万引き女子学生調教医療

「よぉし、契約成立だ。まずは、下呂井さんに目隠しと耳栓をしてぐるぐる巻きにしろ。起きても暴れないように、暴れても縄が解けないようにしっかりと縛り上げて、部屋の隅にでも寝転がらせておけ」

ネズミの被り物をした男と、キツネの頭部の着ぐるみを付けた男がそれに応じて、失神している下呂井に言われた通りの処置を施していく。全身をくまなく縛り上げられた下呂井はパンダやブタの仮面をつけた男たちの手で、部屋の隅に片付けられていく。

「さぁて、小雪姫プリンセス・リトルスノー貴女あなたはどのようにしてあげましょうかねえ?」

ねっとりと絡みついてくるような物言いに、小雪は肌を粟立てる。

どんなに好きな男性のためとはいえ、好きでもないオトコに抱かれる、いや犯され、穢されるのはイヤだった。

そこに、片方の複眼がとれんばかりに大きく傷つけられた蚊の頭部の着ぐるみをつけた、細身の男が伊東へと耳打ちする。

「ふむふむ、もっともな意見だな」

そううなずくと、伊東は仲間を見渡した。

「今、モスキートから申し入れがあった、まず一巡目は、被害の大きい者から姫に相手してもらおう、という提案だ」

──!!!──

伊東の言葉に頭部は人間以外の動物、首から下はキチンとした正装をした『コスプレ写真愛好倶楽部:ファイン』の面々は互いの顔と服装、被害状況を確認しあう。

「反対の者は?」

そう尋ねて、反対者が現れないのを確認してから、伊東は逆の質問をする。

「それでは賛成する人間は?」

三々五々、異形の生命体のコスプレをしたオトコたちの、三分の二近くが手を挙げる。

「それでは、そうしよう。一番被害が大きいのは? あれ? モスキートじゃないんだ。ヘラクレイトスか? じゃあ、キミからだ」

そう名指しされ、小雪の前に現れたのは、二股に分かれたツノを完全に破壊されたカブトムシの頭部の着ぐるみをつけた、あちこちが引き裂かれた純白ダブルのスーツを着た、しっかりした体躯のオトコだった。

ぐふふふッ。

カブトムシ男が体のあちこちを撫でながら嗤う。

「せっかくのいっちょうが台なしだよ。この償いはお姫様の、そのカラダでしてもらうからね」

そう言うと、怪人カブトムシ男は、小雪の純白ドレスの胸前、かろうじて乳首を隠している部分を掴んで、乱暴に引き下げる。

びりぃぃッ!

「いやぁぁぁッッ!!!」

薄いシルクの布地はあっけなく裂け、小雪の胸のふくらみがあらわになる。小雪は恥ずかしさのあまり、その場にへたり込んでしまう。

怪人カブトムシ男が小雪の左右を脇から抱きかかえていた仲間に文句を言う。

「おいおい、ちゃんと捕まえていろよ」

そして、

「まあ、イイか、ちょうどいい高さになったことだしな」

と言うと、ダブルの背広の下の方のボタンをはずし、スラックスのファスナーをさげると、おのがイチモツを取り出してくる。

ぶるんッ。

発条バネでもついているかのように飛び出してきたソレは、膝立ちになった小雪の鼻先に突きつけられた。

「しゃぶるんだよ、お姫様♡」

「あああ……ッ、いやぁぁぁぁ……ッ!!」

ふるふるッ、ふるふるふりッ。

ぽたぽたッ。ぱたぱたッ。

乙女の涙のしずくが舞い散り、床に跳ねる。

涙とともにかぶりを振りたくって顔をそむける、小雪に優しく諭すように伊東が脅す。

「駄々をこねちゃあ、いけないよ。小雪姫プリンセス・リトルスノー。キミがさからったりすると、彼が痛い目にあうんだよ」

──!!!──

好きな男性を人質にとられていることを思い出し、息を呑む小雪に伊東が、さも優しげに言う。

「下呂井サンの体の一部、指か、耳か、鼻の頭でも、切り取って目の前にもってこなくちゃあ、ならないかな♡ おい、マンティス、頼めるかい?」

「お安い御用だ」

カマキリのコスプレをした男が、手術用のメスを取り出してくる。

その細長い医療器具の鋭利な輝きを見ながら伊東がうなずく。

「彼は本物の外科医でね。年に百回前後手術している。人体の一部を切り取るなんて、お手のもんだよ」

──!!!──

小雪は凍りついた。とても冗談や、はったりであるようには見えなかった。下呂井が保健医師であり、伊東が病院に勤めているコトなどを考えると、カマキリ男が本物の外科医であることは十分に考えられた。

小雪は震えながら、うなずいた。

「わ……ッ、わかりました……ッ」

ぽたぽたッ。

涙だけでなく、冷たい汗が滴り落ちていく。

げへへへへへッ。

カブトムシ男が下卑た笑いをあげながら、おのれのイチモツを、小雪の整った面差しに突きつける。

「口を開けな、お姫様」

わなわなッ、ふるふるッ。

全身を小刻みに震わせ、オトコの獰猛さにわななきながら、おそるおそる唇を開くや否や、カブトムシ男はおのれのイチモツをネジこんでクル──。

ぐぐぐぅぅ~~~ッ。

「あむむむむッ」

女性相手に対する思いやりなど、欠片カケラもない、ただおのれの欲望を遂げたいだけのネジこみに口をふさがれ、喉奥を突かれて、小雪は反射的に口を閉じかけてしまう。

おのがイチモツを噛み切られてしまうかもしれないと感じたカブトムシ男ヘラクレイトスが釘を刺す。

「歯ぁなんて立てるんじゃねえぞ。お姫様。そんなことしたら、麻酔なしであいつの歯をぜぇんぶ引っこ抜いてやる」