芳彦は鼻から大きな息を吐き出すと、自ら浴衣の帯を解き、腰を浮かせた。パンツが捲り下ろされ、剛直がわななくようにビクンと震える。
君江が舌なめずりをする最中、芳彦は待ちきれないかのように浴衣を脱ぎ捨てていった。
全裸になった童貞少年の薄い胸板に、ひんやりとした人妻の手のひらが添えられる。
君江が覆い被さるように身体を寄せてくると、仰向けになった芳彦は、眼下に聳え立つペニスを見下ろした。
「あぁ、すごい。さっきあんなにいっぱい出したのに、鉄のようにコチコチだわ」
両の柔指が怒張に絡みつき、宝物を慈しむように頬擦りをしてくる。ただそれだけで、芳彦は内股の筋肉を引き攣らせていた。
「ホント言うとね、久しぶりなの。それに若い子のおチンチンなんて、何年ぶりかしら。ああ、この匂い、懐かしいわ」
その言葉から察するに、どうやら君江は、夫との性生活がここのところないらしい。
やはり、相当な欲求が溜まっていたのだろうか。
頭の片隅でそう思ったものの、君江が赤い舌を突き出してくると、その思考は一瞬にしてバラ色の快美に塗り潰されていった。
芳彦の下半身に、いまだかつて経験したことのない感覚が走る。それは敏感になっている部分がやたらむず痒く、腰がフワフワと浮き上がってくるような、何とも言えない不思議な感覚だった。
君江は熱化した舌で先端部分をチロチロとなぞると、亀頭、雁首と、舌先をゆっくり這わせてくる。
くすぐったいような、ヌラッとした柔らかい舌の感触に、芳彦は身体をひくつかせた。
(あ、君江さんが……僕のおチンチンを)
君江はまたもや芳彦の顔を上目遣いで見つめながら、今度は膨張した胴体に舌を絡ませる。
「あぁ、あぁ」
熱にうなされたように、芳彦は間断のない溜め息を放っていた。
早くしゃぶってほしい、口の中に入れてほしい。そんな衝動に衝き動かされてしまう。
童貞少年の喘ぐ様子を見つめながら、君江は口元に淫靡な笑みを湛えていた。
(はぁぁぁ。フェラチオって、どんな感じなんだろう? 手コキよりも気持ちいいのかな。君江さん、焦らさないで早く……!)
そう考えた直後、セクシーな人妻は口から大量の唾液を垂らし、一気に喉深く節ばった逸物を呑み込んでいく。
「ん……ふっ」
君江が鼻から甘い吐息を発しながら唇を滑らせた瞬間、凄まじい電撃が芳彦の全身を貫いた。
「あぁぁぁぁぁ!」
君江は口の中でも、唾液を丹念に肉茎にまぶしていく。持て余したひと雫が口唇の端から滴り落ち、生温かい口腔粘膜がペニス全体をしっとりと包み込む。
その感覚は、手での感触よりも何倍も強烈なものだった。
迫りくる淫楽に不安を覚えながらも、両肩がビクンと震える。乳首が硬くしこり、女の子のようにツンと突き出てしまう。
芳彦は快感に翻弄されながらも、なんとか気を逸らそうと試みた。
先ほどは、わずか三分ほどで射精してしまったが、童貞喪失という最終的な目標がある以上、ここで射精するわけにはいかなかった。
君江が一度手で放出させたのは、情交をたっぷり楽しみたいという目論見があったに違いない。
(そうだ。このあとのことを考えたら、こんなとこで射精するわけにはいかないんだ)
だがそんな芳彦の決意も、君江の次の行為によってもろくも崩れ去った。
君江は口を窄めると、上下の厚い唇でペニスを一気にしごき出したのである。しかも抽送を繰り返しながら、口内で肉幹に舌を巻きつかせてくる念の入れようだ。
「あ、あぁぁぁぁぁぁ」
ペニスが蕩けるかのような快美に、芳彦は全身に瘧になったかのような痙攣を起こさせた。
顔がスライドするたびに人妻の唇は捲れ上がり、唾液で濡れそぼりながら妖しい光を発していく。そのエロチックな光景が、芳彦の目を強烈に射貫いた。
(しゃぶられている。君江さんに、おチンチンをしゃぶられているんだ!)
君江の口元から、クチュ、ジュプッと淫猥な音が鳴り響く。
(あぁ、すごい、すごい!)
芳彦の心からはすでに自制などというタガは飛び去り、ただ初めて体感する蜜悦に身を委ねるのみだった。
「あ、君江さん。僕……僕」
突然、芳彦の下半身に重苦しい感覚が広がる。それはやるせない感情を喚起させ、さらに大きく膨らんでいく。
芳彦の言葉を合図とするかのように、君江はさらに顔を打ち振ってきた。
「んっ! んっ!」
鼻から息継ぎをしながら頬を窄め、強い吸引とともに怒濤のような口唇奉仕が展開される。
「あぁ、そんな」
芳彦は頭を枕から浮かせながら、眉間に無数の縦皺を刻んだ。
肉胴に大量の唾液が滴り落ち、ペニスをてらてらと照り輝かせる。根元に添えた右手で塞き止められた唾液は、すでに白濁した泡状と化していた。
(こんな激しいフェラチオをされたら、とても堪えられないよぉ。君江さん、二度も出させて、いったいどうするつもりなんだ?)
君江のこぼれ落ちそうな巨乳が、上下左右に激しく揺れる。眉を顰め、ふっくらした唇で肉胴を磨くようにしごき上げる。
「あ……あ。もうだめだ。出ちゃう、出ちゃう」
「うンっ! うンっ!」
芳彦の限界を訴えるセリフに、君江は応えるかのように頭を振った。
その瞬間、芳彦の全身を白い稲妻が駆け抜け、上半身が一気に反り返る。
「あっ、くっ!」