女探偵眞由美の誘惑事件簿

「俺……使ってみたいんですっ!」

唾を飛ばしながら、正太郎は菊座を視認できる位置へ身体をずらした。

見下ろせば、排泄のためのセピア色の穴は、幾つもの皺を作りながら、中心へ寄るように狭まっている。

針で突いた跡のように小さくて、対するバイブの直径は、太いところで三センチ近くありそうだ。

想い人から返事をもらうため、正太郎はバイブを肛門へあてがった。秘所へ挿入する時のように、切っ先を往復させつつ、ローションのヌメリを穴へも玩具へも塗り込んでいく。

「あ、ぁ、ぁあ……っ」

眞由美は小刻みに震えながらも、逃げようとはしなかった。ついには無言で、首を縦へ振ってくれたのだ。

「いいんですねっ!?」

念押しに対しても、しっかり首肯して。

欲しい了解をもぎ取れて、正太郎は道具の角度を変えた。

そして勇んで、挿入開始。

ズブリッ、ズブリッ、ズブリッ──。淫靡な道具の前進に、菊座も内側へ押し込まれながら、倍以上に広がった。

青年の手は、気持ちと別に慎重だ。一点へ集中するため、乳首も手離した。

肉穴からの抵抗感は、バイブの節ごとに変化する。細い節でも、送り込むにはそれなりの力が必要だったし、太い部分は言わずもがな。

バイブが半分近く入る頃になると、穴周りも陥没したような形となってしまった。

「あ……ぁっ、深……いっ! や……ぁ……おっ……まだ、終わらない……の、ぉっ!?」

眞由美は床の上で両手を握り、肩も首も硬くしていた。肉付きの良い太腿なんて、プルプル痙攣しっぱなし。

それでもバイブはついに、柄と本体の境まで突き立った。

「眞由美さん……どんな感じですか……?」

正太郎は聞くが、眞由美も簡単には答えられない。小刻みにわなないた末、切れ切れの言葉を並べだす。

「よ、よく分からないの……っ……! こんな感じっ……知らないしっ……んぅううっ! でも……すご……くっ、ぅくっ……広げられて……っ……お、お尻が栓をされたみたい……で……っ!」

日頃の凛とした仕事ぶりが嘘のような弱々しさだった。とにかく異物感が過酷らしく、あまり気持ちよさそうには見えない。

「だったら、今抜きますっ」

彼女に悦んでもらえないのなら、アヌス責めに意味はなかった。正太郎はバイブをゆっくり抜きにかかる。──すると。

「ふぁはあっ!?」

一つ目の節がグポッと外へ出た途端、眞由美の呻きに甘さが混じった。

「眞由美さん……っ?」

正太郎が聞けば、女探偵は首を横へ振る。そこで二つ目の節も、ヌボッ!

「ひああんっ!?」

やっぱり、どこか悩ましげだ。初の感覚に官能のカケラを見出しながらも、受け入れられずに戸惑っているみたい。

ともかく、正太郎は節を抜いていった。

三つ目をズポッ。四つ目をズボッ。五つ目もグボッ。引っ張られた穴は裏返り、クレーターさながらの変形ぶりだ。

「あひうっ!? やっ、はうぅうんっ! ふ、くぁああはっ!?」

そして、もはや勘違いではなかった。バイブが出るにつれて、眞由美の悲鳴は色っぽくなっていくのだ。

やがて切っ先まで抜けきる瞬間が来ると、

「やはぁんっ!?」

引き止めるような声まで吐いてしまった。後は突っ伏す手前のように、肩で何度も息をして。

「だ、大丈夫ですか……?」

正太郎が問うと、眞由美はコクンと唾液を飲み下した後、

「あの……もう一回……してみて……っ。もしかしたら、抜く方が……私に合ってるのかも……」

「分かりました……!」

肛門弄りの糸口が掴め、正太郎のやる気も蘇った。そこで再び、バイブを潜り込ませにかかる。ズブリ、ズブ、ズブリ──ッ!

「ぁっ……くっ、ぁあっ……またっ……奥にっ……ぃっ!」

括約筋のきつさは、二度目でも変わらなかった。眞由美の息も苦しげなままだ。

とはいえ、さっきのように引き抜いてみれば──。

声音はふしだらに引き伸ばされた。

「ふぁああっ! やっ、出るっ、出てくふぅうんっ!?」

むしろ外へ向かって擦られるにつれ、先ほど以上のよがり方となっていく。

「おぉお尻ぃいっ!? ふ、太いのがっ、やはぁあ! 動いっ、てっ……るっぁふぅうっ!?」

「眞由美さん……気持ち良くなってきたんですね!?」

バイブを下げ終えたところで、正太郎は咄嗟に聞いていた。それが気遣いのためか、言葉嬲りのためか、自分でも分からない。

眞由美は表情を見せないままだが、無遠慮な問いには答えようとしてくれた。

「ぅ、んっ……入れられる時はきつくてっ……お尻がっ……く……苦しくなるのっ……でもっ……」

でも──と言いかけたところで、説明が止まってしまう。

正太郎は待ちきれなくなって、三度目の挿入を敢行だ。

「ぁぐくぅうっ!? ふっ、太いのぉっ! その玩具っ、入れる時は大きすぎるのぉほおおっ!」

説明は淫らな実況へ変わった。その流れを途切れさせないため、青年はバイブのスイッチまでオンにする。

ブーンブーンと虫の羽のような音を立てて、スティックが振動し始めた。窪みながら開いた肛門を、無情な動きで開拓だ。

「ひ、広がるぅうっ! お尻っ、かき回されてぇええっ、ぃひっ、ひ、広がり過ぎちゃうぅううっ!?」

眞由美も美尻をのたうたせだす。驚き、もがき、無体な異物をヒリ出したがるような動き。照明が当たる角度も変化して、ローションをまぶされたグラマラスな裸身は、ヌメヌメと輝き方を変えた。