少女の涙交じりの哀訴に、下呂井は酷薄そうな嗤いを閃かせた。
それは思春期を迎えてからずっと、長い間隠し持っていた歪んだ欲望の表出だった。ひょっとしたらこのままずっと、抑圧したまま消えてしまう運命であったかもしれない、隠れた歪んだ欲望が、少女の屈折した願望に触発されて現れたのかも知れなかった。
可愛らしい少女の嘆願に、下呂井はかぶりを振り、背後から耳たぶに噛みついた。
かぷッ。
「ああ……ッ!」
びくんびくんッ。
あまりにも早すぎる、そして思いもかけなかった処女喪失の激痛と失意にのたうつ小雪は新たな痛みに全身を縮こまらせる。
そんな可憐な女学生の骨細の華奢な肢体を背後から抱きしめ、その淡い胸のふくらみを手いっぱいを使って揉みしだきながら、下呂井は口に咥えた耳たぶ、その溝をほじくり返す。
「ダメだよ。小雪チャン。いくら読みたいからって、イヤらしい変態本を万引きしちゃうような」
下呂井はそこまで言いさして、言葉を変えた。
「そんなイヤらしいお姫様は、キチンと治療してあげなけりゃあ、いけないからね」
──!!!──
がくんがくんッ。
やはり『お姫様』という効果は抜群だった。その言葉は少女にとって、 と憧れが一体になったような意味を持ち、重要なキーワードになっているようだった。
果たして少女は、その花の蕾のような小さく可憐な唇を開いた。
「あああ……ッ、ああああ…………ッ」
小雪は眉宇を顰め、懊悩するように泣きながら、滂沱の涙を流しながら、全身でうなずいてみせた。
「は……ッ、はヒい……ッッ。はぐぅぅ……ッ。わ……ッ、私は、センセエの患者です……ッ。どうか……ッ、もう……ッ、もう、二度と万引きなんかしないように治療してくださヒ……ッ」
ずんずんッ、ずこずこッ。じゅこじゅこッ。
涙を流し、しゃくりあげながら諦念の泣訴をする少女を下呂井は背後から突き上げながら、おのれの快感を貪る。
「くああ……ッ! 痛い……ッ! 本当に……ッ、本当に、痛いンですッ! センセエ……ッ。もう……ッ、もう……ッ、ガマンできない……ッ! ほんとうに、カラダが……ッ、バラバラになりそう……ッ。頭が……、どうにか……ッ、おかしくなっちゃいそうです……。もう……ッ、これ以上は……ッ、勘弁して……ッ、許して……ッ、勘弁してくださヒ……ッ。あああ……ッ!」
そこまで言った小雪は今味わっている激痛から逃れようと、言ってはならない台詞を口にしてしまう。
「あ……ッ、あああ……ッ、明日から……ッ、明日から……ッ、センセイの所に行って治療を受けますから、今日は……ッ、今日のトコロは……ッ、勘弁してぇぇ……ッ。ゆ……ッ、許してください……ッ。明日からなら、わたし……ッ、また……ッ、我慢しますから……ッ」
ひぃっぐッ、あぐぅッ。
「本当かい?」
少女の思いもかけなかった申し出に、下呂井は会心の、そして悪魔めいた笑いを浮かべた。
ずんずんッ、じゅこばこッ。ずんずんッ、じゅこばこッ。
「はい……ッ。はぎぃヒ……ッ。ほ……ッ、本当です……ッ。明日から……ッ、明日からなら……ッ、わたしは、センセイの所に行って治療を受けますから、今日は……ッ、今日のトコロは……ッ、もう……ッ、もう……ッ、勘弁してぇぇ……ッ。ゆ……ッ、許してくださヒ……ッ。明日からなら、わたし……ッ、どんな治療でも受けます……ッ。我慢します……ッ」
ぐすぐすッ。
「よぉし、いいだろう。その言葉を忘れるんじゃないぞ」
「はい……ッ。はぎぃヒ……ッ」
がくがくッ。がくがくッ。
「ふふふッ、いい娘だ」
そう言ってうなずくと、下呂井は背中から小雪の左右の膝裏を左右の手で掴んで持ち上げる。
がくッ。ぐしゅしゅんッ。
小さな小雪の体が下呂井の体に沈み込み、オトコの欲望をさらに深く迎え入れてしまう。
ぎちぎちぎちぎちッ。
小雪は自分の体の一番奥がひしゃげるのを感じた。
「あごおぅ……ッ!」
半裸の身に紺色ブレザーと純白のブラウスをまといつかせたままの女子学生は吼えるように呻き、大粒の涙を新たに吹きこぼした。
「い……ッ、いダい……ッ」
ぶるぶるッ、わなわなッ。
今にも気絶しそうな痛みに、小雪はあどけない面差しを涙と汗ばかりではなく、鼻水とよだれにまみれさせてしまう。
半ば失神状態の女子学生の耳たぶや、頰、目尻などを美味しそうに舐めしゃぶりながら、下呂井は腰を使って、小雪を揺さぶりあげる。
ずんずんッ、ずこばこッ。ずんずんッ、ずこばこッ。ずんずんッ、じゅこばここッ。
「じゃあ、明日からボクの所にくるんだよ。たっぷりと治療して、もう二度と万引きなんかしないように治してあげるからね」
「は……ッ、はヒぃ……ッ、明日から……ッ、センセイのトコロへ行って、二度と万引きしないように治療されます……ッ。治療してもらいます……ッ。ですから……ッ、ですから……ッ、もう……ッ、許して……ッ、勘弁してください……ッ。明日からなら、わたし……ッ、また……ッ、我慢しますから……ッ」
「よしよし、良い娘だ。良い娘だ」
あやすように、あるいはバカにするかのようにそう囁くと、鬱屈し歪みきった欲望を隠し持っていた中年の男性教師はおのが欲望を解放していく。