女子高生メイドと穴奴隷女教師

くるみは三つ指をついて土下座した。

「御主人様の精液をいただくのに夢中になり、つい、忘れておりましたッ!」

くるみの声は恐縮のあまり、涙に震えていた。

「まあ、いいよ時間もなかったコトだしね」

透は、二人ニヒキの主人にふさわしく、寛容さを見せる。

「それじゃあ、今から、その成果を見せてもらえるかな?」

「はい、さっそく……」

くるみは真菜美に眼で合図するサインをおくる

「は……ッ、は……ッ、はい……ッ」

真菜美は長い睫毛を揺らめかせ、艶やかな黒髪を撫でつけながら、うなずき、よろめきつつ、立ち上がる。今から、自分が何をしなければならないかを考えるだけで真菜美の頰は、いや、全身が羞恥に燃えあがる。しかも、ここは玄関のすぐ近く。真菜美の眼の前に座っている少年のソファのすぐ向こうには、外の世界と繋がっているドアがあった。確かにこのマンションは電子制御の自動錠オートロックが取り付けてある。だからといって、誰かが、間違って開ける可能性はゼロではないのだ。間違いではなく、透やくるみを訪ねて誰かがやってくる可能性があるのだ。ひょっとしたら、くるみが目障りな女教師=真菜美を排除すべく、陰謀を巡らせている可能性すらあった。

ごくッ。

『大丈夫、その前にインターフォンが鳴るはず。それからでも、間に合う』

そう、自分に言い聞かせようとした真菜美は、ある可能性に気づいて慄然となった。

『も……ッ、もし……ッ、もし……ッ、その人物がこのマンションの鍵を持っていたら……ッ? もし……ッ、それが……ッ、この教え子の肉親……ッ、両親だったら……ッ?』

突然ドアが開くという想像に真菜美の心臓は一気に冷えた。まるで、真菜美は自分の心臓が瞬間冷凍機に入れられたような気がした。

『もし……ッ、もし……ッ、そ……ッ、そ……ッ、そんな事態コトになっ……ッ、なっちゃったら……ッ?』

『い……ッ、言い訳なんてできない……ッ』

身の破滅おしまいだわ……ッ』

最悪の事態を想像して美貌の女教師は、巨乳おっぱいを放り出したまま、凍りついた。

今の真菜美はあらためて自分の姿を、冷静に客観的に顧み、その危うさに愕然となっていた。真菜美は、自分の教え子のマンションに昨日の晩から入りビタり、中学生男子と女子高生の不純異性交遊の記録係を務め、今日は今日とて、授業勤務放棄しほっぽりだし学校職場欠勤ズル休みして、朝っぱらから恥ずかしい調教を受け、帰ってきた教え子を相手に、たけの合わない小さなメイドの衣装を着て、上半身全体を使った奉仕パイズリ&フェラチオに溺れ、さらに異常アブノーマルな性愛をねだろうとしている。どこからどう見ても変態だった。しかも、極めつきの、とんでもない変態であり、未成年の教え子に淫行を乞い願う極悪の性犯罪者だった。こんなコトがおおやけになれば、真菜美はすべてを失うに違いなかった。学校を追われ、両親や家族との関係もおかしくなり、破綻するだろう。当然、婚約も破棄されるに違いないし、どれほどの期間かわからないが、肉親とも距離を置かざるを得なくなる。友人や過去の経歴など、今まで真菜美が築きあげてきた、すべてを失うに違いなかった。しかも、しかも、そんなふうにすべてを失った上に、さらに、この少年との関係、この少年から見れば〝二番目のアナ〟という惨めすぎる境遇も失う可能性が非常に高かった。透の両親が、加害者である淫行教師から引き離そうとするのは当然だったし、透も真菜美に〝アナ〟としての価値を認めるかどうか非常に疑わしかった。

──!!!!──

そこまで想像かんがえを巡らせて、真菜美はあらためてフルえた。今の真菜美にとって、学校や教職、両親や家族、婚約者フィアンセや友人、過去の経歴など、今の今まで真菜美が営々と築きあげてきた、そのすべてよりも、少年との関係、少年の〝二番目のアナ〟である、人間としてまともに扱われていない、少年の性欲の掃きだめとしての身分コトの方が重要なのだ。

『たった三日ッ! たった三日のコトなのに……ッ!』

真菜美はそう嘆息せずおもわずにいられない。しかし、今の真菜美に、少年の前から立ち去る行為コトなど到底できなかった。

不可能だった。

真菜美は完全に教え子との異常交遊に浸りきり、さらに溺れようとしていた。

「何してんのッ!? 真菜美ッ!」

動きの止まった年上の後輩メイドに女子高生メイドが声を荒げる。

「…………」

一方の透は、美少女メイドとは違った眼で、自分の担当教師を見つめていた。

──美しい──

知的な美貌は青ざめ、その硬質めいた白皙の頰に、伊達メガネに映る睫毛から、長い影が落ちている。血の気を失った白磁の肌が小刻みに震え、揺れていた。伊達メガネをかけ、白と黒でできたゴスロリ調の、一回り以上小さなツンツルテンな、メイドの衣装を無理に着せられ、豊満な乳房を放り出し、成熟した肉体カラダをブザマにさらけ出している姿は哀れ、滑稽だったが、同時に官能的エロチックで魅力的、幻想的でさえあった。

透は見蕩みとれていた。

年上の後輩メイドの、ろう長けて、現実感を喪失した美しさに、愛しい御主人様が見惚れているのに気づいた女子高生メイドが(「『何してんのよッ!? 真菜美ぃッ!』って叫び、御主人様の鑑賞の邪魔をしたら、嫌われるかもしれない」と思いながらも)、ついに(「そんなにその女性ヒトだけを見ちゃあイヤぁッ!! 私のコトを、御主人様アナタの一番目のアナのコトも忘れないでぇッ!!」と叫びたくなり、)たまりかねたように口を開こうとした刹那、透はくるみ口の前に指を立てて塞ぐ。