驚くくるみに透は優しい、優しい笑顔で尋ねる。
「……くるみは、ボクの後始末をしてくれないかい?」
そう言うと透はソファに座ったまま、腰を突き出した。
──!!──
くるみは息を呑んだ。そして、くるみは自分が何をしようとしていたのかを、そしてその意図、その願いを年下の少年に見透かされてしまっていたのを悟った。
「は……ッ、は……ッ、はヒ……ッ」
くるみの目尻に涙が湧いた。
(この少年が御主人様で良かった♡)
「よ……ッ、よ……ッ、喜んで……ッ、喜んで、後始末させていただきますわ……ッ♡ 御主人様♡」
そう感謝した途端、こらえきれず一滴の涙がくるみの頰に流れ落ちる。
『ダ……ッ、ダメ……ッ。ダメぇぇぇ……ッッ! 私はダメ……ッ、ダメなんだわ……ッ。私は、こ……ッ。私は御主人様が好き……ッ! 好き……ッ! 好き……ッ!! 大好き……ッ! 死ぬほど……ッッ。どうしようもないほど……ッ、好き……ッ! 好き……ッ! 好きなの……ッ!』
『もう、御主人様なしじゃあ、生きていけない……ッ!』
『御主人様と離れて暮らすなら、死んだ方がマシ……ッ♡』
おのが想いにむせび泣く、美少女メイドの喉を、透が優しく撫で、くすぐる。
(バカだなあ、くるみは)
(ボクがくるみを捨てたり、手放したりするハズがないじゃない)
(一番目のアナなのに♡)
(好きだよ、くるみ)
まるでそう言っているように聞こえた。いや、今のくるみにはそうとしか聞こえない。
『は……ッ、はヒ……ッ。御主人様、私が愚かでした……ッ』
「そ……ッ、そ……ッ、それでは失礼させて、後始末させていただきます……ッ、御主人様……ッ♡」
年下の御主人様が示してくれた優しさに本泣きしながら、くるみは猫が飼い主にじゃれつくみたいに、透の手腕に自分の喉頸を巻つけるようにしながら、睫毛を伏せ、小さな口を大きく開けて透の下腹に可憐なおもざしを沈めていった。真菜美は年下の先輩メイドの姿を見ながら、小さくため息をついた。
そして思う。
『……やっぱり、かなわない……』
自分の教え子と、美少女高校生の間に交わされた思いのすべてを理解できた訳ではないが、年下の先輩メイドの涙と態度から、二人の間にある、特別で特殊な関係を察知するのには充分だった。
ぴちゃッ、くちゅちゅッ。
美少女メイドが汚れた自分の陰茎を舐めしゃぶり始めたのを確認した透は、自分の目の前にいる女教師を一瞥した。
──!!──
教え子の視線を浴びて、真菜美は心の中で飛び上がる思いをした。
『くるみは、ココまで、ボクの事を想い、してくれるよ』
『真菜美は、ボクの事をどれだけ想い、いったい何をしてくれるんだい?』
ぶるッ。
心底まで見透かしているような中学生の視線に、真菜美は慄えた。短い、股下がまったくないウルトラミニの裾を真菜美は握り締めた。秀でた額に汗がにじんでいる。真菜美は自分が何かをしなければならないコトを、そして何をしなければならないのか、知っていた。いや、教え子の股間に、その可憐なおもざしをうずめて、奉仕している年下の先輩メイドから教えられていた。しかし──。
「…………」
しかし、透は何も言わない。急かしたりもしない。
真菜美に向けている、三脚にセットした、ビデオカメラの微調整をしたり、自分の股座で舌と唇を使う美少女高校生の頭を撫でまわしたりするだけだった。真菜美にしてみれば、くるみから教えこまれた行為を実行するに否はなかった。しかし、しかし、場所を変えてほしかった。ここで、この玄関から入ったすぐの場所で、痴態をさらすのはためらわれた。あの玄関の扉を開けて、誰かが入ってくるかもしれないのだ。例えば、透の両親がやってこないとも限らない。その可能性が0ではないのだ。
もし、そんな事態になれば──。
『私の人生は終わってしまう』
しかし、今の真菜美にとって、学校や教職、両親や家族、婚約者や友人、過去の経歴などにはあまり未練がなかった。そんなモノ、真菜美が今まで築きあげてきたすべてのモノよりも、少年との関係、少年の〝二番目のアナ〟である身分の方がはるかに重要なのだ。
──!!!!──
その真実に気づいて、真菜美は覚悟を決めた。清楚な美貌に悲愴な決意を漲らせ、真菜美は唇を開いた。
「……そッ、そ……ッ、それでは……ッ、それでは……ッ、センパイからお教えいただいた、拙い芸を披露させていただきます……ッ」
「ふぅむ」
くるみの頭を撫でながら、透が小さく異議を唱えた。
「センパイ、か……?」
透は自分の陰茎を口に入れて漉き、ソコについている汚れをしゃぶり取っている、美少女メイドの頰を撫で、そのおもざしを上げさせた。そしてその可憐な面を見つめながら、「センパイ」「センパイ」「センパイ、ねえ?」と小さくつぶやいた後、白と黒の、ゴスロリ調のメイド服を着て、巨乳を丸出しにしている伊達メガネをかけた自分の担当女教師に口を開いた。
「……『センパイ』よりも、『お姉サマ』の方がいいな」
そして自分の声にうなずきながら、もう一度、言った。