた。
「千尋お姉ちゃん……」
感激しすぎて身悶えたくなった。千尋のショーツでオナニーをしたときの妄想や、公園で遥香にしてもらった下品な行為が脳裏に蘇る。
「裕ちゃんを喜ばせてあげたい。何がしたい?」
愛おしそうに、すべらかな指で頬を撫でられた。この優しい年上の女性に思いきり甘えたいという焦げつくような欲望がいやでも肥大する。
「パ、パンツを脱いで立ち上がったら、僕の顔をまたいでほしいんだけど?」
「いいわよ。待って」
千尋は恥ずかしそうにしながらも、もぞもぞとショーツを脱いだ。千尋によく似合う、清純そうな純白のショーツだ。その間に、裕も着ていたものを脱いで全裸になった。露わになった男根は、身も蓋もないほどギンギンに勃起していた。
そんな裕の発情性器をちらっと見て、千尋の顔がさらに朱色に染まる。脱いだ下着を丁寧に畳んでかたわらに置くと、ベッドに立ち上がった。
「どっちを向いてまたがればいい?」
「ぼ、僕に、お尻を向ける形で……」
ドキドキしながら千尋に頼んだ。千尋は「恥ずかしいな……」と苦笑しながら、内股気味の艶っぽい挙措で裕の顔をまたぐ。
ヒラヒラと翻る花柄のワンピースのなかに、剥き出しの陰部と臀肉が見えた。
「……そうしたら?」
「お姉ちゃん。ワンピース、腰の上までたくし上げたら、ゆっくりとしゃがみ込んで僕の顔に思いきりお尻を押しつけてほしいの」
「えっ」
千尋は驚いたように背後の裕を振り返った。
「僕、お姉ちゃんのパンツでオナニーしてたときも、お姉ちゃんにそんな風にされることを想像しながらしてたの」
「……いけない子」
恥じらいに満ちた艶やかな顔つきで、千尋は裕を可愛く睨んだ。
「お願い。だめ?」
「……いいわ」
甘く優しい声だった。一つ大きく深呼吸をすると、自らの手でワンピースの裾を腰の上までたくし上げる。むちむちした色白のふとももと、何一つ遮るもののない、女性の肉体のもっとも恥ずかしい部分が完全に晒された。
「ゆっくりとしゃがんで。和式便器にまたがるみたいに」
「あん、裕ちゃん。恥ずかしい。うぅっ……」
戸惑った声を上げながらも、千尋は脚を開いて位置を調整すると、おもむろに腰を落とし始めた。魅惑の巨尻が白桃みたいな形になり、ゆっくりと近づいてくる。
(あぁ、お尻の穴が……)
パックリと桃尻の谷間が割れ、臀裂の底で息づく薄桃色の秘肛が露出した。放射状の皺を伸ばした肉の窄まりが恥ずかしそうに収縮した。千尋はがに股姿になり、文字通り「和式便器にしゃがみ込む」格好になってさらに膝を折る。
(やっぱり大きい。押しつぶされる、お姉ちゃんの大きなお尻に。ああぁ……)
豊熟尻が視界を塞いだと思ったとたん、柔らかな肉が顔面をいっぱいに圧迫した。
「あん、いやっ。ふはあぁ……」
「んあっ。あぁ……」
紬の尻はわずかに汗ばみ、湿っていた。尻の谷間に籠もっていたらしい匂いが鼻腔粘膜に染み渡り、媚薬のように痺れさせる。
「く、苦しくない、裕ちゃん?」
心配そうに聞かれた。正直に言うなら鼻まで押しつぶされ、息苦しいことこの上ない。だがこんな苦しさなら大歓迎だと裕は思った。
「もっと体重乗せて、お姉ちゃん。もっとお尻で思いきりギュウギュウして」
「あん、裕ちゃん、可愛い……」
恥ずかしがりながら甘えてくる裕に母性本能を刺激されたのか。千尋は乞われた通り、さらに体重を豊臀に乗せてグリグリと裕の顔を押しつぶす。
(ううっ、最高だ)
極限まで膨張しきった勃起ペニスがピクピクと棹をひくつかせた。酸素不足になって朦朧としながら、裕は口から舌を飛び出させ、臀裂の底を舐め上げる。
「ふわあぁ。ゆ、裕ちゃん。やだ、そこは……あぁん、感じちゃう」
「んんっ……千尋お姉ちゃん」
裕が舌を這わせたのは薄桃色の肛肉だ。ざらつく肉皺の凹凸を擦りあげて舐めると、千尋のアナルは裕におもねるようにいやらしくひくつく。
ぴちゃ、レロ、ピチャ。ヌチャヌチャ。ぐぢゅ。ぴちゃ。
「あぁん、裕ちゃん。あはあぁぁん、感じちゃう! ふはあぁぁ!?」
「あっ」
肉の窄まりの中心部に尖らせた舌を突き立てると、千尋は取り乱した声を跳ね上げ、裕の顔から尻を剥がした。弾かれたようにつんのめり、四つん這いの格好になる。