洋館の母娘
蜜肌のW報酬
小説:天草白
挿絵:清兵衛
リアルドリーム文庫
登場人物
田島 康平
大学一年生の童貞。教師になることを目指している純朴な青年。友人から紹介されて桐原家で住み込みの家庭教師を始める。
桐原 佳織
上品な容姿ながら、白い肌、豊かな乳房により妖艶な雰囲気を纏う三十代後半の美女。年齢よりも若々しく見える社長夫人。夫が多忙のため身も心も寂しさを感じている。
桐原 沙良
佳織の一人娘の高校三年生。高飛車で生意気な性格ながら根は素直。美しい艶に彩られた長い黒髪、切れ長の黒瞳の怜悧な美貌。モデル顔負けのスレンダーな肢体を持つ。
第1章 洋館の貴婦人 報酬は熟れた女体
「すみません、家庭教師の仕事で伺いました田島と申しますが──」
インターホンで用件を伝えて金属製の門を開けてもらうと、椎の木が左右に並ぶ洒落た並木道が現れた。十メートル以上続く並木道の終点にはクラシックな煉瓦造りの洋館がそびえている。
「ここが桐原邸か。話には聞いていたけど、すごい家だな」
田島康平は目の前にそびえる巨大な館に圧倒された。ドラマや漫画でしかお目にかかれないような豪奢な屋敷。文字通り『富豪の邸宅』だ。
「ようこそいらっしゃいました、田島康平様。ご案内を仰せつかりました、橘京子と申します」
出迎えてくれたのは、これまたアニメにでも出てきそうなエプロンドレスの可愛らしい女性だった。ここの使用人らしい。
「田島様は住み込みでのお仕事と伺っております。これから一月ほど生活する場所ですので、おおまかな間取りは覚えてくださいね。さ、あたしについて来てください」
京子の案内で館の中を進んでいく。
──康平は都内の大学に通う一年生だ。
アルバイトを探していたところ、友人からここの家庭教師を紹介された。資産家の娘とは聞いていたが、実際に訪れた桐原家は想像を超えていた。
教える相手はここの一人娘である桐原沙良だ。
仕事をするに当たって、先方はいくつかの条件を出していた。
秋に行われる推薦入試の追いこみのため、可能な限り付きっきりで教えてほしいこと。そのために一ヶ月間、屋敷に住み込みで家庭教師をしてほしいこと。
当然、通常の家庭教師よりも拘束期間はかなり長くなる。ただし、アルバイト代は相場の四倍以上。
相手が素封家ということもあるが、これは破格の報酬である。桐原家は康平の自宅よりも大学への通学が便利な位置にあり、下宿気分でこの仕事を引き受けることにしたのだった。
この家に来ることになった経緯を思い起こしている間にも、案内のメイドはどんどん進んでいく。置いていかれないように、康平は彼女の後を追った。
行き先は応接間だ。館の女主人であり、生徒の母でもある桐原佳織が康平に挨拶したいのだという。
「これだけ広い家だと迷いそうです」
「あたしもたまに迷いますよ、ふふ」
落ち着きなく周囲を見回す康平に、京子が悪戯っぽく笑った。
無理もないと思った。使用人でさえ迷うことがある、というのも納得の広さなのだ。
「敷地内は基本的に自由に散策していただいて構いません。もちろん、私室などに立ち入ることはご遠慮いただきますが……後は、中庭の一角に奥様のプライベートスペースがありますので、そこへは入らないでくださいね。それともう一つ、あの部屋も立ち入り禁止です」
京子が廊下の奥にある重厚な扉を指差す。
口調こそ丁寧だが、彼女の声には有無を言わせぬ迫力があった。
「鍵を持っているのは旦那様だけで、奥様や沙良様でさえ立ち入れないとか。その旦那様も滅多にここへ帰りませんので、ちょっとした『開かずの間』ですね」
(開かずの間……かぁ。ますますドラマっぽいな)
まるで自分が映画の中の世界に迷いこんでしまったように錯覚する。
「あたしは次の仕事がありますので行きますね。応接間は廊下を曲がった先の突き当たりにありますので」
丁寧に一礼をして去っていく京子。
言われた通りに廊下を曲がると、五つの部屋が並んでいた。
「あれ、どの部屋だろう……?」
康平は戸惑いで立ち尽くした。てっきり部屋が一つだけだと思っていたのだ。もう少し詳しく聞いておけばよかった、と後悔する。
(しょうがない、もう一回聞くか)
先ほどの場所まで戻るが、すでに彼女の姿はなかった。
「うーん、困ったなぁ」
康平は頭をぽりぽりと掻きながら、軽くため息をついた。とはいえ、ここでいつまでも立ち尽くしているわけにはいかない。とりあえず五つの部屋の内、一番立派そうな扉を選んだ。
「し、失礼します」
おっかなびっくりでドアを開いて部屋に入った。
「……えっ?」
視界に飛びこんできた光景に、康平の頭の中はフリーズした。
最初に認識したのは、抜けるような白──美しく滑らかな妙齢の女性の肌だ。
続いて艶めいた盛り上がりを見せる胸の双丘が、さらに見事に括れた腰のS字ラインが、そしてむっちりと脂の乗った熟れた臀部が、次々と康平の視覚を淫らに刺激してくる。
目の前にいる女性は、ちょうど着替えている最中だったのだ。しかも下着まですべて脱ぎ去った状態の全裸だった。