「だって貴女、邪魔くさいンだもの。いちいち『ああシて』『こうシて』って言う時間が惜しいのよ。もう何度も『時間がない』って言っているでしょう?」
「そ……ッ、そんな……ッ!」
口ではそう言うものの、ほとんど抵抗らしい抵抗をしない美貌・巨乳の女教師に縄がけをしながら可憐な美少女高校生が舌打ちをする。
「本当にうるさい女性ね」
心底面倒臭そうに、そうつぶやくと、くるみは真菜美を高手小手に縛りあげた後、一枚のタオルを持ってきて、端と端を結わえて絞りあげてその真ん中に結び目を作り、その結び目を真菜美の口に咬ませて、その両方の端を真菜美の後頭部で結わえつけた。
「~~~ッ! ~~~~ッ! ~~ッッ!」
何だか訳のわからないうちに猿轡を噛まされ、声にならない声で抗議する真菜美にくるみが説明する。
「貴女の質問にいちいち答えていたんじゃあ、時間がいくらあっても足りないわ。文句があるんなら、また、今度、時間がある時にいくらでもこたえてあげる。い~い、何か言いたいコトがあるならまばたきをしなさい。何度も何度も、素早くね。そして『もう帰る。ココから逃げ出す』っていうなら、まばたきをしながら、首を振りなさい。そうしたら、すぐに解放してあげるわ」
うふふふッ。
真菜美の逃走こそが、望みであるかのように、美少女が微笑む。
「ただ、首を振るだけじゃあ、何もしてあげないからね」
──!!──
真菜美は慄然とした。
……考えようによっては、コレほど酷い話はない。ビデオや小説、マンガなどのSM作品でよくあるように、虐待され、調教される女主人公の意志はほとんど無視され、その意志や感情を踏みにじる形でオトコに凌辱され、責められて、ついにはオトコに従属してしまうのとは違い、真菜美の場合、あくまでも真菜美の意志や感情は尊重され、いつでも調教の場から脱出するコトが可能なのだ。前者であれば、ヒロインは「やむなく」奴隷になるのだが、後者の真菜美の場合は真菜美が奴隷になるかどうか、また、奴隷になるのをやめるのは、あくまでも真菜美の側に、言ってしまえば、真菜美の〝自由意思〟に委ねられているのだ。
しかし、しかし、あの透との、骨身も蕩けてしまうような、甘美なSEXを味わわされ、この美少女と透との間に交わされた、異常な、異常に過ぎる倒錯性愛の深みと官能、愉悦の世界を記録し、知らされた今となってはできない相談だった。例えるのならば、目の前に、見るからに美味しそうな御馳走が並べられ、その芳しい匂いをたっぷりと嗅がされ、その一切れだけを口に入れて、脳髄が痺れるような、目眩く味覚を体験した後で、席を立つような行為だった。できようはずがなかった。女性として最高の悦びを味わうコトを拒否する──。それは女性として生まれてきたコトを否定するに等しい。
「…………」
すっかりおとなしくなった女教師の上半身を、くるみは手早く縛り上げ、マンションの最も奥にある部屋、プレイルームへと連れていく。その道中、くるみが真菜美に告げる。
「……センセイは、学校でオマ○コの奥まで、見せびらかして、御主人様におねだりなさったそうね」
──!──
真菜美は驚いたものの、あわてたりしなかった。事実だったし、その事実が自分の教え子からこの美少女にもたらされた経緯も理解できたからだった。しかし、頰が赤らんでしまうのはどうしようもなかった。
赤面する女教師にくるみが、一葉の写真を見せながら、憎々しげに囁く。それは昨日、学校で透に撮られた写真に間違いなかった。真菜美によく似た美しく、若い女性が半裸で大股開きになり、自分の女性器をオッぴろげ、腰を振っていた。
「何よッ! この下品な写真、学校でお尻の穴の毛、シワの間、ヒダまで見せびらかして、教え子にチンポねだりするなんて、あッたま、オカシいンじゃないの!? この写真を付き合っているオトコにメールしてあげましょうか!? なんなら、学校関係者や、家族や友人全員に送ってあげてもいいのよッ!」
「…………」
しかし、真菜美は終始無言だった。それは猿轡をされているせいばかりではなかった。
女教師の沈黙、余裕ぶりが気にいらないようにくるみが脅す。
「……しっかし、いい度胸なさっているのね、センセイ。昨晩、あそこまで、見せたんだから、ほうほうの体で逃げ出すか、と思ってたんだケレど、甘かったようね。いいわ、今から、女性として生まれてきたこと、キレイなこと、おっぱいがこんなに巨きいことを後悔させてあげるわ。たっぷりとね」
くるみの言葉、一つ一つにはトゲがあった。真菜美は先輩メイドの剣幕に脅えずにはいられなかったが、逃げ出す気にはなれなかった。
……それから約5時間半後、予定通り、一時すぎにマンションに帰ってきた透は二人のメイドに迎えられた。
「「おかえりなさいませ、御主人様」」
時機を揃え、口調を揃えて、同じように頭を下げて、礼儀正しくお辞儀をする、二人のメイドに透は目を細めた。そして頭を上げた二人の、やや大柄な方のメイドの全身に、さらに目を細める。