幼馴染みと学園のアイドル 女子高生たちの恥じらいの放課後

「え? でも教科書とかノートとか、たくさんあるし」

「何言ってるの。どうせ夏休みに入ってから、学生鞄は一度も開けてないんでしょ? 教科書だってロッカーに入れっぱなしのくせに」

夏美には、すべてお見通しのようだ。まるで弟に対する姉のような口調で、ポンポンと言いたいことを言ってくる。

(夏美は全然勉強してるようには見えないんだけど、僕と違って、いつも成績がいいんだよな)

学業成績でもスポーツでも、彼女にはまるで適わない。

芳彦はバツの悪そうな顔をすると、布団の横にたたんであったズボンのポケットから鍵を取り出し、夏美へと渡した。

「それじゃ、先に行ってるわ。日用品なんかも買いにいかなきゃね」

夏美が廊下側の引き戸を開けて部屋から出ていくと、芳彦は布団からゆっくりと立ち上がり、浴衣を脱いでいった。

(あぁ、身体がだるいなぁ。そういえば、君江さんはどうしたんだろう?)

昨夜はひどく酔っており、脳乱の姿までたっぷりと見せつけていた。ひょっとすると、疲れてまだ寝ているのかもしれない。

服に着替え、襖を静かに開けると、芳彦はハッとした。

君江がリビングの椅子に腰掛け、こめかみを指で押さえている。辛そうな表情は、どこから見ても二日酔いの症状だ。

(やっぱり、相当酔っ払ってたんだな。ひょっとして、昨日のことをまるで覚えてないんじゃ?)

昨夜は、君江相手に童貞を捧げたのである。

まるでペニスがもぎ取れそうなほどのフェラチオ、騎乗位からの背骨が折れそうなピストン。口や膣の中の粘膜は、ペニスが蕩けそうな快美を与えた。

その光景を思い出すと、朝勃ちのペニスがまたもや疼いてしまう。

「あ、あの……大丈夫ですか?」

芳彦は両手で股間を隠すようにしながら、君江に問いかけた。

「あ、ああ。芳彦君。おはよう」

「おはようございます」

今朝の君江は人妻らしく、袖ありのシャツ、膝まであるスカートを穿いている。

昨夜の艶然とした笑みもすっかり影を潜め、儚げな微笑へと変わっていた。

「ごめんなさいね。ついさっき、夏美ちゃんに起こされたばかりで、朝ご飯の用意してないのよ」

「いいんですよ。そんなことより、昨日はお世話になっちゃって、ホントにありがとうございました」

そう挨拶すると、君江は再びこめかみを押さえ、深い溜め息をつく。

やはり昨夜のことを思い出し、後悔しているのかもしれない。高校生相手、しかも自分が勤める学校の教え子でもあるだけに、常識で考えれば、無理もないことだとは言えた。

「そ、それじゃ僕、夏美と一緒に行きますんで」

「ええ。気をつけてね」

芳彦が玄関口へ向かっても、君江は椅子に座ったまま微動だにしない。

(この様子だと、もう君江さんとの体験は無理かな?)

昨夜の激しいセックスを思い出すと、またグラマーな人妻とエッチしたいという衝動が込み上げてくる。

「ちょっと残念な気持ちもあるけど、でも……これで念願だった童貞喪失は叶ったわけだから」

玄関を出ながら独り言のように呟くと、すでに夏美は学生鞄と学生服を両手にアパートの前に佇んでいた。

「遅い。もう行くよ!」

「あ、うん」

夏美の呼びかけに、芳彦は足早に彼女の下へと駆け寄っていった。

夏美は母親の百合子と二人暮らしで、父親は夏美が幼い頃に亡くなっている。

百合子は一軒家の一階部分を改築し、小さな喫茶店を経営していた。

店は自宅とひと続きになっていたが、店内はアットホームな雰囲気で、この日も近所のお馴染みさんらしき顔が、大きな窓ガラス越しに見える。

白いモルタル調のしょうしゃな建物が近づいてくると、芳彦は感慨深げな顔つきをした。

となりの家に住んでいた頃は、この店で何度モーニングを食べたことだろう。その側には、いつも百合子の優しげな顔があった。

母親を小学生のときに亡くした芳彦にとって、百合子は本当のお母さんのようだった。

(そういえば、百合子さんに会うのも久しぶりのことだな)

胸をウキウキと弾ませながら喫茶店の入り口に向かったところで、夏美が呼びとめてくる。

「何やってんの? こっちだよ」

「え? でも、百合子さんに挨拶を」

「そんなのあとでいいよ。まず必要な物を買い出しにいかなきゃ」

自宅の玄関は、喫茶店の入り口とは別にある。夏美は芳彦の意見も聞かず、裏口の門を開けた。

「とりあえず、玄関に荷物だけ置いといて、スーパーに行きましょ」

夏美はまるで姉さん女房気取りで、テキパキと指示してくる。はしゃいでいるように見えるのは、単なる気のせいだろうか。

もちろん、夏美の言うことには逆らえない。文句など言おうものなら、その何倍もの金切り声が返ってくる。

芳彦は言われるがまま玄関口にデイバッグと学生鞄を置くと、夏美と一緒に商店街へと向かった。

藤美駅の前には、商店が連なるアーケード街がある。

そこは海へと通じる道順にもなっているため、若い男女や家族連れでいつも賑わっていた。

芳彦と夏美は二階建ての小ぎれいなスーパーに入ると、衣料雑貨のある二階へと向かった。

「歯ブラシはあるの?」

「うん、携帯用のやつを持ってきたよ」

「タオルは? パンツは?」

「タオルは一枚。パンツは二枚だけ」

「タオルはうちのを使えばいいけど、パンツはそれだけじゃ足りないでしょ? あんた、一週間に二回だけしか取り替えないの? きったなぁい」