家庭教師と隣の母娘 誘惑の個人授業

優也は彼女同伴クラス会に、繭と茉莉を誘った。母娘は彼女としてクラスメイトに紹介してもらえることは喜んだが、二人も連れていって大丈夫なのか、と心配した。

「うそつけよ。若い子はともかく……」

と、別の男がいったん口ごもる。

「……そちらの妙齢の美人まで彼女なんて、おかしいだろ」

「この二人は」

と、優也は繭と茉莉がマンションの隣室の住人で、茉莉の家庭教師をしていることを説明した。母娘二人と肉体関係にあることは隠して。

カフェのあちこちから声があがった。

「なあんだ」

「ただのおとなりさんかよ」

「見栄をはって、近所の人を連れてきたのか」

中井がニヤニヤした表情で前に進み出て、奥の席にいる顔のよく似たカップルを指さした。

「まあまあ。山本なんて、同じ大学にいる姉ちゃんを連れてきたんだぜ。おとなりさんを二人も連れてきて受けを取ろうなんて、かわいいもんだよなあ。それよりも!」

いきなり真剣な顔になり、繭の美貌をまっすぐに直視する。

繭は小首をかしげた。

「はい?」

「仁志乃先生、大ファンです。向かいの本屋で新刊を買ってくるので、サインをお願いします!」

「ええ、いいわ」

「うひょーっ!」

中井がクラスメイトたちも聞いたことのない奇声をほとばしらせて、カフェを飛び出し、書店へ駆けていった。

クラス会は近くの居酒屋に場所を変えて、夜の二次会に突入した。だが優也たちは未成年の茉莉がいるので、カフェを出たところで別れた。

マンションに帰宅すると、ごく自然に優也の部屋に繭と茉莉も入った。母娘はどちらも、先に入った優也に、ただいま、と言う。

繭は居間の畳に座ると、しみじみとした口調で告げた。

「やっぱり、青春まっただ中の人たちにはかなわないわね。優也くんのクラス会に出て、つくづく自分は若くないと思い知ったわ」

「そんなことはないですよ。繭さんは若いです」

優也の言葉に、繭は首をふる。

「クラス会のおかげで決意はしたわ。優也くんと結婚するのは、わたしではなく、茉莉よ」

優也と茉莉は無言で顔を見合わせ、同時に甲高い声を発した。

「母さん、本気なの!?」

「いいんですか!?」

「ええ、本気よ。優也くんと茉莉の結婚式が楽しみだわ。式では、わたしが書いた怪談を、自分で朗読するからね」

「仁志乃繭先生の娘として、しかたないわね」

「仁志乃繭先生の婿になるからには、しかたないか」

笑い合う娘と将来の婿へ、繭は断言した。

「茉莉は優也くんの妻になる。そして、わたしは優也くんの愛人になるわ」

「え」

「え」

優也と茉莉が言葉を失い、繭を見つめたまま固まる。

「三人でずっといっしょに暮らすのよ。優也くんの子供は、茉莉が生みなさいね」

繭は、冗談ではすまさない、という真剣な顔で、二人を見つめかえす。

沈黙を破ったのは、優也だった。

「ぼくは今日のクラス会で、本気で繭さんと茉莉ちゃんを彼女だと紹介しました。クラスのみんなは冗談だと解釈したけど、もし本気だと受け止められて、噂が僕の親にとどいてもかまわないという覚悟だったんです。そのときは、どうやってでも親に認めさせるつもりでいました」

あらためて優也は左右の手で、繭と茉莉の手を握る。

「ぼくは二人を同じだけ愛してます。一生、平等に二人を愛します。繭さんの言うとおり、将来の子供のために、結婚は茉莉ちゃんとすることになっても、愛するのは二人いっしょです!」

優也の手を、茉莉が強く握りかえした。

「先生がそう言うのなら、それが一番すばらしいことだと思う。わたしも、今のとても幸せそうな母さんでいてほしい。法律ではわたしが妻で、母さんが愛人でも、本当は二人とも妻になればいい」

繭も、優也の手をぎゅっと握る。

「決まったわね。今日からわたしたち二人は、優也くんの奥さんよ、ん」

繭の唇に、優也が唇を重ねた。ついで茉莉にもキスをする。

「今から初夜を迎えよう! 今まで、一度もしていないことを、二人にしてみたいんです」

繭が目に輝く星を浮かべた。

「一度もしていないこと! すてきだわ」

茉莉もこくりとうなずく。

「わたしも、先生のためにがんばります!」

母娘の反応に安心して、優也は今まで秘かにいだいていた欲望を口にした。

「繭さんと茉莉ちゃんがいっしょに、フェラチオをして欲しい」

「まあ!」

「そんな!」

最初のときには、母と娘が同時に優也のペニスを握ったが、それは競い合ったために起きた偶然だ。一度は互いのセックスを見守ったが、その後は別々に優也と愛し合ってきた。

繭が探るような視線を、優也と茉莉へ向ける。

「優也くん、すごいことを言うのね。健治さんだって、わたしとわたしの母といっしょにしたいなんて、言わなかったわ」

母親がためらっているのを見て、茉莉は一気に決意した。勢いよく右手を上げる。

「はいっ、やります! わたしはやってもいいです!」

繭もとまどいをふりきり、娘に負けまいと腕を頭上にかかげる。

「わたしもやるわ!」

優也は腕を組み、首をかしげた。

「うーん。二人で競い合って、無理にやる気を出されるのはちょっと……」

「今さら、優也くんが困惑するの? もう、わたしはがまんできないわ!」

「先生が迷っても、わたしはやっちゃうんだから!」

四本の手が、畳にあぐらをかく優也の下半身へ伸びてくる。とっさに優也は立ち上がり、スラックスのベルトに手をかけた。