夏色誘惑アイランド 艶色母娘とビーチラブ

それを考えると、あまり夜更かしをする気にもなれない。

さっさと風呂に入って寝てしまおうと、寝巻き代わりのTシャツ短パンと、換えのパンツをボストンバッグから取り出して廊下に出ると、忍び足で階段を下りる。

一階の廊下を曲がる手前の右側に男湯、そのすぐ隣には女湯の暖簾がかかっていた。

男湯の引き戸を開くと、むあっと湿気た空気に迎え入れられた。四畳半ほどの脱衣所は一面半透明のガラス扉で仕切られ、その向こうが浴室になっている作りだ。

「あ、タオルが切れてる」

洗い物カゴの中は、宿泊客が使い終わったタオルでいっぱいだが、夕方、掃除をした時に、新しいタオルを積んだはずの棚の上には何もない。

(新しいタオル、どこかなぁ……)

凪子に手渡されたのをそのまま置いただけで、ストックがどこにあるかは聞き損ねていた。失敗したと思いながら、念のために、辺りを確認してみたが、タオルが収納できるような棚や収納は見当たらない。

(仕方ないな。凪子さんに聞くしかないか)

いったん廊下へ出ると、そのまま奥へと突き進んだ。角を折れてその先、二つ扉が並んでいるうちの奥、宣英の部屋の真下に当たる部屋が凪子の部屋だと聞いていた。

「すみま……」

ドアをノックしようとして、扉が薄く開いていることに気がついた。

(あれ、開いてる? 凪子さん、中にいるのかな……)

細く開いた隙間からは、ぼんやりとオレンジ色の光が漏れ出していた。

テレビか何かをつけているのだろうか。小さなざわめきの音に紛れ、押し殺したような、くぐもった女性の声が聞こえた。

(今の……何の声だろう)

なんとなくドアを開けにくい雰囲気が漂っている。いけないとは思いつつも、隙間からそっと中を覗く。すると、細い隙間から薄いゴールドベージュのスリップだけを身につけた凪子の姿が見えた。

(うわぁ……)

ぼんやりとした明かりを受け、布団の上にけだるげに座って身体に乳液を塗っている凪子の姿は、はっと息を飲むほどに美しく、艶っぽかった。

シルクだろうか。いかにも手触りが良さそうなスリップは、柔らかな身体の曲線に従い、凪子の白い肌にとろりとまとわりついている。

しなやかで、ほどよい肉付きの右腕を前へと突き出し、もう片方の手で乳白色のボディローションを身体に塗すたびに、アップに束ねた髪の後れ毛が二、三束、華奢な鎖骨の上で誘うようにゆらゆらと揺れる。

少し力を入れたら千切れてしまいそうに細いストラップが、肩から落ちてしまいそうに浮いているのも、危うげな魅力を醸し出していてドキドキと胸が鼓動してしまう。

そんな儚ささえ感じさせる首周りに比べると、その下の胸の膨らみは息を飲むほどに豊穣だった。

開いた襟ぐりから覗く谷間は、ここからでもはっきりとわかるほどに深く、てろりとしたスリップを押し上げる膨らみは、まるでメロンでも隠し持っているかのように大きくてボリューミーだ。

ふたつの山の頂点にぽちりと浮かんでいるのは乳首だろうか。どんな色形をしているのかと想像を膨らませると、どうせ目にすることはないとはわかっていても胸が高鳴ってしまう。

(あっ……うっわっ! パンティー)

両腕に乳液を塗り終えた凪子が、右足を布団の上に立てた。スリップの裾がめくれ上がり、その奥にベージュのパンティーがちらりと覗いた。

成熟しきった太ももは真っ白で、むっちりした肉付きが牡欲をそそる。思わず漏れそうになるため息を、湧いてきた唾とともに飲み込んだ。

(すごい……凪子さんの身体、なんていやらしいんだろう)

こうして、こっそり覗いていることがバレては困ったことになる。そう頭ではわかっているけれども、その艶やかな肉体から目が離せない。

上品なベージュの薄布からうっすらと透けている黒は陰毛だろうか。人妻の生々しい下着に生唾がこみ上げてきて、無意識に飲み下す。

宣英が不埒な視線を送っていることなどつゆ知らず、凪子は手のひらにとろりと白く濁ったボディローションを取ると、滑らかな手つきでふくらはぎに塗り始めた。両脇から脛を包み込むように添えた手を、ゆっくりゆっくりと、膝に向かって上げていく。

手のひらが通り過ぎた後はいかにもしっとりと潤った肌が眩しい。太ももに近づくに従い、柔らかな肉に指先がずぶりとめり込んでふるふると揺れる。

あんな滑らかな手つきで、もしも自分のアレを擦られたら、さぞや気持ちがいいことだろう。胸がまるで締め付けられでもしているかのように息苦しくて切ない。顔が火照ってカッと熱く、血がドクドクと下半身に流れ込んで狂おしく鼓動する。

(うっ……どうしよう、っちゃったよ……)

興奮し始めた身体をどうすることもできず、ただ息を潜めて隙間から覗いていると、凪子の手の動きが少し変わり、内ももを撫でるスピードが、幾分かゆっくりしたペースになった。

乳液を肌に塗り込むというよりも、肌に当たる指先の感触を楽しんでいるかのような動きは官能的にも見える。

(……凪子さん、何をしてるんだろう)

そう思った次の瞬間、凪子は手のひらで胸の膨らみを包み込んだ。少し迷うように停止した後、むぎゅりと掴み上げ、円を描くようにゆっくりと動かし始める。

(えええっ!?)

瞬間、口から心臓が飛び出したかと思うほどの衝撃が宣英の身体を通り過ぎた。