裕に愛を告げたときのことを思い出して羞恥が増したのか、遥香は端正な美貌を紅潮させ、甘えるように言った。高嶺の花以外の何ものでもなかった遥香が、自分のことをそんなに特別に想ってくれていた現実に、改めて幸せな心地になる。
「遥香先輩……」
「裕君……」
どちらからともなく相手に顔を近づけ、唇を重ねた。啄木鳥が餌をついばむような接吻を二度、三度と続ける。
だが、次第にそれだけでは満足できなくなった。今度は息さえ止まるほど熱烈に唇を重ねあい、右へ左へと顔を動かす。熱い鼻息が互いの顔を撫でた。
裕のペニスはあっという間に硬くなり、ジーンズの股間を内側から思いきり突き上げた。あまりの窮屈さに痛みを覚え、モゾモゾと身体を動かす。
「どうしたの?」
唇を離して遥香が聞いた。二人の唇の間に、涎の粘糸が伸びる。
「え。いや、あの……興奮しちゃって」
「えっ? あっ」
裕の股間に視線を落とした遥香は、年下の恋人の性器の状態に気づいた。
「大きく……なっちゃった?」
秘めやかな囁き声で言われた。裕はばつが悪くなる。
「すみません」
「謝ることない。嬉しい。私、裕君を興奮させてあげられているのね」
遥香は言うと、白魚のような細い指を裕の股間に這わせた。
「あうっ、先輩」
「すごく硬い。それに、こんなに熱くなって……ああぁ」
遥香にとっては、初めて触れる異性の股間のはずだった。
ゴンドラはさらに中空へと上がり、夏の青空が近づいてくる。上のゴンドラも下に続くゴンドラも、なかが見えない角度になっていた。
「してあげようか」
「えっ」
「ここで……私、してあげる」
遥香は裕のジーンズのベルトをはずし、ボタンをはずしてファスナーを下ろす。
「は、遥香先輩!?」
「いいから早くお尻上げて。急いで」
切迫した声で重ねてうながされ、裕はつい腰を上げた。その隙を逃さず、遥香はトランクスごと、裕のジーンズを膝まで脱がす。
若竹のようにしなり、雄々しく勃起した陰茎が露わになった。まだ十八歳の裕のペニスは薄桃色をしており、亀頭だけが毒々しい暗紫色になって肥大している。
「お、おっきい。裕君、おちんちん、大きい方?」
剥き出しになった勃起に驚いたように目を剥き、華美な美貌をさらに妖しく火照らせて、遥香はおずおずとペニスに手を伸ばす。
「どうなんでしょう。別にそういうわけでも。あぁ……」
ひんやりしたすべらかな指で肉棒を握られ、思わず天を仰いだ。本当は平均サイズよりかなり大きめな陰茎だ。勃起すれば二十センチ以上になる。
「痛いの?」
「違います。すごく、敏感になってて……感じちゃうんです」
「すごい熱い。男の子のおちんちんって、こんなになるのね」
きっと遥香を知らない人が、すれ違う彼女を見たら「男になんかこれっぽっちも興味がない深窓のご令嬢」に見えるだろう。
裕だって、遥香とこんな仲にならなかったらきっとそう思っていたはずだ。
それなのに、遥香は女の子としての素顔を露わにし、興味津々でペニスを見つめる。
「しごいてあげるね」
棹の部分を握ったまま、遥香はしこしこと陰茎をしごき始めた。
「うわっ。あっ、ああぁ」
裕はうわずった声を上げて身悶えた。生まれて初めて、自分以外の人の手によって愛撫される勃起ペニス。しかもしごいてくれているのは遥香なのだ。
「んっんっ。どう、裕君?」
火照った女体を密着させ、耳元に熱い息を吹きかけて聞いてくる。
ぎこちないけれど、愛情のこもった一生懸命な手コキ。テクニック云々ではなく、遥香にしてもらっていると思うだけで射精衝動が募ってくる。
「あうっ、あぁ、き、気持ちいいです。あっ」
しごかれるたびに感度が増す肉棒は、早くも亀頭の先から先走り汁を漏らした。
「きゃっ。これ、精液? じゃないわよね。あ、これが……カウパー氏腺液?」
巨大な鈴みたいに膨らんだ亀頭の先っぽをしげしげと眺め、小首を傾げて裕に聞く。その目には、さっきよりさらに淫らな欲情の色があった。
「そ、そうです。ごめんなさい、出ちゃった」
「謝ることないわ。これが出てきたってことは気持ちいいのよね? ンフフ」
妖しい微笑が浮かんだ。「私、勉強したの」と甘ったるい囁き声で告白し、悪戯っぽく笑う。思わぬ色香にブルッと背筋が震えた。
「あっ、あぁ、遥香先輩。んあぁ……」
長い人差し指の腹で、漏れ出た先走り汁を亀頭にヌルヌルと練りこまれる。
過敏さを増した亀頭を潤滑油混じりに擦られ、肛門まで疼くような快感が駆け抜けた。肉棒が再び脈動し、さらなる我慢汁を漏らしてしまう。
「フフ、ビクビクいってる。もしかして、すぐ出ちゃいそう?」
いやらしい手つきでシュッシュと肉傘の縁を擦り、遥香が聞いた。
「は、はい。気持ちよすぎて。ああぁ」
カリ首を摩擦されるたびに快美感の火花が爆ぜた。口のなかいっぱいに苺を頬張ったような酸味が広がり、全身に染み渡る。
「もっと気持ちよくさせてあげる」
遥香は瞳を潤ませて言うと、いきなり裕の股間に屈みこんだ。
「えっ。あっ、ああぁ、遥香先輩!? うわあぁ」
ヌルヌルして温かなものに、パクリと陰茎を飲み込まれた。
(嘘だろう。こんなところで遥香先輩が、フェ、フェラチオを。うわっ!?)