家庭教師と隣の母娘 誘惑の個人授業

おいしい。

優也の口の中に、藤倉家とは違う家庭の味が満ちる。

昼食を終え、三人で食器をかたづけると、茉莉が名残惜しそうに言った。

「今日は午後から高校の友達の集まりがあるから、先生の晩ご飯は母さんにまかせるね」

「茉莉ちゃん、今日もありがとう」

キッチンのわきのドアから茉莉が外へ出ていくと、繭が顔を優也のシャツの胸に近づけて、鼻をひくつかせた。

「昨日は、身体を洗ってないわね」

「臭います?」

「少しね。主婦の鼻は敏感なのよ」

「左手だけで身体を拭くのは、けっこう面倒なんですよ」

右腕のギプスのために、風呂には入れない。優也はタオルを濡らして、裸の身体を拭くだけですましていた。料理だけでなく掃除も洗濯も、繭と茉莉に手伝ってもらっているが、こればかりは優也ひとりでやらなくてはならない。

「そうよね。とくに背中を拭くのは難しいわね。そう思って、今日はわたしが優也くんの身体をきれいにしてあげる」

「えっ!? 今、なんて」

自分の耳が信じられず、聞き返した。繭に身体を拭いてもらうためには、当然ながら繭の前で裸になる。それどころか、繭の手が自分の裸体に触る。幼児のころは別として、優也はそんな経験をしたことがない。

優也は、まだ童貞だ。

キスも未経験。

今も昔もクラスの女子に嫌われたことはない。性欲も人並みにある。積極的に彼女を作らなくちゃならないという意識がなかっただけだ。

「わたしが優也くんの身体をきれいにしてあげる、と言ったのよ」

優也は左手を繭に握られて、強く引っぱられる。勢いにつられて、キッチンから奥の寝室へ連れていかれた。壁際の箪笥の中に、洗濯した服やタオルが入っているから、寝室に来るのは不思議ではない。

しかし次の繭の動作に、優也は驚きと困惑の声をあげた。

「えっ、ええ?」

繭は両手を自分の背後にまわして、ワンピースの背中のファスナーを下げる。

すとんとワンピースが落下して、繭の素足をかこむ水色の輪と化した。

優也は繭と一年あまりのつきあいだが、繭の身体を直接目にしたことはなかった。衣服の上からでも、繭が豊満なグラマーということはわかるから、ついつい裸体を妄想したこともある。そのたびに、なにを考えているんだと反省しきりだった。

現実に見えたのは、純白の下着ではなかった。

着衣を捨てた仁志乃繭の肉体を飾るのは、なめらかな光沢のある白い水着。

三十八歳の熟女にふさわしい、おとなしいデザインではない。

(大きい! 小さい!)

目を見張る優也が、口の中で矛盾する驚嘆の言葉をつぶやく。

(すごく大きい巨乳だ! すごく小さいビキニだ!)

推定FあるいはGカップの豊満な乳房は、驚異的な迫力で優也を圧倒する。

艶めかしい巨乳の前面に貼りついた白い水着は、面積が小さいだけでなく、とてもきわどい。

ビキニトップの二つの白い正三角形は、左右から盛大にやわらかそうな肉をはみ出させている。三角形そのものも、内側からの乳房の圧力で、今にも破れそうな印象だ。三角形の頂点から伸びるストラップは、頼りなさそうな白い紐で、満々とした乳肉に少し食いこんでいる。

下半身も、へその下に小さな白い逆三角形があるだけ。ボトムのサイドは紐になっていて、今にもウエストからずり落ちそうに思える。

二十代前半の若い女が、こういう大胆な水着でプールサイドやビーチを闊歩するのは、日本では珍しいが、不思議はない。繭の年齢でこのビキニはありえない、と優也は常識的に考えていた。

しかし、目の前に立つ繭のビキニ姿はすばらしい。ミスマッチな小さい水着のおかげで、むしろ熟した大人の女の魅力が強調されている。

三つの白い三角形に飾られた女体は、見事な巨乳にふさわしい豊かな量感がある。けっして太っているわけではない。ウエストのなめらかなくびれから、むっちりした左右の太腿へ至るラインは絶妙な美しさだ。

「どうかしら。新しく買った水着よ」

繭の問いに、優也はかすれた声を絞り出した。

「え、ええ。すてきです……」

水辺のふさわしい場所ならともかく、自分の寝室で、よく知っている美女がきわどい水着姿になっているという状況に、どう反応していいのか、わからない。

「後ろはどう?」

熟女の全身が、ゆっくりとまわりはじめる。

白い紐のストラップが走る背中が見え、ビキニのボトムに包まれた尻が、優也の目に映った。

優也の頭の中に、また同じ言葉が響く。

(大きい! 小さい!)

繭の尻も、乳房に負けず劣らず、大迫力だ。乳肉以上にみっちりと肉がつまった重量を感じさせる。それでいて尻たぶは高く持ち上がり、鈍重な印象はない。

二回転して、繭の身体が正面を向いて止まると、優也の視線はまたバストに集中する。回転スピードはゆっくりだったのに、左右の乳球が弾んで、ビキニのトップがずれそうに思えた。

「さあ、優也くんも脱いで!」

「あの、ぼくは」

返答に窮している間に、繭の手によって優也の両肩からランニングシャツが引き抜かれる。

「繭さん!」

ようやく声が出たときには、もう優也の上半身を裸にされていた。

「待ってください。こんなことは、ああっ!」

ランニングを奪われたことで、裾に隠れていた黒いハーフパンツの前面が現れる。そこには、見事なほどに高々とテントが張られていた。優也は繭のビキニ姿に意識を奪われて、自分がすでに勃起していることに、自分の目で見るまで気づきもしなかったのだ。