「だめだ。風呂にでも入ってさっぱりしてくるか」
夕食のあと、もう少し勉強を進めるかと気合いを入れて机に向かったものの、なかなか集中できずに時間ばかりが経っていた。
気がつけば遥香のことを思ってしまい、悶々としてしまうから、というのならまだいい。しかし裕の心を落ち着かなくさせるのは、遥香ではなく紬だった。
艶めかしく揺れる乳房や、ミニスカートから覗くむちむちしたふともも。窮屈そうに黄色いスカートを盛りあげる豊満なお尻がプリプリとくねる様を思い出すと、どうしようもなく心が騒いだ。
いや、単に肉体だけの問題ではない。つい先ほど、身を挺して車から自分を庇ってくれた紬を思うと、その存在はいっそう大きなものになりだしていた。
気分転換が必要だった。クーラーを止め、椅子から立ち上がる。替えの下着を用意して部屋をあとにし、階段を下りた。
紬はキッチンで明日の朝食の下ごしらえをしていた。流し台の前にエプロンを着けて立つ紬のスカートの臀部は、相変わらず艶めかしく膨らんでいる。
(いけない、いけない)
目にも心にも毒だった。かぶりを振り、浴室に続く洗面所に入る。洗面所には洗濯機も置かれていた。Tシャツを脱ぎ、洗濯槽のふたを開けてなかに放り込もうとする。
「うん?」
そんな裕の目が、洗濯槽のなかに入っていたあるものに留まった──洗濯ネットだ。
洗濯機のなかには、昨日紬が着ていた花柄のシフォンワンピースも、丁寧に丸められて入っていた。胸に炭酸水が染み渡るような激感が湧く。
(洗濯ネット。これって、もしかして……)
閉じた洗面所のドア越しに、キッチンの気配を探った。くぐもったトーンで、紬が冷蔵庫を開ける音や、キッチン内を歩き回る音が聞こえる。
(僕が風呂に入るって分かってるんだから、絶対ここには入ってこないはず)
そう考えると、心臓の鼓動音がさらに速まり、背筋が粟立った。そんなことをしてはだめだと思いつつも、自分を抑えられない。心臓のある場所をいやというほど実感させられながら洗濯槽に手を伸ばし、小さな洗濯ネットを拾い上げた。
真綿で首を締めつけられるような気分になり、震える手でファスナーを開ける。
そのとたん、ほんわかと馥郁たる芳香が立ちのぼった。
「あっ、ああぁ……」
思わず嘆声を漏らす。卑猥な予想は見事に的中した。洗濯ネットのなかには、汚れ物のショーツと巨大なカップを持つブラジャーが綺麗に畳んで詰めこまれていた。
(ううっ。つ、紬さんのパンツ。洗う前の、パンツ……)
もちろんブラジャーにもそそられたが、裕の淫心を鷲掴みにしたのは、やはりショーツだった。もう何度盗み見たか分からないあの魅力的な豊臀や、もっとも秘めやかな部分にピッタリと密着していた下着だと思うと、身体が妖しく痺れた。
(僕って、こんな男だったんだ。あぁ、遥香先輩、ごめんなさい……)
自己評価では真面目で堅物な少年のつもりだった。しかし気がつけば洗濯ネットからショーツだけを抜き取り、ジャージパンツのポケットに丸めて突っこんでいる。
洗濯ネットを元通りにして洗濯槽のなかに入れた。一度脱いだTシャツに再び腕を通すと、音を立てないよう注意を払って洗面所をあとにした。
足音を忍ばせてキッチン脇の廊下を通過し、そろそろと階段を上る。勉強部屋のドアをそっと開閉してなかに入り、ベッドの縁に腰かけた。
思わず、大きな溜息が漏れる。きっとこれは、立派な犯罪だ。ジャージパンツのポケットに手を入れ、ショーツを取り出した。胸のなかいっぱいに強烈な酸味が広がる。とくとくと心臓を脈打たせ、三角形の小さな布を両手で広げた。
「あぁ、すごい」
シルク素材らしい、純白のショーツだった。凝った花の刺繍が一部を彩り、上品さと猥褻さの双方を色濃く感じさせる。
清楚で愛らしい紬の、健康的で初々しい色気とよくマッチした下着だった。
裕はベッドに仰向けになり、下着を反転させて裏布を露わにさせる。
「紬さんのオマ○コに直接当たってた部分なんだよな」
両手でショーツを広げてピンと伸ばし、まじまじと裏布を凝視する。ワレメがくっついていたあたりの布が、他の部分に比べてうっすらと変色していた。
「あっ!」
声を出してしまい、慌てて肩をすくめる。裏布に、縮れた秘毛が一本張りついていたのだ。身体がカーッと熱くなった。
(うぅ。たまらない)
理性を散り散りにさせた裕は、陰毛つきショーツの裏布を鼻面に押しつけた。
「ううっ、うううっ」
呻きながら、思いきり息を吸う。鼻腔粘膜いっぱいに牝臭が飛びこんできた。
磯の香りとチーズ臭、鼻の奥までつんと来る甘酸っぱい匂いに、ほんのりとアンモニアの香りまでもがブレンドされた生々しい芳香。
鼻腔ばかりか脳髄にまでも染み渡る女の人ならではの匂いは、強烈な媚薬だった。いつしか裕のペニスは完全に勃起し、ジャージの股間を突き上げる。
トランクスごとジャージを脱ぎ捨て、下半身を丸出しにした。硬く反り返り、下腹部にくっついた怒張を握りしめる。陰茎は焼けた鉄のように熱かった。
「あぁ、紬さん……」
紬の名を呼び、なおも美人家政婦の股ぐらの匂いを吸引しつつ肉棒をしごく。
丸めた指の筒で肉傘の縁をシュッシュとしごく、いつもの自慰のしかただ。