女子高生メイドと穴奴隷女教師

(ほう)

それは勿論、女教師の加納真菜美だった。透の担当教師が、くるみと同じようにメイド服を着せられているのだ。くるみは昨夜のと同じ、黒と白の、ゴスロリ調のメイド服を、きちっと身にまとっているが、真菜美はそうではなかった。

「なかなか、似合っているじゃないか」

くすくすッ。

普通でないメイド衣装を着せられた女教師を見つめながら、透は忍び笑いを噛み殺していた。そんな少年主人からカバンを渡され、上着を脱ぐのを手伝い、ネクタイをゆるめるのを見つめながら、もう一人のメイド、園寺くるみが頭を下げる。

「ありがとうございます。お気に召していただけましたか?」

(……やっぱり、こういうのがお好みなんですね? どうせ私は……?)

うやうやしく頭を下げるメイドの言外にトゲを感じながらも、透は、自分のクラスの担当教師から目を離すことができずにいた。くるみは鞄を受け取りつつ、頭を下げ、女教師をキッく睨みつける。

(なぁに、しているの、真菜美ィィッ!!)

年下の先輩メイドの視線に気づき、真菜美はあわてて、頭を下げる。

「あ……ッ、あ……ッ、ありがとうございます……ッ、御主人様」

ぽろぽろッ、ぽろぽろッ。

悔しさよりも気恥ずかしさに涙がこぼれる。

頬が燃えるように熱いのに胸が涼しいスースーする

真菜美はくるみが着ているメイド服と全く同じ白と黒のゴスロリ調のモノ、その予備の一着を着せられていた。真菜美はくるみよりも頭半分背が高く、成熟した肉体カラダを持っていた。とりわけ、胸の膨らみの差は大きく、ブラウスの前を止めることができない。くるみはそれを逆用し、真菜美に着せた自分のメイド服を、胸元を大きくはだけさせた形で縫いあわせ、下着ブラジャーをつけさせず、豊かな乳房を放り出させているのだ。ただでさえオオきな、女教師の乳房は白と黒の窮屈な衣装からまろび出て、その量感と白さをひときわ強調していた。他にもあちこちで丈が足りず、肌の露出が多くなっている。例えば、ただでさえ短いスカートはさらに上にズリ上がってしまい、股下と呼べる物がまったくなくなっていた。太腿の半ばまである黒い長靴下ロングストッキングと、それをとめている派手なショッキング・ピンクの靴下止め、それらがあらわになっている真っ白な太腿とあいまって、安っぽい風俗嬢じみた、下卑た滑稽な印象を与えている。その一方で、背中に垂らしていた長い黒髪は半分は前に回され、整ったおもざしをわずかに隠し、恥ずかしがり屋の少女めいた雰囲気をかもしだしていた。

さらに──。

「ほう」

ソレに気づいた透は軽く口笛を吹いた。透は真っ赤にした美貌をうつむけている、自分の担当の女教師の細い顎をつまみ、そのおもざしを上げさせる。

「ナカナカ、似合っているじゃないか」

真菜美の顔をのぞきこむ、透の表情は、自分の担当教師を見つめる生徒の表情モノではなかった。自分の所有物ドレイを値踏みし、鑑賞する人間の表情ソレだった。

うふッ♡

もう一人の人物が会心の笑みを送る。

「お気に召していただけましたでしょうか?」

うむうむ、と透がうなずく。

「さすがは、くるみだ。ボクの好みが良くわかっているね?」

「ありがとうございます」

再度くるみはうやうやしく頭を下げた。

「他にも、フレームやテンプル、リムにより様々な仕様の眼鏡モノを各種用意いたしましたが、御主人様のお好みを考え、この眼鏡を使わせてもらいました」

女子高生メイドの言葉に、中学生の主人はにこやかにうなずいて見せた。

「そうか、そうか。いや、よく似合っているよ」

「ありがとうございます」

ぽろぽろッ。

透とくるみの会話を聞きながら、真菜美は涙をこぼした。こぼさざるをえなかった。

そう、真菜美はメガネを、まったく必要のないメガネ、いわゆる伊達メガネをかけさせられていたのだ。そのメガネは大きな正円で、黒く細い縁どりのある、トンボメガネだった。伊達メガネも首輪や拘束具同様、使われた者に従属意識を抱かせる効果がある。まったく不必要な物を身につけさせるコトで、贈った者と贈られた者の関係を表し、深層意識に服属感を叩き込んでいるのだ。その意味では婚約指輪エンゲージリングや結婚指輪などと同様だった。そしてその大きなトンボメガネは小さなつんつるてんなメイドの制服や、胸元まで垂らされた黒髪とあいまって女教師を幼く見せ、その胸の巨きな膨らみや成熟した肢体に不釣り合いアンバランスな魅力を与えていた。中学生の御主人様の心中を察した、女子高生メイドが、伊達メガネの女教師に命令する。

「それじゃあ、真菜美、御主人様に御奉仕させていただきなさい」

──!!!!──

すでに因果を含まされていたのであろう、真菜美は長い睫毛を揺らめかせながら、その場にひざまずき、両手をつき、こうべを深々と垂れて、懇願する。

「ご……ッ、ご……ッ、御主人様……ッ。どうか……ッ、私めに……ッ、ご……ッ、御奉仕させてくださいませ……ッ。お願いです……ッ」

ぱたぱたッ。

目から溢れた涙が伊達メガネを曇らせ、真菜美の目の前の床を濡らす。

教え子に土下座して嘆願しながら、真菜美は自分が、教え子の奴隷モノに、アナになってしまったコトを実感させられていた。