「きゃっ! 凄いわぁ」
一発目の射精は芳彦の顔のあたりまで跳ね上がり、二発目、三発目も激しい勢いで打ち上げられていく。
上半身を軽く捩りながら、芳彦は全身に拡散していく甘美感に陶酔していた。
「いやだ。まだ出る」
うれしそうに呟きながらペニスをしごきまくる君江の姿も、まったく視界に入らない。
ようやく吐精が終焉を迎えると、君江は根元から雁首に向かって、牛の乳搾りのように指をゆっくりと滑らせた。
尿道内の残滓がピュッと跳ね上がり、君江が含み笑いを洩らす。
「ふふ、すごい。こんなにたくさん出したのに、おチンチンまだ勃ったままだわ」
人妻が放った淫らな言葉さえ耳に届かず、芳彦はいまだ全身を硬直させたまま、虚ろな瞳を虚空に留めるばかりだった。
4
その夜、芳彦は布団の中に入りながら悶々としていた。
身体は疲れているはずなのに、まったく寝つけない。それは先ほど、となりのリビングで君江から受けた甘美な奉仕が多大に影響していた。
射精したあと、君江はクスッと笑いながら放心状態の芳彦のペニスを濡れタオルで拭い、「私はシャワーを浴びるから、先に寝てなさい」と、そのままリビングを後にしたのである。
これでは、期待するなというほうが無理な話だ。
(それにしても、君江さんの手コキ、すごかったなぁ)
あの指での奉仕を思い出すと、またもや激しい性欲が込み上げてくる。
浴衣の下で、ペニスはギンギンに勃起しっぱなし。少しも萎えることはなかった。
「あぁ。また出したくなっちゃった。どうしよう」
トイレで抜こうかと、一瞬考えたものの、君江が最後に残したセリフが頭にこびりついて離れない。
(確かに先に寝てなさい、って言ってたよな。でも君江さんはお風呂から出たあと、自分の部屋に戻ったみたいだけど)
君江の寝室はリビングの反対側の一番奥にあり、当然のことながら、耳を澄ましても何も聞こえてはこない。
芳彦が寝床に入ってから、すでに三十分が経過していた。
(ひょっとすると、酔いが醒めて、今頃後悔しているんじゃ? 僕は未成年だし、君江さんは人妻。まして教え子となれば、それも十分あり得るよな)
やはりトイレで精を放とうか。
そう考えた瞬間、リビングの照明がつけられ、芳彦は身体をビクッと反応させた。
襖のわずかな隙間から、部屋の明かりが漏れてくる。芳彦が息を呑んで注視していると、襖は音もたてずにゆっくりと開かれていった。
「芳彦君、寝ちゃった?」
「い、いえ、まだ起きてます」
心臓をドキドキさせながら上半身を起こしたものの、逆光になった君江の姿はよく見えない。
「ふふ。そっちに行っていいかしら?」
「あ、あの……は、はい」
期待感に胸を膨らませながらも、芳彦は躊躇いがちに返答した。
君江が室内に足を踏み入れ、リビングの照明が自然と瞳孔に飛び込んでくる。
思わず目をしばたたかせた次の瞬間、芳彦は傍らに佇む君江の姿にびっくり眼を剥いた。
瞳に映えるような、真っ赤なスケスケのガウン。それは丈が短く、まるでミニスカートのようで、襟元や裾にはレース模様のフリルがついている。
(いったい、何だ、この服? あっ!)
芳彦は眼前に佇む人妻の恰好を注視したあと、心の中で驚愕の悲鳴をあげた。君江はなんと、いっさいの下着を身に着けていなかったのである。
透明性の高い布地の下にはたわわに実った双乳、股間には明らかに恥毛らしき陰翳がはっきりと見える。
(う、嘘だろ)
君江はぽかーんと口を開ける芳彦に微笑を送ると、そのまま畳の上に両膝を着いた。
「これはね、ベビードールって言うのよ。純情な芳彦君には、ちょっと刺激が強すぎたかな?」
「べ、ベビードール」
名称だけは聞いたことがある。大人の女性が身につける、セクシーランジェリーのはずだ。
芳彦が喉をゴクリと鳴らすと、君江は四つん這いになり、女豹のような恰好で顔を近づけた。
風呂上がりのボディシャンプーの甘い香りが、鼻腔にすっと忍び込んでくる。芳彦は心を浮つかせ、早くもペニスをいななかせていた。
「ふふ。あれだけじゃ、出し足りなかったんじゃない?」
「あ……あの」
またもや淫らな言葉を投げかけられ、全身が火の玉のように熱くなってくる。
「見せてごらんなさい」
君江は掛け布団を捲り上げると、電光石火の早業で、浴衣の裾の合わせ目から右手を滑り込ませた。
「あっ」
「ほら。こんなになってる」
トランクス越しにしなる肉茎が、人妻の柔らかい手のひらで再び擦り上げられる。
芳彦は後ろ手を着き、小鳩のように胸を震わせながら天井を仰いだ。
君江は唇を近づけ、芳しい息を芳彦の首筋にまとわりつかせてくる。目の周りはまだほんのりと赤く染まっており、アルコールは抜けきっていないようだ。
潤んだ瞳と捲れ上がった肉感的な唇が、芳彦の性欲を怒濤のように煽った。
「どうしてほしい? さっきは手でしたから、今度はお口がいい?」
「あぁぁ」
フェラチオという甘美な言葉に、狂おしいほどの劣情が込み上げてくる。
「してほしくないの?」
芳彦が頭をプルプルと小さく振ると、君江は悪戯っぽい笑みを浮かべながら言い放った。
「ちゃんと言葉にして言わないと、わからないわよ」
「ああ、して! お口でしてください!」
君江は満足そうに頷き、先ほどと同様、手をトランクスの縁にかけてくる。