夏色誘惑アイランド 艶色母娘とビーチラブ

ふたりの視線が一瞬、絡み合った。胸がどくんと高鳴り、息が詰まりそうになる。

(俺、美波ちゃんのこと、好きだ……)

そう思った瞬間、いつの間にか、実香のことを考える時間よりも、美波のことを考える時間のほうが長くなっていることに気がついた。

「うっわぁ、美味しそうっ!!」

ぱんぱんに詰まったビニール袋を片手に戻ってきたちえりが、砂浜の隅に設置されたバーベキューコンロの上で焼かれているサザエを見て、歓声をあげた。

「もうちょっとで焼けるから、もう少し待ってね」

美波はトングで貝の焼け具合を確認している。

「うーん、楽しみ。はい、これ、飲み物。お醤油とお皿も買ってきたよ」

「……これ、ビールだけど美波ちゃんとちえりちゃん、飲めるの?」

ちえりから袋を受け取って中を見ると、いかにも冷たそうに汗を掻いた缶ビールがぎっしりと入っていた。

「ビールだけじゃないよ。島の焼酎も入ってるし。美波ももう、今日は潜らないでしょ? 飲んじゃお、飲んじゃお」

「でも、ちえりちゃんたち、未成年じゃ……」

「問題なーし。この島では十八歳はもう成人なんでーす!」

ちえりはしれっと言うと、宣英が手に持った袋の中からビールを取り出した。プルトップをプシュッと捻ると、宣英の言葉などまるで耳に入らぬ様子で、ぐびぐびといい飲みっぷりを披露している。

「美波ちゃんは……大丈夫? 飲める?」

「うーん、まぁ。あんまり強くないけど、ちょっとだけなら。お父さんの晩酌に付き合ったことがあるから……」

「はいはい、ノリくんってば、堅いこと言わないの。夏のビーチといえば、やっぱりビールでしょ。おふたりとも、とりあえず乾杯っ!」

ちえりが、栓の開いたビール缶を宣英に手渡した。宣英にしても、バーベキューにビールだなんて、魅惑的な組み合わせだ。

(……まぁ、いいか)

確かに晴れ渡った青空の下のビーチにこれ以上ぴったりの飲み物はないように思える。

「乾杯っ」

三人で缶をぶつけ合うと、そのまま喉へと流し込んだ。キンキンに冷えた苦い液体が喉道を通り過ぎていく。

「ぷはぁっ。ん──っ、美味しいねっ!」

ちえりの言う通り、本当に美味しかった。

酒を飲むこと自体が久しぶり──この島に来て初めて──ということもあるし、なんといっても目の前には綺麗な海が広がる晴天のビーチ、そして両脇に控えるのはビキニ姿の美女ふたりというシチュエーションも最高だ。

「はい、ノリくん。これ、焼けてるよ」

「ありがとう、ちえりちゃん」

美波がサザエの壷焼きを紙皿に乗せ、宣英の前に差し出した。

醤油の焦げた匂いが鼻をくすぐって食欲をそそる。息を吹きかけて少しだけ冷ますと、口の中へとがぶりと放り込んだ。ぷりぷりっとした食感と濃い磯の味が口中に広がる。

「うわぁ、美味しい」

「よかったぁ。喜んでもらえて」

美波が嬉しそうに微笑んだ。

「よかったねぇ、美波。この島の美味しいもの、ノリくんにいっぱい食べさせたくって、最近気合入れて採ってるんだもんね」

「やだぁ……ちえりったら何、言ってるのよ……ごほごほっ」

美波はまるでトマトのように顔を真っ赤にすると、照れを隠すようにぐっとビール缶をあおり、そして噎せて咳き込んだ。

「やだぁ、美波ったら照れちゃって。ね、ね、ね、ところでさぁ、おふたりはどこまでいっちゃった関係なのぉ?」

「えっ、関係って……」

「そりゃ、関係っていえばエッチに決まってるでしょ。ね、ノリくん、どうなのぉ?」

「ちえりったら、そんなこと聞くの、止めてよ」

狼狽する美波を気にする様子もなく、ちえりが宣英にずいとにじり寄った。

「いやー、美波ってすっごい奥手だから、彼氏なんて一生できないんじゃないか……っていうか、まぁ、ぶっちゃけ、このまま一生処女なんじゃないかって密かに心配してたんだぁ」

「いや……あの……その……ちえりちゃん、ちょっと酔っ払ってるんじゃないかな?」

「そりゃあ、酔っ払ってるよ。酔っ払ってないとこんなこと聞けないじゃない? だからわざと酔っちゃいました。てへへっ」

ちえりは悪びれもせず耳の後ろを掻くと、宣英の隣にぴとっと寄り添って、子猫のような悪戯っぽい目で見上げた。

「美波ったらさ、全然男っけないから。高校時代だって、結構モテてたのに、ぜーんぶ振っちゃうし。大切な大親友が実はレズだったらどうしよう、とか、ちえり、密かに悩んでたんだから。それがさ、こんなあっという間に、ノリくんっていう彼氏ができちゃってさ。ちえりも、ノリくんのこと、ちょっとだけいいなって思ってたのに……でも、美波は親友だから、今回は譲っちゃう。でさ、ノリくん。実際のところ、ふたりはどこまでいっちゃってるわけぇ」

「いや、それはその……」

困ったことになった。どうすればいいのか、助けを求めるように美波に視線を送ると、やはり困り果てた表情を浮かべている美波と目が合った。と、ふと妙な違和感を股間に覚える。

(んんっ、なんだ……!?)

「っつわぁっ! あ、何してるの、ちえりちゃん」

下を向くと、ちえりが細い指先で宣英の男根をつんつんと突いている最中だった。

「えー、何って、美波の初めてのおちんちんってどんなのだろうなぁって思って確かめてるの。うーん、なかなか立派じゃないですか」