「あっ、んっ」
茉莉の喉から自然と喘ぎがこぼれて、尻がくねった。優也の指に肉襞の奥がこすれて、さらに蜜液を粘つかせる。
前戯の必要がないほど、茉莉が濡れていると、はっきりわかった。
「行くよ」
優也はもう一度同じ言葉を短く告げて、左手をそえた燃え盛る男根を進撃させる。
亀頭が、膣口に触れる。優也を受け入れる覚悟をした茉莉の意志に反して、処女口は小さくすぼまった。
優也は勢いをつけて、亀頭の進行をはばむ防壁を押し破ろうとする。
「くうっ!」
突然、壁が崩れて、優也の分身がやわらかくぬるぬるした洞窟に突入した。
「ひいいっ!」
茉莉が放つ苦痛の声とともに、亀頭と肉幹に強烈な圧力が押し寄せてくる。
「うわ、これが、茉莉ちゃんの中!」
はじめて繭の濡れ肉を舌で舐めたときも、これが人体なのかと驚いた。今、ペニスをびっちりと包みこみ、グイグイと締めつける膣肉は、もっと驚異だ。
なによりも熱い。人間の体温とは思えない高熱が、自らも燃える男根を襲い、さらに熱くする。童貞の想像を超える女体の力と熱が、そのまま想像を超えた童貞脱出の快感となった。
「茉莉ちゃん、気持ちいい!」
「ひっぃいいいいぃぃぃいいい!」
優也の称賛の声に対して、茉莉は痛切なうめきを長々とあげる。
今まで優也の手や舌から与えられていた快感とは正反対の、強烈な激痛で体内を引き裂かれた。
(だっ、だめっ!)
茉莉は歯を噛みしめる。この痛みこそが愛する人に処女を贈ることだ、と自らに言い聞かせて、うめきを抑えこんだ。そんなことになんの意味があるのか、自分でも判然としない。理由もなく、ライバルとなった母親の前で、情けない声は出したくないだけだ。
繭はやれやれという顔になる。
「茉莉、無駄な努力をしなくていいのよ。好きな男の人に、身をまかせればいいの」
優也の腹が、茉莉のわななく尻に押し当てられた。男根が根もとまで、女体の奥に埋まる。肉幹の周囲から赤い鮮血が流れ出し、一度は押しとどめた叫びが喉から噴出する。
「ああああああっ!」
より大きくなった苦鳴に、繭の拍手の音が重なった。
「おめでとう、茉莉。おめでとう、優也くん。二人とも、大人になったのよ」
人生の先輩の言葉は、娘と優也の耳には届かなかった。
優也は、茉莉の叫びを耳にしても、自分を止められない。左手の指を目の前のウエストの曲面に食いこませて、力まかせに腰を引く。血に染まった膣口がめくれて、ぬらぬらと赤く色づいた肉幹が姿を現す。
亀頭が抜ける寸前に、再びペニスの根もとまで突き入れる。腹と尻がぶつかる肉の打撃音が響き、新たな鮮血が押し出された。左右の太腿を伝い落ちた血液が、畳の目に沁みこむ。
「あっ、あくううっ! あひいいっ!」
叫びながら、茉莉は自分の中の変化を感じ取った。痛みのなかに、別のものが混じってくる。
(ああ、これって)
「茉莉ちゃん、すごいよ! 気持ちいいよ! すごいっ!」
背後からかけられる優也の悦びの声を聞くたびに、別のものは大きくなり、割合を増やしていく。
「すごいっ!」
(あああ、先生、同じ言葉ばかり)
ワンパターンの声が愛しい。先生が自分の身体に夢中になって、単純なことしか言えなくなるのがうれしい。そう感じると、痛みとは別のものの正体が鮮明になってくる。
快感だ。
処女がはじめてペニスを挿入されて、こんなに短時間で快感を得られるものだろうか、と茉莉自身が疑問に思う。
(でも、やっぱり、気持ちいいかも……)
茉莉の顔が、苦痛に引きつる形相から、徐々にゆるんでいくのを、繭は目ざとく見つける。
「さすがは、わたしの娘ね。わたしも健治さんとはじめてのときに、すぐに気持ちよくなれたのよ。母も、最初のときにそうだったと言っていたわ」
母親の言葉に、茉莉は困惑する。
(それって、わたしの母方は、いやらしい血筋みたいじゃないの!)
反発しても、肉体の変化は止まらない。むしろ意識するほどに、快感が大きく開花していく。
「うっ、あんん」
声が甘くなっていることに、茉莉本人が気づいた。優也に突かれ、衝撃が下腹部から背筋を駆けるたびに、口から押し出される声の音色が、甘く色づいていく。
「んんっ! はぁあああ」
止められない嬌声が、自覚をうながす。
(わたし、気持ちよくなってる! はじめてなのに!)
茉莉の声音の変化に、優也も感じた。気づいてしまったら、もう問いただして、確認しないではいられなくなる。腰を前後に動かし、膣内をえぐりつづけながら、茉莉の頭へ向かって声を飛ばす。
「茉莉ちゃん、もしかして痛いんじゃなくて、繭さんが言うように、気持ちよくなってきたのか?」
茉莉は答えられない。気持ちいいと言ってしまえば、とんでもない淫乱な女だと思われそうだ。
優也は質問の答えを得ようと、力まかせのピストン運動をさらに激しくする。鮮血に濡れた肉幹が姿を現しては、茉莉の中へ突入をくりかえす。自らが刻むセックスのリズムに乗って、優也は詰問を加えた。
「気持ちいいんだね? 茉莉ちゃん、気持ちよくなってるんだ」
優也に突かれ、問われるたびに、茉莉は喜悦が大きくなっていくのを感じた。優也に言葉で責められることで、快感の種火が激しく燃え上がり、全身を焼かれる。
もう正直に答えるしかないと、茉莉は決意した。