(うわっ、ちえりちゃん、すっごいおっぱいだ!)
ホルターネックの黒いビキニに包まれたおっぱいは、Fカップ、いや、Gほどもあるかもしれない。
誇らしげに前につんと突き出した膨らみは、そのボリュームゆえに乳房の半分以上が曝け出されてしまっていて、ほとんど零れ落ちんばかり。手を上げているせいで、ただでさえ豊満なおっぱいがぷるんと上反りになり、ぐっと迫り上がったビキニ布から下乳がぷるんと覗く。
その中央部の深々とした谷間といったら、男なら誰しも何か──具体的には、自分の股間のアレを──挟んでみたいと思わせるに十分な深さだ。
「それよりさ、ノリくんさぁ」
「は、はいっ!?」
思わず言葉を忘れて、立ち尽くしたままその膨らみに視線を釘づけにしていると、ちえりが宣英の足元ににじり寄った。
「東京の話、聞かせてよ。東京ってさ、夜中でもみんな起きてるんでしょう? 何してるの?」
「何してって……うーん、俺はコンビニで立ち読みしたりとか」
「立ち読み? もっとなんか楽しい遊びとかないの?」
「うーん、遊びっていっても、カラオケとか……」
「カラオケなら島にもあるからなぁ……あっ、だったらさ、渋谷ってどんな感じ? 遊びにいくなら新宿とどっちが楽しい?」
「渋谷はあんまり行かないかなぁ。飲み会なんかは新宿が多いけど」
「飲み会かぁ。こっちなんてスナックと居酒屋くらいしかないけど、東京だとやっぱりおしゃれなバーとかで飲むんでしょ?」
「いや、俺はサークルのみんなとは居酒屋か部屋飲みばっかりだよ。お金もないし」
「サークルって、大学のヤツだよね。ね、何するの? パラパラ踊ったりとか?」
「いや、そんなことはしないよ、俺が入ってるのは、映画研究会だし……」
「うわー、でも東京っぽいよ。ね、まだ美波が帰ってくるまで時間あるし、もっと詳しく教えてよ、そこに座って。ねっ!?」
「あ……うん……」
ちえりの勢いに圧倒されながら、隣に腰を降ろすと、剥き出しの肩口辺りから、ココナッツの甘い香りがふわっと香った。
(うわぁ、いい匂いだなぁ……なんで女のコっていい匂いがするんだろう)
エキゾチックでいてミルキーな匂いにうっとりと酔いしれていると、ちえりがぽってりと肉厚な唇を尖らせた。
「ちえり、知りたいことだらけなんだ。それに、ノリくんが相手だったら、ヘンなことしてこないだろうから、安心していろんなこと聞けるし」
「えっ、ヘンなことって?」
いったいどういうことだろうか。疑問に思って尋ねると、ちえりはぺたりとお尻を地面につけたまま、両膝を立て体育座りに座り直すと、ふてくされたような表情を浮かべた。
「やだぁ、そういうこと聞く? まぁいいけど。なんかさぁ、東京のことが知りたいなぁって思って、この島に遊びにきた男のコと仲良くなるじゃない? けど、みんなすぐにちえりとエッチなことをしたがるんだよね。ちえりはただ、友達になりたいだけなのに」
「そりゃあ、ちえりちゃんに話しかけてくる男なんて、みんなそれ目的のナンパだろうから……」
「ちえりから話しかけてもだよ?」
「いや、それは逆ナンって思われるだけだろうし」
「えーっ、なにそれ。小さい頃はそんなことなかったよ。東京から来たお兄さんもお姉さんもみんな優しくって東京のこと、いろいろ教えてくれたもん」
「でも、小さい頃と、いまは違うし、ほら……ちえりちゃんが女のコとして魅力がありすぎるっていうか、その……おっぱいとか大きいし」
「あー、これね。別に好きで大きくなったわけじゃないんだけどなぁ。っていうか、この島だと、Hカップのブラジャーが売ってなくって大変なんだよ」
ちえりは拗ねたように頬をぷくっと膨らませると、首に巻いた貝殻を象ったシルバーのネックレスを指先で弄んだ。
(うわぁ、Hカップって! 想像よりでかい……でも美波ちゃんが言ってた通り、話すとこのコ、こう見えて素朴だよなぁ……)
見た目は派手だし、話し方もギャルギャルしている。おまけに出会いがあんな感じだったから、いくら美波にいいコだと説明されても、心の底からは信じきれないところが少しあった。けれど、こうして話すと、美波の言う通り、純粋な女のコだということがようやくわかった。
(……だから余計に危なっかしいよな)
人懐こいのはいいとしても、無防備すぎる。それでいて、このむちむちの身体に、男好きする派手な外見をしているものだから、島に遊びにくる男たちの毒牙にいつひっかかってしまうかとヒヤヒヤものだ。
(なんせHカップ……だもんな)
誇らしげに前へと突き出した膨らみは、黒いビキニから今にも零れ落ちそうで危うい。その柔らかそうなたわみを見ていると、股間がみるみる強張ってきてしまう。
(やばっ、なんか硬くなってきちゃったよ……)
おまけにちえりは、無邪気にも柔らかな身体をぐいぐいと押し付けてくる。肩口が触れ合い、二の腕に押されて胸がきゅっと中央に寄った。ビキニからむにゅりと乳肉がはみ出してさらに谷間が深くなる。
「……でも、いいや。これからは、ノリくんに聞けばいいんだもんね。東京のこと、いろいろ教えてくれるよね?」
「あ、まぁ、俺でよければ……」
「やったー! ノリくん、優しいね。大好きっ!」