「じゃあ、今からコレをキミの膣奥に取り付けるからね」
そう言って、避妊器具をつまんだピンセットを片手に小雪の女性器に入れられた膣鏡を覗き込もうとする下呂井に小雪が息せき切って叫ぶ。
「セッ、センセエッ!」
「うん、なんだい? 小雪クン」
「……そ、それには……ッ、それには、名前が書いてありますか?」
「──!?」
思いもかけぬ、てっきり「そんなモノを取り付けられるのはイヤです」と拒否されるモノだとばかり思い込んでいた下呂井は完全に不意を突かれた。
「い……ッ、いや……ッ、そんなモノは書いていないが……ッ」
ピンセットで持ったモノを見つめながらうろたえ、怪訝な顔で答える下呂井に小雪が叫ぶようにして言う。
「それじゃあ、書いてください」
「──!!??」
さらにうろたえながらも、下呂井は返事する。
「いや……ッ、そんなね……ッ、わざわざ……ッ、わざわざ、キミの名前など書かなくても……」
そこまで下呂井が言いさした時、小雪がかぶりを振った。
「いいえ、私の名前じゃありません。センセエの名前です」
──!!!!──
下呂井は言葉の形をした、少女が放った稲妻に撃ち抜かれ、立ちすくんだ。
…………結局、下呂井はその銅付加IUDの軸の部分に、自分の名前を針で刻み込んだ。そしてソレを少女に確認させた後、少女の肉体に挿入し、設置した。
ふぅぅぅッ。
簡単な術式を終えて額の汗を拭く下呂井は小雪に話しかけられた。
「センセエッ」
「う……ッ、うん……ッ?、なんだい?」
精々平静を装いながらも思わず身構えてしまう中年の保健医師に、身動きひとつできない、年端もいかない少女が尋ねてくる。
「手術、終わりましたか?」
「う……ッ、うん……ッ、終わったよ、終わったとも」
手術そのものは至極簡単で、五分とかからない。
「じゃあ、じゃあ、じゃあ」
そこまで一息で言ってから、一呼吸置いて涙ながらに訴える。
「抱いてください……ッ」
「し……ッ、白瀬クン……ッ」
少女の真情に撃たれて、下呂井は完全にうろたえてしまう。
しかし、少女の気持ちがわからないではなかった。自分ばっかり恥ずかしい格好や痴態を晒しまくっているにもかかわらず、相手はと言えば、写真を撮ったり、診察して小雪を覗くばっかりで、SEXしようとはしない。しかも小雪は新たな倒錯した性の悦び、露出の快感を教え込まれたのにもかかわらず、視姦されるばかりでトドメを刺されていない。いわば『蛇の生殺し』状態で、避妊治療を施されただけで帰されては、性的な欲求不満がたまるだけたまってしまい、精神に重大な失調をきたすことさえ考えられた。
下呂井はうなずいた。
そしてにこやかに返事し、小雪の股間をまさぐる。
「わかった」
ちゅっぐッ。
しかし、ソコは膣鏡を挿入している器官ではなかった。
「あああ……ッ、センセエ……ッ、そこは……ッ、ソコワ……ッ」
『違います』と言おうとする可憐な女子学生に、下呂井は優しく微笑む。
つぷりッ。
「ひぃ……ッ!」
とうとう、下呂井の指が、小雪のひっそりと縮こまっていた排泄器官に侵入してきて、小雪は産婦人科の診察台で顎を跳ね上げる。
「ここでね」
──!!──
「あああ……ッ」
下呂井の言葉に、小雪はふるふると、ふるふると涙とともに首を打ち振ってみせる。病院の廊下ではあれほど激しい乱れっぷり、卑猥な痴態をさらしまくったというのに、またこうして産婦人科の検診台に縛りつけられ、膣鏡を使って膣奥、子宮底までさらけ出されているというのに、そうみずからSEXを望んだというのに、今までとは違う行為に怯える姿がたまらない。
(……まったく、可愛いったらありゃしない)
(ホントウに可愛くて可愛くて仕方がないよ)
(責め、イジメまくって、嬲り殺しにしちゃいたいくらいだ♡)
下呂井自身、想像していなかったほどの狂暴で凶悪な欲望が湧いてきてしまう。
ぐぢゅぐぢゅッ。
「うッ、ううぅンン……ッ」
下呂井の指の動きに応じて、小雪が眉を顰めて呻く。小雪の排泄器官は、そのすぐ上にある膣腔からの夥しいほどの愛液と、膣鏡に塗りたくられていた大量の潤滑油に濡れ、ぬかるんでいた。さらに、膣腔と肛門の筋肉は8の字状に繋がっており、膣腔が膣鏡で押し広げられているために、肛門の括約筋は普段より緩みやすくなっていた。その二つが相まって小雪の肛門は下呂井の指弄を容易く受け入れてしまう。
ぐぢゃぐぢゃッ。
「うッ、うううぅぅんん……ッ」
(これなら、あまり無理をしないで、アナルセックスできそうだな)
指を二本に増やして、小雪の括約筋を揉みほぐしながら、下呂井がささやく。
「大丈夫だよ、たっぷりと、じっくりと揉みほぐして、痛くないようにシてあげますからね。小雪姫♡」
「あああ……ッ」
下呂井の言葉に優しさよりも、イヤらしさ、それに下呂井の固い決意を悟って、小雪は呻いた。
(あああ……ッ、わたし……ッ、わたし……ッ、お尻のアナまで、センセエに奪われちゃうんだわ……ッ)
(みじめ……ッ、みじめだわ……ッ)
自分をみじめだ、可哀相だと思うと、歪んだお姫様症候群から被虐の官能が誘発され、倒錯した乙女心を心地よく酔わせ始める。