夏色誘惑アイランド 艶色母娘とビーチラブ

夏色誘惑アイランド
艶色母娘とビーチラブ

小説:大泉りか

挿絵:相田麻希

リアルドリーム文庫

夏色誘惑アイランド 艶色母娘とビーチラブ

登場人物

よしかわ のりひで

失恋の傷心を癒やすために、夏休みを利用して離島の民宿の住み込みバイトをする大学三年生の青年。

かみ なみ

民宿『さざなみ』の一人娘。活発ながら恥ずかしがり屋の純朴な少女。素潜りが得意。肉感豊かな身体は健康的に日焼けした小麦色をしている。

かみ なぎ

美波の母で、民宿『さざなみ』を切り盛りする女将。三十六歳。しっとり濃厚な色気を持つ美人。夫は東京に出稼ぎに出ているため、欲求不満が溜まっている。

ひがしばら ちえり

東京に憧れる、天真爛漫で無防備なギャル風少女。美波の親友。明るい茶髪にこんがり焼けた肌、むっちりと若さ溢れる身体つきをしている。

第一章 美人女将の秘密 ─淫らな自慰行為─

早朝の太陽の光を受けてキラキラと輝く水面の向こう側に、こんもりと茂った緑に囲まれた島が見えた。穏やかな山稜の端がすっと海の中に消えていくようになびいていて、そのまま真っ白な砂浜からエメラルドグリーンの海が続いている。

「あの島で、ひと夏を過ごすことになるのか……」

潮気を含んだ海風が、汗ばんだ身体の熱を心地よく冷ましていく。

よしかわのりひでは、船上からはるか向こうに見える美しい島の自然に、心の傷が少し癒やされる思いで呟いた。

大学三年の夏休み。小笠原にある小さな島で、住み込みのリゾートバイトをすることに決めたのは、夏前にした失恋がきっかけだった。

大学で同じ映画サークルに入っているがわを好きになったのは入学してすぐのことだった。二年と少しの片思いの末にようやく思いが通じ、恋人と呼ばれる関係になった時には、天にも昇る思いで夜も眠れず、できることならずっと一緒にいたいと思っていた。

それが、まさか、たったの三月で別れが訪れるとは。

『好きな人ができた』と別れを切り出されたのが夏休み直前のこと。心変わりを責めても仕方ないと、無理やりに自分を納得させた。

けれども、まだそのほとぼりも冷めぬ数日後、同じサークルの若林わかばやしと付き合い始めたことを噂に聞いた時はショックだった。しかも、伝え聞いた話によると、宣英と付き合っていながらも、実は若林とも二股で付き合っていて、天秤にかけられていたというのだから、さらに落ち込んでしまう……。

実香をヒロインにして、ひと夏かけて自主映画を撮る予定も当然のことなくなり、急にぽかりと空いてしまった夏休みをどうするか悩んだ末、失恋の痛手を癒やす旅にでも出ようと決意したのはいいが、なにせ先立つものがない。

まずはアルバイトして資金を稼ごうと求人誌をめくっていた時に目に入ったのが、離島の民宿での住み込みバイトの募集だった。

日給こそ安いが、三食宿付きで昼と夕方の間に休憩時間もあるという。ものは試しと履歴書を送ったところ、無事に合格の通知を受け取り、大学が休みのひと月とちょっとの間、離島で働きながら生活することに決まったのだった。

(……けど、バイト先が海ってのはちょっと失敗だったかもな)

デッキの上は、これから始まる夏のアヴァンチュールを期待して、そわそわと浮き足立った同年代の若者たちでいっぱいだ。ひとりぼっちでぽつんとしているのは宣英くらいで、男同士、女同士、男女混合と形は様々なれど、皆、グループでわいわいと盛り上がっている。

(ううっ……心が痛い……)

携帯電話のカメラで互いの姿を撮影し合っているカップルの仲睦まじい様子を横目で見ると心がちくんと痛んだ。本当だったら、自分もあのカップルたちのように実香と一緒に輝かしい夏のひと時を過ごしていたはずだ。

(ダメだ、忘れよう……)

脳裏から実香の残像を追い出すように頭を振ると、下船に備えてデッキを離れ、階下の客室へと戻った。

一番チケットが安かった二等客室は、五十人ほども収容できる大部屋で、ひとりひとりのスペースは床に貼られたテープで区切られている。自分のスペースに置いたボストンバッグの中から、タオルと歯ブラシを取り出すと、洗面所へと向かった。

もう三十分もすれば、船は陸に到着するということで、洗面所はそこそこに混雑していた。列に並び、順番が回ってきた水道の蛇口を回すと、手のひらで水を受けて口をゆすぐ。歯ブラシに歯磨き粉をつけて手早く磨き終えると、後ろの人に場所を譲るために身体を横へとずらした。

「どうぞ」

「どうも、ありがとうございます」

宣英の後ろに並んでいたのは、まだ若い女のコだった。

(うわ、このコ、可愛いなぁ……)

高校生だろうか。黒目がちな瞳にやや薄めの唇が整ったバランスで配置された顔は、幼げな風貌ながらも、美少女と称するに正しい。

滑らかな肌に輝くばら色の頬。ナチュラルな焦げ茶色の髪の毛はまるで痛みなくつやつやと光り、日に焼けてほのかに小麦色をした肌も健康的に輝いている。

しなやかな身体に身につけたタイダイ染めのタンクトップの下の膨らみは、童顔に似合わず驚くほどにたわわで、デニムのショートパンツに包まれたぷりっとしたお尻と、ほどよく筋肉の乗った太ももが、健やかな色気を振りまいている。