家庭教師と隣の母娘 誘惑の個人授業

「本当に今さら、それを聞くの?」

「こんなふうになる前に、きちんと確かめておくつもりだったのに、母さんのせいでなしくずし的にここまで来ちゃって、聞くタイミングがなかったんです」

「言われてみると、そうだね。じつは、今まで女の人とつきあったことがないんだ。今、まさに、人生初のモテ期が来てるよ」

茉莉の顔にしみじみと安堵が浮かぶ。

「よかったです。大学にライバルがいたら、闘うのが難しいもの」

「でも、ぼくが言うのもなんだけど、繭さんがライバルになっちゃったよ」

繭は少しの間、考えこんでいる様子を見せる。

「うーん。母さんなら、相手に不足なし、という感じかも。ああー、なんだが、すごく変なことを言ってる気もします」

「確かに」

二人は笑い合い、浴室を出た。

その日は、茉莉は優也の部屋に泊まった。

身体を洗った後は、茉莉は着替えがないので、しかたなく優也のトランクスとアンダーシャツを身につけて、その上に自分のブラウスとスカートを着た。しかたないながら、茉莉は好きな男の下着を身につけるのが楽しかった。

二人でマンションを出て、ショッピングデートを楽しんだ。毎日通る道を、男物の下着をつけて歩くのはおそろしくハラハラしたが、一度自分の部屋にもどって、母親と顔を会わせる気にはどうしてもなれなかった。今日だけは、自分と先生だけの世界にしたい。

普段は行かないちょっと気取ったレストランで夕食を取った後は、優也の部屋に帰って、たわいない話をした。このままつきあったらどうなるのか、という未来の話は、まだ優也も茉莉も思いもよらない。ただ今を楽しみたい。

寝室に敷いた布団に、二人並んで寝た。といっても真夏なので、掛布団ではなく、それぞれ一枚ずつタオルケットを腹に乗せる。

優也は、女の人といっしょに寝るのは、遠い昔に母さんが家を出ていって以来だな、とふと思い、隣の茉莉の手を握った。

翌朝は、茉莉のキスで、優也は目覚めた。まぶたを開いた後も、茉莉は何度もキスをくりかえす。

優也は今日も青いランニングシャツにモスグリーンのゆったりしたハーフパンツ。

茉莉は、優也の白いTシャツとベージュのハーフパンツを借りた。

ほぼおそろいのファッションの二人は、並んで朝食、昼食を作り、食べた。

そして、午後三時過ぎ。

インターホンのチャイムが鳴った。

二人でモニターを見ると、繭が右手を上げて、かわいらしくヒラヒラさせている。

繭は淡いレモンイエローのワンピース。身体の前面に、白いボタンが縦に並んでいる。

優也は今まで考えなかったことが、頭に浮かんだ。

(男子大学生の一人暮らしの部屋に、未亡人と年頃の娘が毎日通ってたら、マンションの住人から疑いをかけられないかなあ。実際に疑われるようなことをやっちゃってるんだけど)

優也がドアを開けると、繭は自分の娘と家庭教師の顔を見るなり、わざとらしい抑揚のない声で告げた。

「ゆうべはおたのしみでしたね」

「ネタが古っ!」

優也は突っこみ、茉莉はきょとんとした顔だ。

繭は靴を脱いで、キッチンに上がって、不満げに言い返した。

「ええー、古いかしら。歴史的名作ゲームの名台詞なのに。でも、実際にゆうべはお楽しみだったんでしょう。今日なんてペアルックじゃない」

「昨日は、あの後は、繭さんが想像するようなことはしてないです。茉莉ちゃんと普通に買い物をして、レストランで食事して、夜もおしゃべりしただけですよ」

「ええー、どうして!? 二人とも、若いのに淡泊なのね」

茉莉は、今日は母親と口論しないつもりだったが、がまんできず口を出してしまう。

「エッチなことをするだけが、恋人じゃないわ。母さんと違って、わたしは先生といっしょに、いろいろなことがしたいの」

「なるほど。そういうのも、若さならではね」

繭は、ふふふん、と鼻で笑ってみせた。

優也は、自分が知らない未亡人の女の顔を見せられて驚嘆する。

(繭さんがこんな態度をするのか。でも、こういう繭さんもすてきだなあ)

「今日は茉莉に、大人のつきあいを見せてあげる」

繭は自信たっぷりの顔で、巨乳を張り、先に立ってキッチンから寝室へ進んだ。まさに勝手知ったる他人の家という堂々とした歩き方だ。

後ろを歩く優也は、ワンピースの布越しに動く左右の尻たぶを見つめて、顔に期待を上らせていた。

茉莉は、対照的に顔に不安と焦燥を浮かべている。

(母さん、いつもよりきれい。とくに念入りにメイクをしているわけでもないのに、内面から輝いてるみたい。ああっ、もしかして!)

茉莉も母親の尻の動きを見つめて、とんでもないことに気づいた。

「母さん、ひょっとしてショーツを穿いてないの!?」

「なんだって!?」

愕然と目を見張る茉莉と優也の前で、繭はくるりと軽快に回る。

「気づいた? ワンピースの下はノーパンよ」

ふわりと舞うワンピースの裾を両手でつまみ、太腿のなかばまで持ち上げて、フラメンコダンサーさながらに閃かせる。

たとえショーツを穿いていても見えるほどには裾を上げていないが、露出するむっちりした太腿の扇情的な光景に、優也は目を奪われる。

「下だけじゃないわ。上もノーブラよ」

裾を離した両手が、レモンイエローの胸の隆起を下からすくい上げた。ワンピースの布が厚手なのか、表面に乳首の形は浮き出ていないが、乳房の形がうねうねと柔軟に変化する。