家庭教師と隣の母娘 誘惑の個人授業

家庭教師と隣の母娘
誘惑の個人授業

小説:羽沢向一

挿絵:まひるの影朗

リアルドリーム文庫

家庭教師と隣の母娘 誘惑の個人授業

登場人物

ふじくら ゆう

東京のマンションで一人暮らしをする童貞の大学二年生。真面目な学生で、マンションの隣室の仁志乃茉莉に数学を教えている。

まゆ

優也の隣の部屋に住む三十八歳の未亡人。怪奇小説の人気作家。落ち着いた優しげな風貌には似つかわしくない、むっちりした体型の爆乳美熟女。

まつ

優也に家庭教師をしてもらっている十六歳の高校一年生。繭の娘。優也に恋心を抱いている。母親似の聡明で端正な顔つきで、性感豊かなFカップの巨乳を持つ。

プロローグ 家庭教師、飛ぶ

ふじくらゆうは玄関のインターホンのチャイムを聞いた。

予想通りの時間だ。

大学二年生の優也は、すでに夏休みに入っていて、朝からマンションの自室でチャイムが鳴るのを待っていた。

居間の畳から立ち上がり、ダイニングキッチンの壁にあるモニターに目をやる。

予想通りの相手。

優也は自分のシャツとスラックスに変なところがないか、すばやく確かめてから、キッチンのわきにあるクリーム色の金属のドアを開けた。

女子高生が立っている。

キラキラした瞳で優也の顔をまっすぐに見つめて、溌剌とした声をあげる。

「先生、終業式からただいま帰ってきました!」

「おかえり、まつちゃん」

茉莉は十六歳。優也が家庭教師をしている相手だ。

高校一年生の女子としては高めの身長を、白いブラウスに包み、赤いリボンタイを巻いている。下半身は赤いチェックのプリーツスカート。すらりとした両脚には白いソックスとダークブルーのパンプス。どこも改造していないオーソドックスなデザインの制服が、とてもよく似合っている。

肩できれいにそろえた黒に近い茶色の髪も、今の女子高生としては地味に感じさせた。

切れ長の瞳が涼やかな顔は、端正に整って、聡明な雰囲気だ。頭はよさそうだが、他人に冷たい印象を与えるかもしれない。しかし今は明るい笑顔を輝かせて、右手を伸ばし、優也の手首をつかんだ。

その動きで、純白のブラウスの胸のふくらみがフルンと揺れる。

優也にとって見慣れた光景だが、つい視線が茉莉の顔から胸へ移動してしまう。本人に確認したわけではないが、確実にEカップはある。いや、Fカップかもしれない。

制服のブラウスは身体のラインが出にくいデザインだが、それでも茉莉の豊かなバストサイズは隠しようがなかった。

(中学生のころに比べて、本当に成長したなあ)

と、優也はことあるごとに思ってしまう。だが顔には出さずに、年上の余裕を見せる努力をした。

「成績表はどうだった?」

「発表するから、うちに来てください」

茉莉に手首を引かれて、優也は出しっぱなしのスニーカーに足を突っこんだ。

開いたままのドアを出ると、そこはマンションの五階の渡り廊下だ。優也が出た金属のドアと同じドアが、左右にいくつも並んでいる。

優也が自宅のドアを閉めると同時に、茉莉が向かって右側の隣室のドアを開けた。

茉莉に背中を押されて、優也が玄関に入ると、奥からもうひとりの女が姿を現す。白いノースリーブのワンピースを着た大人の美女が、笑顔を見せる。

「いらっしゃい、優也くん」

「おじゃまします、まゆさん」

仁志乃繭は、茉莉の母親。三十八歳の未亡人。優也の隣の部屋に、娘と二人で暮らしている。

背中の中ほどまで伸ばしたストレートの黒髪にふちどられた美貌は、やはり茉莉に似ている。十六歳の茉莉の聡明な雰囲気に、年齢にふさわしい柔和な魅力が加わった顔だちだ。

ワンピースから伸びる手足は、ほどよいまろみがついて、熟した女の魅力をかもしだす。優也は繭の裸体を見たことはないが、きっとむっちりした身体つきに違いないと想像していた。

なによりワンピースの胸の隆起を見れば、誰もがそう思うだろう。娘よりも迫力がある、母親の盛り上がり。茉莉がEかFカップならば、繭は確実にFカップかGカップだ。

「居間へどうぞ。茉莉ったら、成績表を最初に見せるのは先生に決めているからって、わたしにも見せてくれないのよ」

優也は奥の居間に通されると、ごく自然にテーブルのまわりの座布団のひとつにあぐらをかいた。向かい合う位置に、茉莉も横座りする。

繭が冷えた麦茶のグラスを乗せた盆を持ってきて、テーブルに置くと、優也の隣に正座した。

優也がグラスを手に取るよりも早く、茉莉がテーブルの下から二つ折りした紙を出して、両手で大きく広げて見せる。上のほうに私立紅葉高校一年生成績表と印刷されていた。

「どうぞ。一学期の成績です!」

「どれどれ。拝見しようか」

カンフー映画の師匠をまねた声を出して、優也は成績表に並ぶ数字を読み取る。国語・英語・歴史・地理には10と9が並んでいる。優也の予想通りだ。茉莉は文系の教科は、中学生のときから優秀だった。

優也の目は、数学の欄で止まった。

「8だ!」

「はい。8が取れました」

「やったよ! 一学期の目標クリアだね」

繭はパチパチと手を叩くと、娘が勝ち取った数字から優也へ顔を向けた。

「茉莉が数学で8を取るなんて、すばらしいわ。優也くんのおかげよ」