家庭教師と隣の母娘 誘惑の個人授業

「こ、これは……」

ペニスに血流が集中しても当然の状況は、あきらかに繭に責任がある。しかし優也は繭の身体を見て肉棒を硬直させたことに、罪悪感を覚えてしまう。

「すみません、繭さん。こんなことは」

ふいに目の前の繭の顔つきが変化した。

目が丸く見開かれ、唇が息苦しそうにパクパクと開閉する。

「ご、ごめんなさい。わたし、自分を偽っていたの」

「ええっ!?」

「経験豊富な大人の女が、若い男の子を誘惑するシチュエーションを演じるつもりだったけれど、本当は違うわ。わたしは夫だけしか、男の人を知らない。健治さんが亡くなってからは、この十年の間、男の人とキスしたことも、男の人の身体に触ったこともないわ!」

ひと息にまくしたてると、繭は大きく息を吐いて、力が抜けたように床に両膝をついた。

想像を超える急展開に、優也は唖然として、乳房が左右に揺れる様子を見つめる。

繭は息をついてから、顔を上げた。優也の顔を見上げるのではなく、内側から突き上げられるハーフパンツのつっぱりの頂点を凝視する。

「最初は、本当に、優也くんに、茉莉の家庭教師をしてほしかっただけなのよ。軽い気持ちだったわ。でも健治さんが死んでから、自分の家の中に男の人が長い間いるのははじめてで、部屋に優也くんの匂いが残って。あの、優也くんは、外見は健治さんとは似ていないわ。でも空気が似ているの」

優也は、仁志乃家のアルバムを見せてもらっていた。今より若い繭や幼い茉莉といっしょに写る男性の、幸せそうな顔を目にした。仁志乃健治は出版社の営業部に勤めていたそうで、大学の文学部の先生たちにも共通する知的で真面目な容貌だ。優也本人には、自分のなにが似ているのかはわからない。

「一年以上もうちに来てくれていたから、部屋だけでなく、私の身体にまで、優也くんの匂いが染みついて、もうがまんできなくなったの。だから、お願い!」

「は、はい!」

優也は困惑しながらも、繭が口にするお願いの内容を考えてしまう。妄想に反応して、ハーフパンツのテントの頂点の位置が、より高くなる。下半身の動きを、繭の瞳が追う。

「優也くんのおちんちんを見せてください」

繭は両手を畳について、頭を下げた。

優也はいよいよ呆然としてしまう。

(ど、土下座してる! 繭さんが、すごいこと言って土下座してるっ!)

額を畳につけたまま、熟女が年下の男子大学生に同じ言葉をくりかえす。

「お願いよ。優也くんのおちんちんを見せてください」

「土下座なんて、やめてください」

「見せてくれるの!」

迫真の勢いに気圧されて、優也はうなずくしかなかった。

「見せます! ぼくなんかのでいいなら、いくらでも見てください」

「ありがとうございます!」

畳から離れた繭の両手が、すばやく優也のハーフパンツの前のボタンをつまんではずした。あっという間に、パンツとトランクスが同時に引き下ろされる。

解放された勃起ペニスが、勢いよく跳ね上がり、自身の裸の腹を打った。優也の分身は、本人も見たことがないサイズに膨張している。表面に浮き上がった静脈が今にも破裂して、濃厚な血液を噴きそうだ。

優也は自身の性器と、繭の顔を、ひとつの視界に捉えた。生まれてはじめて、ペニスを家族でもない女に見られるのは、男でも恥ずかしい。だがそれ以上に、あこがれの美女の顔が、自分のそそりつ男根のすぐ前にある光景は、たまらなく興奮させられる。

「あああ、優也くん」

と、繭は熱してかすれた声音で男根を呼んだ。二つのキラキラと輝く瞳は、首を振る亀頭をじっと見据える。

「優也くんに触っていいかしら」

繭の指が、畳に下ろしたままのハーフパンツとトランクスを激しく握りしめる。両手が勝手にペニスに伸びようとするのを、懸命に押しとどめているようだ。

「ああ、わたしに、触っていいと言ってください」

ここまで来たら、優也に拒否できるわけがない。燃え盛る下半身が、絶対に断らせない。

「触っていいです! 今すぐ、繭さんに触ってほしいです!」

「ありがとうございます!」

礼の言葉が終わる前に両手が跳ね上がり、十本のしなやかな指がガチガチに硬い肉幹にからみつく。まるでたいせつな宝物を護り、慈しむように、左右の手でペニスを包みこんだ。

「うおっ!」

「はああ」

優也の驚嘆の声と、繭のせつない歓喜の吐息が、同時にあふれた。

ペニスの表面に、ただ女の指が触れているだけなのに、優也は自慰よりもはるかに豊かな心地よさを感じる。

繭は指を男のシンボルに触れさせているだけなのに、猛烈な熱量が全身に流れこんでくるのを意識する。

(気持ちいい。女の人の指って、こんなに気持ちいいんだ!)

(熱い。あああ、男の人のココは、これほど熱かったのだわ!)

繭はこのまま男の熱い肉を握っているだけで、全身が蕩けてしまう思いがした。十年ぶりに触れる男の肉塊から感じるエネルギーは、それほど新鮮で強烈だ。

小鼻をひくつかせて若い男の香りを嗅ぎながら、顔を赤く色づいた亀頭へ寄せる。右の頬を、亀頭の細い裂け目が刻まれた先端へと触れさせた。

ジュッ! という頬肉が焼ける音が、鼓膜に響く。もちろん実際には存在しない、繭の頭の中だけで鳴った音色。苦痛ではなく、歓喜の音色だ。