熟母略奪 息子の前で犯されて

熟母略奪
息子の前で犯されて

小説:筑摩十幸

挿絵:asagiri

リアルドリーム文庫
熟母略奪 息子の前で犯されて

登場人物

みず はるか

三十三歳。喫茶店「オアシス」の女店主。五年前に夫と亡くすも、彼の遺志をつぎ、息子のシンジと店を切り盛りしている。

水野 シンジ

遙の息子。気は弱いが成績は優秀で、母親思いの孝行息子。

ひょうどう タケル

シンジの同級生で、裕蔵の息子。父親に似てずんぐりとした小太りの体型。

俵藤 ゆうぞう

六十歳。不動産を経営しており、遙に店の土地の売買を持ちかける。

第一章 喫茶「オアシス」

喫茶「オアシス」の店内は、常連客で賑わっていた。

外資系のコーヒーチェーン店が進出してきた現在でも、ここオアシスの客は絶えない。厳選した豆を一杯ずつ丁寧にドリップした淹れたてコーヒーが、チェーン店のものより遥かに美味しいのはもちろんだが、一人で切り盛りしている女性店主の魅力に依るところも大きかった。

「はい。ブレンド、お待たせ」

みずはるか。五年前夫を病気で亡くし、今は息子と二人暮らしだ。

艶のある黒髪を後ろで束ね、健康的なトレーナーと颯爽としたジーンズを穿きこなす姿は、綺麗と言うよりも格好いいという表現が似合う。

化粧ッ気もほとんどなくリップクリームを塗る程度。接客にしても丁寧ではあるが、必要以上に媚びを売ることもなく、優しいお母さんという印象が強い。遙は意識していないが、そんなところも癒しを求める男たちには、非常に魅力的なのだ。

かといって女としての魅力がないかと言えば、それは大間違い。

シャツブラウスを盛り上げる乳房はたわわな果実を連想させ、歩くたびにゆっくりと上下に揺れる。蜂のように鋭角にくびれたウェストに続いて、ヒップはツンと上を向いて、今にもジーンズがはちきれんばかりのボリュームがある。

さらに太腿からふくらはぎへ続く優美な脚線も申し分ない。ムチムチとした肉づきの良さとは対照的に、膝と足首がキュッとくびれて、それ自体が女体のミニチュア版といっていいほど。

それらが色気というより、むしろ母性として感じられるのは、遙自身が自分の女としての魅力に鈍感であるためかもしれない。

「うまい。遙さんの淹れるコーヒーは最高だな」

客の一人がカウンター越しに話しかける。

「あら、ありがとう、お肉屋さん。お世辞でも嬉しいわ」

遙は親しみを込めて常連客の一人をそう呼んだ。そんな飾らないところも遙の人気の一つなのだ。

「お世辞なんかじゃないよ。俺も同感。遙さんのコーヒーは世界一だよ」

「お前の魚臭い口で、コーヒーの味がわかるのかよ」

「な、なんだと」

「ウフフ、魚屋さんもお肉屋さんもケンカしないの。でも私なんてまだまだよ。あの人の腕には遠く及ばないわ」

軽く二人をたしなめた遙は、壁にかけられた写真に眼を細める。

夫と息子と一緒に撮った家族三人のポートレート。愛する息子のため、そして誰からも愛される喫茶になるという夫の夢のため、遙は精一杯努力してきた。

その甲斐あって、シンジはスクスクと成長し、店も今では隣町からも通ってくれる客ができるほど繁盛している。

「ところで遙さん、再婚はしないのかい?」

「またその話? 私みたいな子持ちのおばさんなんて、誰が相手するっていうのよ」

「そんなことないさ。もっと化粧したり、服も女っぽいものにすれば、町中の男が飛びつくよ」

「アハハハッ。冗談言わないで。私にはこの店とシンジがいればそれでいいの。これ以上望むモノなんてないわ」

さばさばとした感じで、遙は男たちをあしらった。

夫が他界して五年になるが、男のおの字もない生活を送ってきた。三十三歳と言えば世間ではまだまだ熟れ盛りの女として引く手あまた。遙ほどの美人となれば、なおさらだろう。しかし遙本人には、その気がまったくないらしい。

「でも前に、ひょうどうのオヤジと話しているところを見たぜ」

「ああ……あの人ね……」

俵藤の名前を聞いた途端、遙の美貌が曇る。

「あの人は私じゃなくてこの店に興味があるだけ。土地を売れってしつこいのよ」

俵藤というのは不動産をやっている成金で、金のためならなんでもするというあくどい噂のある男だった。

「まさか、この店を手放すんじゃ……」

「そんなわけないでしょ。塩まいておっぱらってやったわ」

遙は腕まくりして、力こぶを作って見せた。

「そいつはいいや」

「さすが、遙さんだぜ」

武勇伝を聞いて客たちも笑いあう。彼らも傲慢な俵藤のことがキライなのだ。

「まあでも、安心したぜ。これからも遙さんは俺たちの永遠のアイドルだからな」

「俺がカミさんと別れたら、よろしく頼むよ」

「もう、何言ってんだか。ほらほら、くだらない話してないで。さぼっていると、奥さんに叱られるわよ」

「ちぇっ、イヤなこと思い出させるなあ」

「遙さんにはかなわないぜ。じゃあ、またくるよ」

魚屋と肉屋が出て行き、入れ替わるようにして────、

「ただいま」

息子のシンジが帰ってきた。

線が細く運動は苦手だが、学力は学年トップの自慢の息子だ。

「お帰り、シンジ。学校はどうだった? 今日、テストだったんでしょ」

「うん。バッチリだったよ」