女探偵眞由美の誘惑事件簿

そして断言できる。やはり自分は、この年齢不詳の美女に一目惚れしていたのだ。

「じゃあ吉尾君、ソファーに座って?」

「何を……するんですか?」

聞く間にも期待と緊張が高まる。

「それは座ってからのお楽しみ」

教えてもらえないことに歯痒さを覚えながらも、青年はつまずきそうな足取りで指示に従った。

その間に眞由美は、事務所のドアに『外出中』のプレートを掛けて、施錠も済ませた。青年の前に戻り、ローテーブルの位置をずらして場所を開けると、ストッキングに包まれた両膝を、床へ降ろす。

「……誰かにここを触られたことって、ある?」

彼女がそっと白魚のような指を置いたのは、正太郎のズボンのど真ん中。下では早くもペニスが半勃ちとなっていた。

布地に出来た膨らみは、すでにごまかしようがないほど大きい。感度も上がって、そっと触られるだけで、神経へ鈍い痺れが割り込んできた。

「うっ!?」

正太郎は身を硬くしてしまう。強張った首を横へ振れば、

「ふふ、思った通り。すごく初々しいものね……」

眞由美は赤らみかけた目元を淫靡に細め、指先を微かに走らせ始めた。まるで刷毛でイタズラしてくるかのようだ。

「こういうの、気持ちいい?」

二つ目の問い掛けに、青年はぎこちない首肯。口を開けば、みっともない呼吸音が漏れそうで、息も半ば止めている。

バイト青年の純情さに、眞由美も気を良くしたらしい。

「本当に可愛い……。ふふっ、免疫を付けるためだもの。ちょっと大胆な責め方も試してみるわね?」

その予告に、正太郎は頭を殴られた気がした。

真面目な彼も、オナニーぐらいやっている。扱く気持ち良さは、よく知っていた。

だが、眞由美の愛撫はささやかな動き方でありながら、絶頂へ向かう彼の手つきより、さらに存在感がある。

膨らみの外縁を軽くなぞったり。玉袋の上で指の腹を滑らせたり。この時点で、蕩けそうにくすぐったいのだ。

──所長ほど美人で色っぽければ、男性経験も豊富なのだろう。

淡い切なさが、正太郎の中に浮かびかけた。だが、心地よさは脳内まで揺さぶって、とてもまとまった形を保てない。

肉竿もさらに膨らもうとしていた。ズボンとボクサーパンツ、二重の衣服に押さえ込まれて、根元から捩れそうだ。

ペニスの角度を正したくて、正太郎は咄嗟に尻を前後へ滑らせた。

それを察したのか、眞由美がいとも無造作に、ズボンのファスナーを降ろす。

ジーッと金属の擦れる音。同時に股間部が軽くなった。

「う、ぁっ……!」

正太郎も隠しておきたかった呻きを、情けなく漏らしてしまう。

恥ずかしかった。股間部をさらけだすのも、声を聞かれたのも。

そのくせ、男性器は拘束されていた分を取り戻すかの如く、一気に肥大化だ。

さらに眞由美は、青年のベルトのバックルとズボンのホックも、躊躇なく外していった。

残るボクサーパンツは、伸縮性を発揮して肉幹に密着している。対する亀頭も最大サイズとなり、ゴムが縫い込まれた下着の縁を、グイッと持ち上げようとしていた。鎌首のような輪郭までが、すでにくっきりだ。

そんなグロテスクな部分を、眞由美はたおやかな人差し指で、ツンツン突き始める。

「は、う、うっ!?」

もはや正太郎は、唸るのを止めきれない。

ズボンがどいたために接触はより鮮明だし、絶妙な力加減も変わらず。指の腹がぶつかるたび、ペニスは小刻みに痙攣し、それを見下ろす眞由美は、さながらお気に入りの玩具を見つけた牝猫だ。

「……思っていたより、ずっと大きいのね……」

「所長、そろそろ教えてください……っ。どこまでやるんですかっ……?」

羞恥を堪え、かすれ声で問う正太郎。このままでは下着を穿いたまま、指戯だけで精液をまき散らしかねない。

現に鈴口は緩み始めて、布地にジンワリと我慢汁の染みを作っていた。

なのに、眞由美はまだ教えてくれない。ボクサーパンツの縁を持ち上げて、いっぺんに足の付け根までズリ下げる。

「うあっ!?」

青年の股座を隠す物は、皆無となった。

出てきたペニスは特大サイズ。反っくり返った竿は、ゴツゴツ節くれだって、絡まる血管の太さまでが逞しい。

亀頭は丸々と先端に至るまで太いし、左右に張り出すカリ首は、矢の返しと似た危険な形。根元では、陰毛がモジャモジャと捩れ合っている。

「ぁ、ふっ……」

巧みに責めていたはずの眞由美までが、気圧されたように息を飲んだ。もっとも、彼女はすぐに調子を取り戻し、遅れていた答えを吐き出す。

「どこまでやるかって……ふふっ、君がイクまでよ。それと……」

腹の方へ倒れていた肉幹を、眞由美は唐突に、右手で掴んで引き起こした。ここまでの焦らすような接触と違う、荒っぽい動き。瑞々しく張った指と掌も密着させてきて、青年の中にわだかまっていた悩ましさを、凶暴な疼きへ激変させる。

「くぅうっ!?」

正太郎は腰周りを硬くしてしまう。ただし、四肢の踏ん張りは全然利かず、ソファーからずり落ちかけた。そこへ眞由美の誘いの続きが飛んでくる。

「正太郎君、エッチしている時は、相手を名前で呼ばなきゃ……ね?」

「は、い……! 眞由美さん!」

「よく言えました」

正太郎が応じれば、ご褒美さながら、眞由美も肉棒を扱き始める。しかし指先だけでさえ、危険な快楽は量産されたのだ。筒状になった手が上下した刹那、正太郎は高圧電流でも流されたように、神経が痺れた。