「ふふっ、お願いされました」
──こうなったら、後は直感頼みだ。
今いる公園は、木が多く植えられた、人工の林のような場所である。昼はお年寄りや親子連れが多い反面、夜は人があまり通らない。
周囲を見回した正太郎は、すぐに人目を避けやすそうなポイントを発見した。木々が立ち並ぶ上、看板も壁代わりに使えそうで──。
「あそこが良いんじゃありませんか……っ」
少しでもリードするつもりで言うと、すかさず手を握られた。
「そうね。行きましょう、正太郎君」
これから淫らな行為へ耽ろうというのに、眞由美の口ぶりは、後輩を遊びへ誘う学生のように軽やかだった。
「正太郎君はここへ横になって?」
「その……何をするんですか?」
「ふふっ、それは寝てから教えてあげる……」
例によってはぐらかされてしまうが、正太郎は素直に乾いた地面で仰向けとなった。
すると眞由美がスカートの裾を摘み、平然と彼の首を跨いでくる。さらに布地を腿の高さまで持ち上げて、膝立ちとなって。
「眞由美さんっ!?」
青年の視界を占めるのが、木々と夜空から、女探偵のスカートの中身へ変わった。
ショーツの方は闇に紛れているものの、むき出しの美脚はほの白く浮かぶ。
──と思いきや、下着がよく見えなかったのは、色が黒いからだ。目が慣れれば、布面積が極度に狭い上、大部分がレース地で、肌を透けさせていることまで分かった。
股間部を守るというより、申し訳程度に隠すことで、男の発情を促す卑猥な代物。
食事する時も、カクテルを上品に飲む時も、眞由美はこんな紐みたいな下着しか、スカートの内に穿いていなかった。スカートだって、決して丈が長いわけではない。
それらの事実がやたらと淫らに思え、正太郎も勃起し始める。
体勢のおかげで、切っ先はすんなり臍の方へ向かったものの、それでも衣服の締め付けは痛かった。
「ぃ……おっ!」
呻いたところへ、眞由美が豊満な上体を倒してくる。彼女は片肘で自身を支えつつ、青年のズボンのホックとファスナーを外した。
足の付け根も大きく曲がって、ショーツの位置はさらにダウンだ。
スカートの中にあったためか、肌はちょっと蒸れていた。股間部からはフェロモンめいた湿っぽい匂いまで発散している。
単純に香しいとは言い難く、なのに異性を魅了して──。性の悦びを知る女性には、ふさわしい匂いかもしれない。
「この格好なら、お互いを気持ち良くできるでしょう?」
そう言いながら、美人探偵はボクサーパンツの前をズラし、肥大化しきった男根を丸見えにしてしまった。
「う……ぅっ」
屋外で性器を露出したことなんて、正太郎は子供の頃の立ち小便以来、身に覚えがない。羞恥心が強まりすぎて、変な趣味に目覚めそうだ。
頭の中が飽和状態になった彼は、眞由美のさらなる声で現実へ引き戻された。
「正太郎君……色々して、ね?」
「はいっ」
返事した拍子に、手順を頭の中で組み立てるより早く、両手を持ち上げてしまう。
この位置関係は、いわゆるシックスナインというヤツなのだろう。
とりあえず、妖艶な黒ショーツの股布部分へ指先を掛け、クイッと脇にどけてみた。
「あっ……!」
いくら暗くても、これだけ近ければ、秘所の形ははっきり分かる。
一番外にあるのが大陰唇だ。意外に肉厚で、柔らかさも満ちていて。
クッションめいた感触ならば、正太郎もよく覚えていた。が、本物が指へ当たる生々しさは、記憶など優に超えていく。
そこからはみ出す小陰唇も、薄いながら欲深そうだった。まして、こぼれ始めた愛液まで絡んでいては──。
(え……も、もう……!?)
そう。眞由美の割れ目は、行為の前から濡れ始めていた。ショーツと一緒に引っ張られた小陰唇の間では、膣口周りがピンク色に煌めいている。
一方、肉壺に通じる穴は、
(すごく……小さい……っ)
正太郎は男根を突き立てられたのが、今更ながら信じられない。
秘所の向こう側には、綺麗に手入れされた、黒い陰毛も見えた。
思わず生唾を飲みかけた時、眞由美が機先を制するように、右手で肉竿を起こす。
「んくっ!?」
涼しくなってきた九月末の空気よりも、指先はもう一段階、冷たかった。
そこからくぐもった声を大きめに、
「ぁあぁおっ……」
ペニスをズルッと舐めてくる女探偵。前回のフェラチオと位置が逆だから、舌は竿の裏ではなく、まず亀頭表面を直撃する。
そこから丁寧な摩擦が始まれば、生まれるのは突き刺さるような鋭い痺れだ。
さらに正太郎は、下向きの巨乳で腹までなぞられる。衣服越しとはいえ、ボリューム感は十二分で、ズシッとしながら、こそばゆい。
これはのんびりしていられなかった。下手をすれば、ろくに行動できないまま果ててしまうかも。
クンニの知識は乏しいが、正太郎は後頭部を浮かせて、眞由美の秘所へ唇を寄せた。可能な限り舌を出し、陰唇の片側を下から上へ。もう片方も逆向きに舐めてみる。
「ぁ……あぁんっ……正太郎……くぅ……ん、ふっ……」
眞由美の声が甘く弾む。青年もやる気をもらえて、楕円を描くように、クレヴァスの縁を連続して愛撫した。
牝蜜はしょっぱくて、それが擦るにつれて、濃さを増す。
しかも──トロォリッ。粘膜を湿らす程度だったのが、雫となって、舌へ纏わりついてきた。