「……もう、限界だね?」
少年が囁き、
「は……ッ、はヒ……ッ。もう、限界です……」
美少女メイドが新たな脂汗をにじませ、白い歯を食いしばりながら、片目をつぶり、うなずく。
こつんッ。
透は、自分の額をくるみの額に軽く押し当てた。
「……じゃあ、いつもの場所で、スるんだよ」
ぴくりッ。
くるみは表情を動かし、ほんのちょっとだけ背後に視線を走らせた。
真菜美はどきり、とした。可憐な美少女メイドの意識が、一瞬だが、明らかに自分に向けられたことに気づいたからだった。
(わたしの恥ずかしい姿をこの女教師に見せるの?)
その疑問を胸にしまい込み、くるみは涙とともにうなずく。
「は……ッ、はヒ……ッ」
──!!──
──美しい──
真菜美は素直に感動していた。この女子高生の、人並みはずれた外見の美しさよりも、その内面、心映えに、感じいっていた。
「じゃあ、いくんだ」
透はそう言うと、くるみの脇に手を入れ、くるみの肉体を持ちあげようとする。
くちゃッ。
ぬかるみを打つような、粘着音が真菜美の鼓膜を打つ。射精を終えて半萎えになった少年の男性器と、その射精を受け止めた美少女の女性器の間に泡を伴った粘液の橋が架かり、はじけて消えた。
「あン……ッ」
真菜美からは、くるみの、まだまだ肉づきの薄い、白く滑らかな内腿が引き締まり、秘所を締めつけるトコロが見えた。それは少年に単なる性欲処理道具、生きたオナホール、〝アナ〟として排出された精液を一滴でもこぼすまいとする所作に他ならなかった。
御主人様の手で立たされたくるみは、気怠げな様子で部屋の隅に向かい始めた。
それを追いかけるように透はリモコンを操作する。
──!──
その瞬間、部屋の隅の一つが突然明るくなり、真菜美は驚いた。
その部屋の角、隅には都合4枚の鏡が貼られていた。直角に向き合って壁に貼られている二枚の鏡はそれぞれ幅が1メートル、高さは2メートル近くある大きなものだった。そして、もう一枚は壁の二枚の鏡の端と端を繋ぐようにして、床とは斜めになって貼られた高さ七〇センチくらいの二等辺三角形の鏡だった。そしてその斜めの鏡とぴったりとくっつくようにして床には四角い鏡が貼られ、その上には熱帯魚鑑賞に使うような透明なガラスの水槽が置かれている。その幅四〇センチ奥行き八〇センチもあろうかという大きな水槽は、よくよく見るとこちら側の透明な三辺は間違いなくあるが、向こう側、部屋の隅にあたる一辺は無く、斜めの鏡と完全につながってしまっていた。そしてそこに天井や床、壁面などに設置された照明からいくつもの光線が降り注ぎ、まばゆく煌めいていた。
赤い手形がいくつも折り重なるようについたお尻を振り振り、縄目の跡も生々しい腕を揺らした美少女メイドがそこに着くと、その四枚の鏡と大きな水槽で作られた仕掛けの意図がいっそう明らかになった。
くるみはその四枚の鏡と水槽が置かれている部屋の隅に着くと、くるりと身体を半回転させ、こちらを向き直った。そして、太腿の付け根近くまである黒い長靴下を履いた、長くすらりとしたモデル顔負けの脚で、その大きな水槽を跨ぎながら、立ったまま、部屋の隅の壁、鏡にもたれかかる。その拍子に少女の肉体が小さくわななく。鏡に触れた二の腕に鏡の冷たさを感じたようだった。鏡に映る睫毛が長い。鏡に映ったおもざしが哀れなほど美しく整っていた。真菜美はあらためて、この女子高生の美しさ、愛らしさに感じいっていた。
ぷるんッ。
美少女の、円錐形を思わせる胸の膨らみが揺れた。しかし、その柔らかな少女の膨らみもいくつもの傷口と流血の跡があり、痛々しかった。
──!!──
(きゃぁぁぁぁぁッッ!)
その変態性交の跡とは別の理由により、真菜美は目を剥き、本当に叫び声を上げそうになった。真菜美の瞳には、そして真菜美が持っているビデオカメラの液晶画面には、美少女の股間があからさまに映し出されていたからだ。その四枚の鏡と水槽といくつもの照明は、浣腸責めにあった哀れな生け贄の排泄場面をつぶさに鑑賞し、克明に記録する為の仕掛けだったのだ。ゴスロリ調のメイドの衣装もエプロンも、四方八方から浴びせられ、交錯する照明の前では何の防御もしていなかった。むしろ少女のハレンチな姿を際立たせ、羞恥を煽るモノでしかなかった。
呆然とする真菜美を、中学生が叱りつける。
「センセー、何しているんだよ。もっと前に出て、撮影しなきゃ」
いつの間にか透の手には、真菜美とは別の撮影機材、カメラがあった。そう言い捨てた透が一人前に出て、被写体、部屋の隅にいるくるみに近寄っていく。
「…………」
真菜美は声もなく、返事することも出来ないまま、自分が担当する中学生に従うしかなかった。自分が操作しているビデオカメラの液晶画面に、美少女メイドの全身像を過不足なく収めるコトができた透は、哀れな被写体に声をかける。
「今日は、2台で撮影するんだからな、張りきれよ」
「は……ッ、は……ッ、はい……ッ。くるみ、頑張ります……ッ」
ぐすんッ。
愛する御主人様にそう言われた、美少女メイドはそう返事するしかなかった。しかし、そのあふれくる涙は問いかけていた。