家政婦は蜜尻女子大生 初恋の君と恋人の甘いご奉仕

目の前で、心のシャッターをガラガラと下ろされる音を聞いた気がした。自業自得とはいえ、やはり傷ついた。

「遥香さんに申し開きができないような真似はいたしかねます。それに」

紬はまたも裕に背を向け、まな板の上の野菜を刻みだす。

「実はわたしにも、婚約者がおりますので」

「えっ」

裕は絶句した。そんなこと、今初めて聞いた。野菜を切るリズミカルな音が、まるで裕の心をざくざくと微塵切りにしているように聞こえる。

(こ、婚約者!? それじゃ紬さん、もうすぐ結婚するってこと?)

自分でも意外なほどのショックを覚えた。

(そんな……そんな。紬さんが……結婚!?)

「あ、あの……婚約者って、どんな……」

「プライベートな話ですので、お答えする必要はないかと」

裕に背中を向けたまま、紬は答える。悲しみ。驚き。そして──喪失感。完全に嫌われたと思うと、それら諸々の感情が屈折した怒りに変質し、裕のなかで膨張する。

「……婚約者がいるのに、どうして僕とセックスをしていいなんて言ったの?」

我知らず、どす黒いものが言葉に滲んだ。裕の声音に尋常ではないものを感じたのか。「えっ?」という顔つきで、紬が振り返る。

「ご主人様?」

「僕も嘘をついていたかも知れないけど、紬さんだって人のこと言えないじゃない」

紬を見つめる目は、多分不穏に底光りしていただろう。今まで感じたこともなかったような邪悪で歪んだ欲望が、裕を嗜虐心の塊に変える。

「そ、それは」

「分かったよ。そんなに僕とエッチしたくないならもういい。紬さんには、もう指一本触れない。その代わり一つだけ条件がある。いや、主としての命令」

裕は自分自身に驚いていた。真面目で大人しいだけが取り柄の男だと思っていたのに、自分のなかにはこれほどまでにまがまがしく、悪辣なものもあったのだ。

「……め、命令、とは?」

「今後、家事をするときは裸になって」

「えっ」

「それが条件。でないと、紬さんに何をしでかしても責任持てないよ。さあ、すぐに裸になって」

目を丸くして、紬は裕を見た。耳にした言葉が信じられない顔つきだった。

「そんな。いやです。そんなことするぐらいならお暇をいただきます」

「それなら、僕と紬さんの間にあったこと、全部婚約者にばらすけどいい?」

「ご、ご主人様……」

清楚な美貌が哀切に歪んだ。軽蔑された気がして、裕はつい目を逸らす。だが運命の歯車は無惨に狂い、もう後には引けない事態になりつつあった。

「早く脱いで。僕が見ている前で」

こうなったらとことんわがままで横暴な主になるしかなかった。セクハラ? 何とでも言えばいい。訴えられても、とことん紬を虐めたい気持ちでいっぱいだった。

キッチンテーブルの椅子に座り、腕組みをして紬を見上げた。

キャミソールとホットパンツにエプロン姿の紬は青ざめた表情でうつむいた。

長い時間が言葉もなく過ぎた。時折、白く細い紬の指がエプロンの布をギュッと握りしめる。せつなそうに唇を噛んだ。

「分かりました」

やがて、蚊の鳴くようなか細い声で言った。

「その前に、おトイレに行かせていただいてよろしいでしょうか?」

恥ずかしそうに声が震えた。考えてみれば遥香を接待していたせいもあり、もう何時間も用を足しに行っていないはずだ。

「だめ。まず服を脱いで。それからおしっこに行って。こっちを向いて脱いでね」

懇願する紬に、酷薄な口調で裕は言った。人間は、ちょっとした心の傷であっという間にここまで残酷になれるものなのだと、どこか他人事のように思う。

「か、かしこまり、ました……」

再び長いこと逡巡した挙げ句、ようやく覚悟を決めたらしかった。ふと顔を見ると可憐な美貌が歪み、柔和な瞳から涙が溢れている。胸が痛むのを感じた。だが屈折に屈折を重ねた少年の悲しみは、紬の泣き顔さえ歪んだ肉悦に変える。

(あぁ、脱ぎ始めた……)

ついに紬は、淫らなストリップを始めた。両手を首の後ろに回してエプロンの肩紐をとき、腰に巻いた紐をはずしてキャミソールとホットパンツ姿になる。

両手をクロスさせ、キャミソールの裾を掴んだ。怖じ気づいたように動きを止めたあと、鼻を啜り上げ、ゆっくりとたくし上げた。

(やっぱりすごい)

さっきも目にした雪白の餅肌と、大きなブラカップが露わになった。

キャミソールが首から抜ける瞬間、一緒になっていったん持ち上がった乳房が重力に負けて再び元の位置に戻り、ブラジャーと一緒にユサユサと揺れる。

エプロンに続き、キャミソールも丁寧に畳んで椅子に置くと、白魚のような指がホットパンツに伸びた。ボタンをはずし、ファスナーを下ろす。それでもホットパンツは、ダイナミックに張り出した豊臀にぴたりと張りついたままだ。

紬は相変わらず目から涙を溢れさせ、鼻を啜りながら両手の指をホットパンツの縁にかける。身を屈め、大きな尻をプリプリと左右に振って、ズルッ、ズルズルッとホットパンツを股間からずり下ろした。

(な、何てエッチな下着姿)

椅子の上で腕組みをしたまま紬の脱衣姿を見ていた裕は、そわそわと落ち着かない気分になった。むちむちと肉感的な餅肌の女体を覆うのは、もはやフリルのついた純白のブラジャーとショーツだけだった。

平気なふりをしていたが、テーブルの下では早くもペニスが完全に勃起していた。