幼馴染みと学園のアイドル 女子高生たちの恥じらいの放課後

「うん」

部屋の中央にはやや大きめの、どっしりとした赤褐色の和テーブルが置かれている。芳彦はその上にサンドイッチを置くと、畳の上に学生鞄とデイバッグを置いた。

「それじゃ、私は自分の部屋に戻るから。服なんかは、そこのタンスの中に入れればいいわ。中は空にしてあるはずだから」

「わかった。あ、サンドイッチは?」

そう問いかけると、夏美はサンドイッチを半分鷲掴みし、そのまま客間から出ていく。その後ろ姿を、芳彦はポカーンとした顔つきで見送った。

(あのガサツな性格って、やっぱり死んだお父さん譲りなのかな。ほんのちょっとでも、百合子さんの優しさがあればいいのに)

芳彦はそう思いながらも苦笑しつつ、荷物の整理を始めた。

デイバッグから学生服のワイシャツとズボンを取り出し、ハンガーに吊るしてから壁に掛ける。普段着や下着、タオル類などの日用品はタンスの中へとしまい込んだ。

「勉強道具は、そのままでいいよな。足りない物は、またアパートから持ってくればいいんだし。んっ?」

すっかり空になったと思われたバッグの底に、一枚のCDが残っている。

「あ、そうだ。夏美に借りてたやつ、今のうちにちゃんと返しておかないと、また忘れちゃうぞ」

芳彦はCDを手に取り、すぐさま二階の夏美の部屋へと向かった。

先ほどの夏美の言葉どおり、扉は開けっ放し。中から女性ボーカルが歌うヒット曲が大音量で流れてくる。

(ホントに音楽が好きなんだな)

クスッと笑いながら部屋の中を覗き込んだ芳彦だったが、夏美の姿を見た瞬間、思わず言葉を失った。

夏美はキャミソールとデニムのスカートとは打って変わり、レオタードに身を包んでいたのである。

芳彦はあんぐりと口を開けたまま、姿見の前に佇む夏美の姿を見つめていた。

目に映えるような真っ白なレオタードが、身体の稜線に沿ってぴったりと貼りついている。

夏美が新体操部に所属していることは知っていたが、傍らに紙袋が置かれているところを見ると、どうやら購入したばかりの新しいレオタードの着こなし具合を確認しているようだ。

(すごいや。夏美のやつ、いつの間にこんなに成長してたんだろう)

芳彦は瞬きもせずに、幼馴染みのレオタード姿を凝視した。

服の上からでも、ふくよかな身体つきをしていたことは承知していたが、まさかここまでとは思っていなかった。

ぷっくりと後方に突き出たお尻はツンと上を向き、布地がぴっちりと貼りついているため、ヒップの形や臀裂まではっきりと見て取れる。

もちろん君江と比べると、それはひと回りもふた回りも小さかったが、ウエストが蜂のように括れているため、豊満さという点では、決してグラマーな人妻にも劣らない。

(足もすらりとしていて長いや。これが脚線美というやつなの? でも太股のあたりにはムチッとした適度な肉がついているし、すべすべしてて柔らかそうだ)

芳彦は鼻息を荒らげながら、今度は鏡に映る、こんもりと膨れたバストに視線を向けた。

レオタードには、刺繍やスパンコールなどの装飾はいっさいされていない。それが練習用のレオタードだということはすぐにわかったのだが、それだけにバストの膨らみは際立って見えていた。

布地に圧搾された乳房が、まろやかなたゆみを見せている。

くっきりとした胸の谷間も眩しかったが、そこから今にもこぼれ落ちてきそうな盛り上がりと弾力に、芳彦は息を呑んだ。

夏美は、いまだ芳彦の存在に気づいていないようだ。

音楽のリズムに合わせるかのように、身体を微かに揺すり、そのたびにふっくらとした乳房が上下左右に揺れている。

(あぁ、すごいおっぱい。大きさは君江さんに引けをとってないし、夏美のほうが若いだけあって、張りがあるみたいだ)

性本能の赴くまま、視線を鏡の中の下方へ落とそうとしたその瞬間、夏美の黄色い声が響き渡った。

「きゃあっ!」

「あ、ごめん」

夏美が自身の身体を抱きかかえるように振り返り、目元をポッと赤く染める。

芳彦は慌てて顔を上げるも、もちろんその姿を注視することなどできず、ドギマギしながら目を伏せた。

「やだ、何よ。そんな所に黙って突っ立って」

「そ、その、借りてたCDを返そうと思って来たら、ドアが開いてたんで」

「ああ、それね。貸してたこと、すっかり忘れてたわ」

そう言いながら、夏美は大股で近づいてくる。

「あ、あの」

すらりとした足が視界に入ってくると、芳彦は泡を食いながら舌をもつれさせた。夏美はCDをひったくり、ベッドの上へポーンと放り投げる。

「それならそうと、声ぐらいかけなさいよ。いつからそこにいたの?」

「あ……二、三分ぐらい前」

「何ですって! ずっと見てたの?」

言ってからしまったと思ったが、まさか夏美の身体に欲情していたとは、口が裂けても言えない。

夏美が褒め言葉に弱いことを思い出した芳彦は、慌ててお世辞を言い繕った。

「あ、そ、それは、つい見とれちゃって」

「え?」

「み、見とれたというか、その……初めて夏美のレオタード姿を見たから。カッコいいなって」

「ふうん。似合ってる?」

夏美は表情を和ませ、口元をやや綻ばせる。芳彦はここぞとばかり、同意のセリフを放った。

「う、うん。もちろん似合うよ」

「どのあたりが?」