夏色誘惑アイランド 艶色母娘とビーチラブ

「いや、凪子さんは、とっても綺麗でセクシーで……。だから、こんな状態、ちょっと……その……俺も男なんで、なんていうか」

「うふふ、そうね。ちょっと興奮、しちゃってるみたいね」

凪子は湯船へと目を落とすと、ふっと目を細めた。

(あ……うわ。バレてる?)

頬がかぁっと熱くなった。心臓の鼓動が一層高鳴り、ドクドクと脈動する。

「……ねぇ、吉川くんは、どうしてこの島に来たの? ひと夏、アルバイトで潰しちゃ、勿体ないんじゃない?」

「いえ。いいんです、東京にいてもやることなんてないし……」

「またまたぁ。大学生でしょう? 夏なんだから、サークルの仲間と旅行とか、彼女とデートとか、いろいろあるでしょう?」

「いえ。実は……その、ちょっと恥ずかしいんですが、ここに来たのは、失恋が原因といいますか……彼女に二股かけられてた挙句に、振られちゃったんですよ。俺。ははは。かっこ悪いっすよね」

「あら、わたしったら……事情も知らないで、ごめんなさい」

笑い飛ばしてはみたものの、本当はまだ傷ついている宣英の心中が伝わったのか、凪子はふと真顔になった。自嘲する宣英の心の奥の痛みを推し測るように、ぎゅっと眉を寄せる、その悩ましげな表情が妙に色っぽく、ぞくっと胸が騒いでしまう。

(チンチン立たせながら失恋の話してるって、なんだか、ヘンだよな……)

心と身体がばらばらすぎる自分に呆れる思いだが、笑って話せるまでに傷が癒えたともいえる。だとすれば、この島に来たおかげだ。自分の選択に間違いはなかったと再確認していると、凪子が宣英の頬にそっと手を当てた。

「……凪子さん?」

「失恋したのね。それはつらかったでしょう」

「いえ、あのっ、大丈夫です。本当に、俺、まだ二日目なのに、ここに来てすごく元気になったんですよ。だから、ひと夏が終わる頃にはきっと、ぜーんぶ忘れちゃってると思います。なんだったら、新しい彼女が出来ちゃってたりして」

「……そうね、きっとこの島で忘れられるわ」

凪子が慈愛に満ちた眼差しを宣英に向けた。

(凪子さん、優しいなぁ。次に付き合うんだったら……凪子さんみたいな年上の女の人もいいかも)

優しく美しく、そして色っぽい年上のひと。そんな女性と付き合うと、また違う人生が待っている気がする。

長い睫に彩られた凪子の瞳をじっと見つめ返すと、沈黙がふたりを包んだ。このまま、凪子の胸に飛び込んでしまおうか。そうすれば、完全に、完璧に実香のことを忘れられるのではないだろうか。

いや、しかし──凪子は人妻だ。さらに辛い道が待っていることはわかっている。

(でも、でも……こんな魅力的な女性を前にして、なにも手が出せないなんて、つらすぎる!)

「……さぁ、身体でも、洗おうかしら」

悶々と湧き上がるリビドーに耐えていると、ふたりの間の沈黙を破るように、凪子が、浴槽の縁に置かれたタオルを拾い上げて立ち上がった。ゆっくりした動作で風呂から出ると、洗い場へとゆっくり歩いていく。

(う、うわ。身体が……)

タオルで身体を隠しているとはいえ、濡れた生地が身体にぺっとりと張り付き、胸の膨らみはもちろんのこと、黒々とした陰毛まで透けてしまっていた。

(す、すごい、凪子さんの身体、いやらしすぎる……)

前面はタオルで覆っていたが、側面と後面を隠すものは何もない。少し肉の乗った背中、くびれたウエストに平たい腹、むっちりと盛り上がった大きめの尻と、女盛りの熟れた後ろ姿から目が離せない。

(……触ったら、柔らかいんだろうな)

ふるふるといかにも柔らかげに揺れる横乳と、もっちりとした尻肉。太ももの肉付きも立派で、その触り心地を想像するだけで、股間がずきずきと疼く。

(……どうしよう。あんまりじっと見てたら、変に思われるし……ますますちんちんも硬くなっちゃうし……)

凪子の身体から視線をそらすのは名残惜しく、かといって、見ていては、いつまでたっても勃起は収まらない。もどかしい矛盾に心中を掻き乱されながら身悶えしていると、洗い場の椅子に腰を降ろしながら、ふとこちらに振り返った凪子と目が合った。

(うわっ、見てたのが、バレた!)

気まずさにうろたえながら、慌てて目をそらす宣英の耳に信じられない言葉が入ってきた。

「……ねぇ、吉川くん。背中、流してくれないかな」

「えっ? せ、背中ですか?」

「そう。ダメかしら?」

「ダ、ダメだなんて、そんな……」

ごくんと喉が鳴る。凪子の身体に触れることができるだなんて……。

(で、でも、凪子さん……そんなことをしたら、俺、もう歯止めが利かなくなっちゃうかも……)

まだ戸惑いを拭いきれないでいる宣英に、凪子が上半身を捻って向き直った。

釣鐘形のボリューミーなバストが、宣英を誘うようにぷるんと揺れた。熟しきった女のシンボルだ。とたんに頭の奥がスパークして弾けた。

(う……わ……も、もう……知るもんか!)

情動に突き動かされるように立ち上がると肌もあらわな人妻のもとへと近寄った。

「じゃ、じゃあ、失礼して。その……背中を流させていただきますっ!」

凪子の背後に片膝をつくと、タオルにボディシャンプーをたっぷりと取って泡立て、真っ白な背中へと這わせる。

「うふふ。なんだか緊張してる?」