なまめく美人三姉妹 レオタードの誘惑

二度と会うことはないだろうし、きれいさっぱり忘れられると……。

旅の恥はかき捨てという諺があるが、そのときは卓郎もそれでいいと思った。

十五歳の童貞少年が、夢のような出来事を体験したのである。

それだけでも満足しなければと考えた。

ところが澪の愛くるしい顔が脳裏から離れず、もう一度会いたいという願望が日ごとに膨らんでいった。

今さら悔やんでも悔やみきれない。

別荘から、何とか個人情報を知り得る方法はないものか。

(でも……どうしたらいいのか、全然わからないよ。川村という苗字も、決して珍しくはないし)

再び溜め息をついた瞬間、教室の扉が開き、担任らしき一人の女性が入室してくる。

紺色のスカートスーツに、胸元にレースのフリルがついた白いブラウス。

凜とした姿を目にした卓郎は、徐々に目を大きく見開いていった。

(あ、あ、あ……嘘っ!! あ、杏奈さん!?)

別荘でのセクシーな雰囲気は微塵もなく、別人のような佇まいを見せているが、杏奈本人に間違いなかった。

「今日から、一年D組を担当することになった川村杏奈、女子の体育を担当しています。これからの一年、みなさんといっしょに勉強していくことになるけど、どうかよろしくね」

親しみを感じさせる笑顔と、ハスキーがかった声だけは変わらない。

「あの……先生はおいくつなんでしょうか? 結婚してるんですか?」

窓際の男子生徒が恐るおそる問いかけると、杏奈は苦笑交じりに答えた。

「二十六よ、残念ながらまだ独身。実は私にとって、このクラスは初の受け持ちになるの。そういった意味では同じ新人だし、みんなからいろいろと学ばせてほしいわ」

凜々しい女教師は、そう言いながら教室内をグルッと見渡す。

卓郎と視線がかち合った瞬間、彼女は明らかに頬を強ばらせた。

おそらく、自分も似たような顔つきをしているのだろう。

「そ、それじゃ、入学式が始まるから体育館に集まって。ホームルームの続きは、そのあとにしましょう」

動揺を悟られたくないのか、杏奈は即座に教室の出入り口に促す。

生徒たちが次々と席を立つなか、卓郎はまだ惚けたように固まっていた。

(し、信じられない。杏奈さんが教師で、しかも自分の担任になるなんて。俺、まだ夢の続きを見ているのか?)

気がつくと、椅子に腰掛けているのは自分一人になっていた。

慌てて立ちあがり、扉の前に佇む杏奈のもとに歩み寄る。

怖くて、目を合わせることができない。

俯いたまま教室から出ようとすると、白魚のような指が学生服の袖口をつまんだ。

この指がペニスを握り、射精まで導いてくれたのだ。

下腹部がモヤッとした瞬間、杏奈は小さな声で言い放った。

「まさか、あなたが私の教え子になるなんて。クラス名簿にあなたの名前を見つけたときはドキリとしたけど、苗字までは覚えてなかったから」

「ぼ、僕も……びっくりしました」

顔を上げると、美人教師はやや血の気を失い、いかにも困惑といった表情をしている。

「あ、あの……澪ちゃんは、お元気ですか?」

「元気も何も、緑泉に登校しているわよ」

「え、え、え!? 彼女も、この学校の生徒だったんですか!?」

「しっ! 声が大きいわ」

「す、すみません」

廊下側には、まだ生徒がいるかもしれない。

卓郎が首を竦めると、杏奈は小声で言葉を連ねた。

「澪はA組、友梨香も緑泉の三年生よ」

淫らな体験をした美人三姉妹が、同じ学校に通っている。

その事実を知っても、今の卓郎にとっては、うれしさよりも驚きのほうが圧倒的に大きかった。

「とにかくホームルームが終わったら、体育講師室に来てちょうだい。講師室は体育館のとなりにある文化館の三階、一番角の部屋よ」

「わ、わかりました」

「それじゃ、体育館に行きましょう」

杏奈は教室を出ながら、「はあっ」と、深い溜め息をつく。

彼女にとっても、かなり衝撃的な出来事だったようだ。

(そりゃ、そうかもな。いくら酔っていたとはいえ、教師が教え子に手を出しちゃったんだから。バレたら、大変なことになる。体育講師室に来てくれって、やっぱり口止めするのかな?)

もちろん、別荘での甘美な体験を誰にもしゃべるつもりはなかった。

あの素晴らしい思い出は、自分の胸の中だけにしまっておきたい。

美人教師を窮地に陥れても、卓郎には何の得にもならなかった。

(それに……これからの三年間、澪ちゃんと学園生活を送ることになるんだし)

美少女の可憐な笑顔と、別荘での淫靡な体験が脳裏を駆け巡る。

女教師のあとに続きながら、卓郎は徐々に湧きあがる喜びをじっくりと噛みしめていた。

翌日の放課後、卓郎は嬉々とした表情で体育館に向かった。

昨日の講師室では、予想に反し、杏奈が保身に走るようなことはなかった。

ただひと言、「あのことは秘密よ」と、笑顔で告げられただけだ。

正直に言えば、微かな期待がなかったわけではない。

この一ヶ月、包茎を剥き下ろされたシーンを思いだしては、何度もオナニーを繰り返したのである。

ひょっとして、またおいしい体験が待っているのではないか。

もっといやらしい行為を仕掛けてくるのではないか。

だが杏奈の話は、自分が顧問を務める新体操部に終始していた。

彼女は元新体操の選手で、国体にも出場経験があるらしい。