繭は横顔を見せて、尻を左右にくねらせる。
「ね。こんなレオタードは普通の店では買えないでしょう。この恰好は、優也くんの気に入るかしら」
「最高に気に入りました!」
「よかった。それなら、もっとよく見て」
繭は横に伸ばしていた両手をすばやく下ろし、左右の尻肉に指を食い入らせた。
上体を前へ傾けると、尻の谷間を左右に大きく広げる。
優也は樹液に吸い寄せられる虫のごとく、繭の尻へ向かって歩み寄った。尻の前で膝を曲げ、開いた谷間に顔を埋める勢いで観察する。
至近距離から注視してわかった。特殊なレオタードの股間部分は、半透明ながらも女性器をきちんと被っている。穴は、肛門だけを露出させていた。
優也が見つめる前で、繭の肛門はむずがゆさに身悶えするように、繊細な皺が中心に向かってすぼまり、またゆるむ動きをくりかえしている。
見ているだけで、優也の下半身もむずむずしてたまらない。尻の向こうにある繭の顔ではなく、尻の穴へ向かって質問した。
「繭さん、こんなレオタードを着て、こんな見せ方をするなんて、もしかしてお尻の穴を愛撫して欲しいんですか?」
目の前で、尻が上下に動き、うなずいてみせた。
「そう! 優也くんは全然お尻の穴に触ってくれないんだもの。いつ求められてもいいように、きれいにしているのに」
「そんなこと、ぼくからは言いだせませんよ。健治さんは、お尻の穴に触ったんですか?」
「健治さんは、わたしの身体をすべて調教して、目覚めさせてくれたわ。もちろんお尻の穴もエッチにしてくれたのよ。だから優也くんにも、繭のお尻を愛してほしい。優也くんはお尻の穴に触るのは、汚くていやかしら」
「繭さんのお尻の穴なら、大喜びで触ります!」
そのとき、優也の脳裏に閃光が射した。漫画やアダルトビデオで何度か見た、普通の恋人同士ではまずやらないことを、繭さんにやってみたい。
(繭さんなら、きっと許してくれるはずだ)
大いなる希望のもと、優也は尻から離れて告げた。
「繭さんは、まんぐりがえしをご存知ですか」
すぐさま正面に向き直った繭が、期待いっぱいの笑顔を向ける。
「マニアックなことを知っているのね。すてきだわ」
「でもAVを見て、いつも思うんだけど、あれ、けっこう女の人の身体がたいへんじゃないかな」
「心配無用よ。こう見えても、いろんな取材のために身体を鍛えているんだから」
繭は絨毯に尻を降ろして、両脚を開いた。
その動作を合図に、優也もワイシャツとスラックス、アンダーシャツとトランクスを猛スピードで脱いで、勢いよくベッドの上に放り捨てた。
全裸の股間から、猛りたった男根がそびえる。すでに亀頭は赤く染まって、エンジン全開で出番を待ち構えていた。
「それでは、まんぐりがえしをさせていただきます」
優也も絨毯に正座すると、両手で繭の左右の太腿をつかみ、自分のほうへ引き寄せる。
繭は自分から背後へ身体を傾けて、尻を浮かせた。優也の正座の足の上に、繭の背中が乗り、肩と後頭部を支えにして女体が倒立する。そのなめらかな動作は、初体験ではないと思わせた。
優也の眼前で、逆さになった繭の股間が開脚した。むっちりした左右の内腿を、両手でつかんで、じっくりと見つめる。
「はああー、すごい!」
繭の開脚はこれまでに何度も目にしているが、この不自然な視点で見つめると、今までにない興奮を覚えた。
「これが、まんぐりがえし! いや、まんは見えてないから、しりぐりがえしか!」
頭が熱くなり、自分でもなにを言っているのか、よくわからなくなっている。
開いた太腿の間から顔を出すと、薄墨色の腹と巨乳の向こうに、こちらを見上げる繭の美貌があった。やはり、かなり無理な体勢に見える。
「繭さん、やっぱり苦しいんじゃ」
「平気よ。心配しないで、早くお尻の穴を愛して!」
繭もこの特異なポーズをすることで、身も心もいっそう昂り、優也の顔のすぐ前で肛門がひくひくと蠢く。待ちきれない様子が、優也の男の欲望をそそる。
「繭さんのお尻の穴、本当にかわいいです」
下半身では、ペニスが女体を求めて吠えたてている。しかし優也は最初に、魅惑の肛門を口で味わいたい。
股間に顔を埋めるようにして、肛門に唇をつけた。
「あんっ!」
それだけで、繭の両脚がビクンッと上へ跳ねた。伸び上がった足先の指を反りかえらせて、十年ぶりの肛門への愛撫を悦ぶ。
「キス、いいっ! 優也くんのキス、すてき!」
優也も、唇に触れる熟女のやわらかさと繊細さに、胸が震える。もっと味わうために、舌先で放射状に集まる細い皺をなでていく。
「あうっ! くっぅぅん!」
繭が高い声をあげるたびに、優也の指と手のひらに、熟した太腿の筋肉の動きが伝わる。快感に乗って踊ろうとする両脚を、手で押さえた。さらに舌に力をこめて、濡れた肛門を舐めまわす。
ピチャピチャと濡れた音色がベッドルームに響き、繭の喘ぎ声がからみ合う。優也が舌を動かすたびに、小さな肛門から大きな尻全体に、喜悦の電流が広がる。尻たぶが熱をはらみ、白い肌がひとりでに色づいて、桃のように実っていく。
繭が両手の指で絨毯の毛並みをかきまわし、欲望の懇願を叫ぶ。
「はああっ、あ、あううん、突いて! 突いてください!」