ふるふるッ、ふるふるッ。
一○も年下の少女に脅える、美貌巨乳の女教師の頰をそっと、優しげに撫でながら、白と黒のゴスロリ調のメイド服を着た美少女が柔らかく微笑みながら囁く。
「気がついた? 真菜美」
かちかちッ、かたかたッ、かくかくッ。
年下の少女に呼び捨てにされ、真菜美は歯の根も合わないほど震えながら、未熟な人形使いに扱われる操り人形さながらにうなずく。
「……は……ッ、は……ッ、はひぃ……ッ」
うふッ♡
メイド服の美少女が笑う。
『天使のような』とも、あるいは『妖精』とも形容しても良い、無邪気な微笑みだった。しかし、どんなメイド喫茶でも見ることができない、美しく、清らかな微笑みの裏に隠されているのは、下級悪魔なら裸足で逃げ出す邪悪さと剣呑さだった。
「それは、よかったわ♡」
メイド服の美少女、園寺くるみが真菜美の頰を小さくつまむ。
──!!!!──
頰を歪められた、かすかな痛みで真菜美の心臓に氷の手でわしづかみにされたような衝撃が走る。心臓発作を起こしかける女教師にくるみがさも優しげに笑いかける。
「こんなトコロで失神されたままだったら、すッごく迷惑なんですもの♡」
そして清純無比な、冷酷極まりない微笑みを張り付かせたまま、尋ねる。
「オマエが、何をしたのか、わかる? そして何をしなければならないのか、覚えている?」
「……は……ッ、はぁ……ッッ、はひぃ……ッ」
がくがく、がくがくッ。
きりきりきシシッ。
真菜美は自分の心臓が目には見えない、凍てついた万力で、ギリギリと、ギチギチと締めつけられていくような感覚を、夥しい冷や汗を全身にしぶかせて、味わいながら、涙とともに、うなずいていた。うなずかなければならなかった。
うふッ♡ うふふふふふッ♡
「そうお? それはよかったわ。もし、忘れてたら、もう一度、初めからやり直しだもンね♡」
くるみは可愛く、首を傾げた。
──!!!!──
真菜美の胃の腑に冷たくて重いモノが落ちた。
「それじゃあ」
顔面だけでなく、全身を蒼白にする真菜美を残して、メイド服の美少女が立ちあがり、その場を退いた。床にしゃがみこんでいる真菜美の視界が開け、中学校で教えている、少年が傲然とソファに座っている姿が現れる。
真菜美はその場で居ずまいを正し、折り目正しく正座する。
ぷぅんッ。
(……うっくッ!)
アンモニア臭が、真菜美の鼻の粘膜に突き刺さり、真菜美の視界に水溜まりが映る。ソレは、真菜美が失禁してできた水溜まりは、本当に真菜美の目の前、正座した膝小僧のすぐ前にあった。
『もし、このまま、頭を下げたら、あの水溜まりが、顔がくっついちゃう』
不意に真菜美は自分が置かれている状況の異常性にあらためて気づいた。
『……教え子の家に泊まり込み、翌日は欠勤し、授業を放棄して、調教を受け、性奴隷、いいえ、精液を流し込まれるだけのアナになろうとしている教師が、私以外にいるのかしら?』
『どこの世界に、一○も年下の少女の手ほどきを受けて、排泄器官を性の、快楽の道具に改造しようという女教師がいるかしら?』
『破廉恥極まる排出をさせられ、その最中に失禁してしまい、その不行跡に土下座して謝る教師なんて……?』
『しかも、しかも、こんな格好で』
ぶるぶるッ、わなわなッ。
真菜美は自分が今に身につけされられている装束をあらためて顧みた。白と黒のゴスロリ調のメイドの衣服。しかも乳房は丸出しで、伊達メガネをかけさせられ、下着はいっさい許されていない。場末の、風俗営業の店でも、滅多に見かけないに違いない、はしたない、品性の切片もない、恥辱極まる衣装だった。それは真菜美が今まで培ってきた過去や、現在、未来も完全に否定してしまう衣装であった。
(…………ッッ!)
ウロがきそうになるコトから逃れようとするかのように、真菜美は膝の前に両手の人差し指、中指、薬指を揃えてつける。そして深々とこうべを垂れた。
「……つ、……つ、拙い……ッ、拙い芸を披露している最中に……ッ、とんだ粗相をしてしまいぃ……ッ、申し訳……ッ、申し訳ございません……ッ」
真菜美は一段と深く頭を下げた。
ぷぅんッ。
(あく……ッ!)
眼の前、鼻先にある、真菜美自身のアンモニアの臭気が真菜美の嗅覚に襲いかかってくる。
(みッ、み……ッ、みじめ……ッ!)
真菜美は泣きながら、語を継いだ。
「お願いです……ッ! お願いですから……ッ、私を……ッ、私、加納真菜美を……ッ、くるみ『お姉サマ』に次ぐ……ッ、に……ッ、に……ッ、二番目のアナとして……ッ、お使いになってくださるよう……ッ、心から……ッ、心からお願いします……ッ。そのためなら、私……ッ、わたし……ッ、わたヒ……ッ、どんな……ッ、どんな行為でもいたします……ッ!」
『こんなコトを言えば、将来どんな要求をされるのか、わかったものではない』
年下の先輩メイドから「そう言うように」と教えこまれたものの、脅えながらの嘆願だった。
「ふぅん」
涙に喉を詰まらせてする、女教師の捨て身の哀願に、彼女の教え子である中学生はあまり気乗りしなさそうだった。関心すらない様子だった。返事をする代わりに、ソファに座ったまま、かたわらに立っている美少女メイドのスカートの下に手を入れて、彼女の裸のお尻を撫で回し、