女子高生メイドと穴奴隷女教師
小説:松平龍樹
挿絵:英田舞
リアルドリーム文庫
登場人物
加納 真菜美
私立明翔学園中等部勤務の国語教師。目鼻が整った顔立ち、艶やかな黒髪、観る人を惑わす肉感的な肢体を持つ二十五歳。透のクラスの担任。
間名瀬 透
中学入学したばかりで全国統一試験4位を取った秀才。富豪の息子。絶倫の精力を持つ。
園寺 くるみ
透に仕える女子高生のメイド。アイドル顔負けの容姿に短い黒髪をしている。
第一章 陥穽
コツッ、コッツン。
加納真菜美は職員室にある自分の机に座り、秀でた額をシャープペンシルの底で叩いのう。
「全国統一実力試験4位、かあ」
全国統一実力試験──。それは、今年中学生になったばかりの、日本全国の生徒に対して行なわれた、一斉の実力試験であった。
ふぅ──。
自分以外の誰にも聞き取れぬつぶやきを漏らしながら、真菜美はおもてを上げ、自分の椅子に座ったまま、両腕を上げ、背伸びをするように、背筋をう~~んと、のけ反らし、椅子の背凭れに身を預ける。
ぎッ。
背凭れが軋む音に、周囲にいた教師たちは思わず、真菜美の方を見つめてしまう。そして教師たちは一様に自分たちの視線とその視線の意味するモノに気づくと、あわてて視線を戻した。そう、加納真菜美は、周囲にいる教師たちの淫らな関心を引きつけずにはおかない、きわめてすぐれた容貌と肢体を持つ、若い女教師だった。
玉子を逆さまにしたような頭部に、知的で印象的な光を放つ大きくつぶらな瞳と、それに直線的に細く長い眉、高く通った鼻、慎ましやかに小さく赤い唇が、芸術的なまでに品よく配され、肩の下まで届く、量感のある、艶やかな黒髪が秀でた額を頂点にして三方を飾っている。肌は乳白色をし透き通るかのように滑らかだ。
しかし、彼女を観る多くの人を戸惑わさずにはおかないのは、その理知的なおもざしとはあまりにも不釣り合いな、肉感的な肢体だった。細い首の下、鎖骨の下には『ふくらみ』と呼ぶよりも、『肉の果実』と表現した方がふさわしい、巨大な乳房が二つ、でん、と並んでいた。純白のブラウスに覆われている、そのほぼ完全に球状を有する肉製の果実は、所有者が背筋を伸ばして座っているがゆえに、かろうじて、本当にかろうじて、机の上に乗っかっていないだけだ。そんな巨大な乳房、巨乳でありながら、真菜美の腹部はきゅッと引き締まっていて、その乳房の巨大さと、形の良さ、美しさをさらに引き立ててやまない。
そして今は机の下に隠されてしまっているが、真菜美の下半身も、上半身と同様に、女らしいまろみと柔らかさに満ちあふれ、それに官能的だった。
真菜美は25歳。この私立明翔学園の中等部に勤務して、四年目になる国語教師だった。この春から、一つのクラスの担当を任されている。
全国統一実力試験4位を獲った生徒に対する、二日前に聞いた、数学の担当教師からの興奮した寸評が真菜美の耳の奥によみがえってくる。
『いやあ、カレ、間名瀬透クンは本当に凄いですよ。この数学の問題で、満点を取るのも驚きなのに、最後の連問の解答がこれまた凄い。この最後の三つ問題は一つのセットになっていて、普通は最初の問題が解けないと二問目が解けない、つまり最初の問題の解答を使って二問目を解き、同じように、二問目の解答を使って三問目を解いていく形になっているのですが、彼は三問とも別のアプローチで解答している。しかも、どうやら、最も難しい、全国でも解答率が10%未満の三問目を、一番最初に解いちゃったみたいですね。採点本部から問い合わせが来ましたが、どうやら、こんな方法で、この問題を解いたのは、全国でも彼だけのようですね。非凡な数学的センスを有しているとしか言いようがないです』
「非凡、な数学的センスかあ……」
真菜美は高く通った鼻を鳴らした。
自分自身とは無縁の形容に真菜美はどう評価して良いのか、皆目見当がつかない。
(コレで、あのつまらない、とってつけたようなミスがなければ、国語でも満点。そうなると、全国でも一位、かぁ)
真菜美は昨日、教頭室に呼び出された時の、教頭の浮かれようを思い出していた。
『えへん、えへんッ』
緊張した時のクセなのか、50を過ぎたばかりの教頭は、とめどなく咳払いをしながら、真菜美に話し出したものだ。
『良いかね、加納センセイ。間名瀬透クンのコトは、くれぐれも宜しくお願いするよ。カレは色んな意味で我が校の宝だ。未来だ。夢だ。希望だ。期待の星だ。将来を開く鍵だ、いいや扉だ』
「……はい」
(そうだろうな)
表向きは真面目に、しおらしく、うなずいたものの、心の中では毒づいていた。
(そりゃあ、そうでしょうとも。親は今流行のIT産業の創業者社長でお金持ち。その子供で全国レベルでも極めて優秀な生徒、ってくれば、いやがうえにも期待しちゃうのは理解できます。理解できますが、それを、その責任を私一人に押しつけるのはやめて下さいませんかッ!?)